表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/54

空っぽの器、ステータスを手に入れる

「……っ、つ、つう……」

身体を軋ませるような激痛。奏多は、内側から肉体が作り替えられるような感覚に襲われ、たまらず目を覚ました。

「痛え……なんだこれ……」

脂汗を流しながらも、必死に現状を把握しようとステータスを開く。昨日、住民たちから「魔王」と崇められたことで得た称号、【新たな魔王】。驚いたことに、職業欄も【無職】から【魔王】へと上書きされていた。

「レベルが……上がってる?」

昨日まで不動の「1」だったレベルが、一気に「30」まで跳ね上がっている。ステータスの数値は軒並み上昇しており、この急激な肉体の成長に細胞が悲鳴を上げているのが痛みの正体だろうと奏多は考察した。

次第に痛みは引き、代わりに羽が生えたかのような身体の軽さが残った。

確かめるべく、奏多は2階の森エリアに設けた小屋から外へ出る。

「もしかすると……お、おおおおおっ!?」

軽く地面を蹴っただけで、視界が瞬時に跳ね上がった。かつての日本人男性としての脚力など比較にならない。20メートルはあろうかという巨木の天辺を軽々と超え、空を舞うような跳躍を見せた。

「こ、これがステータス補正……」

着地の衝撃も皆無。自分の肉体とは思えないほどの出力に感動していると、後ろから声をかけられた。

「なにか騒がしいと思ったら、奏多殿か」

「お、クルスか。悪い、朝っぱらから起こしちゃったみたいだな」

「老体ゆえ朝は自然と目が覚めてしまうのじゃ。それより、何をしていたのじゃ?」

奏多がステータスの急上昇と、それを確かめていたことを話すと、クルスは得心がいったように頷いた。

「なるほど、レベルアップによる補正か。魔王はやはり普通の職業とは違うようじゃの。わしらの職業などは、50年に1レベル上がるかどうかというところでな……」

「50年……? 職業によってそんなに補正が違うのか。なら俺は無職だったし、そりゃレベルも1のまんまだよな」

奏多の言葉にクルスは目を丸くする。

「なんと……奏多殿、あれほどの力を持ちながらレベル1だったというのか。なんと末恐ろしい……」

「おいおい」と苦笑しながらも、奏多はふと気になっていたことを尋ねた。

「そういえば、アリスは何の職業なんだ? 魔法も体術も凄かったけど……」

「あの子も【魔王】じゃよ」

「え? えええ!?」

食い気味に驚く奏多に、クルスは淡々と語る。アリスの家系は代々魔王の職業を受け継いできたこと。彼女を産んで亡くなった母親も、その前の祖母も魔王であったこと。

「末裔の中でも、血を色濃く継いだ者だけがその座を継承するのじゃ。わしの妹からその娘、そしてアリスへと受け継がれたということじゃな」

「なるほど……。でも、俺のは『新たな』って付いてるし、アリスとは別系統ってことなのかな」

考え込んでいると、「奏多〜!」とはしゃいだ声が聞こえてきた。

「おはようございます。あ、クルスおばあちゃんも。二人で何のお話を?」

「ただの世間話じゃよ。さあ、朝食でも食べに行くかの」

クルスは上手くアリスをあしらい、一足先に食堂へと向かってしまった。

「えー、何を話してたんですか奏多」

追求の手を緩めないアリスに、奏多はレベルが上がって身体が軽くなったことを伝えた。

「そうだったんですね。でも奏多も魔王になるとは……二人で魔王って、なんだか面白いですね!」

屈託なく笑うアリス。しかし、奏多の心には、先ほどから一つの「懸念」が渦巻いていた。

「なあアリス。魔王って、やっぱりこの世界では『討伐されなきゃいけない存在』なのかな」

「え? いきなり、どうしたんですか?」

アリスは不思議そうに小首を傾げる。

「確かに先代は人間に討たれましたが、それは昔の話です。私たちは人間に干渉してすらいませんし……」

「そうだよな……」

奏多の脳裏には、召喚された日の国王の言葉がこびりついている。

『お主ら異界より召喚された勇者達は、魔王を討伐するために呼ばれた』

(……もし、その『魔王』が俺たちのことを指しているのだとしたら)

奏多は無意識に、真剣な眼差しでアリスを見つめた。その熱に当てられたアリスが、ドギマギと顔を赤らめる。

「……もし。もしここに王国の奴らが攻めてきたら、俺が必ずここを守る。例え、戦争になったとしてもだ」

「そ、そんなこと起こりませんよぉ。この島は隠されていますし、攻め込まれる理由もありません。私たちは何も悪いことなんてしてないんですから」

アリスは照れ隠しのように笑ったが、奏多はその言葉を噛み締め、少しだけ肩の力を抜いた。

「そうだな。……よし、俺たちも朝食に行こうか」

「はいっ!」

アリスの満面の笑みに救われるように、奏多は歩き出した。だが、その胸の内では、いつか来るかもしれない「勇者たち」との対峙に備え、静かな覚悟が芽生え始めていた。

【奏多のステータス更新】

• レベル: 30

• 職業: 魔王

• 特性: 全ステータス超絶上昇、身体能力の極大補正

• 称号: 新たな魔王

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ