表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
110/118

勇者の目覚め

「甲斐くん、本気できてくださいッ!」

愛多が力強く叫んだ。彼女の背後には、全力の『女神代行』によって顕現した、巨大な女神の形を成す透き通ったオーラが、まるで偉大な化身のようにそびえ立っていた。

「いくぞ、愛多っ! はぁぁぁぁぁッ!」

広臣は迷いを捨てて聖剣を抜き放ち、愛多へと突撃した。バッ! と高く跳躍し、空中から愛多を見下ろして聖剣を大きく振りかぶる。

「――カミノツルギ」

広臣が静かに呟くと同時に、超高速の神速の剣技が愛多を襲う。

――その時だった。

ギン……。

奇妙な不協和音とともに、空中で剣を振り下ろす瞬間のまま、広臣の身体がピタリと停止した。

静寂に包まれた世界の狭間で、かつん……かつん……と、愛多がゆっくりと歩く足音だけが静かに響き渡る。

キィン!

澄んだ金属音が鳴り響くと同時に、再び世界が動き出した。

「なっ……!?」

着地と同時に、広臣はすぐさま異変に気づいた。自分の目の前にいたはずの愛多の姿が、影も形も消えていたのだ。

慌てて周囲を確認するように振り返る。

すると、広臣のすぐ後ろに、愛多が何事もなかったかのように静かに立っていた。

「瞬間……移動……?」

呆然とする広臣に、愛多は首を振った。

「いいえ。時を止めました」

「時を止めただと……!?」

驚愕する広臣の前に、二人の戦いを腕を組んで見守っていた竜神が歩み出て、重々しく口を開いた。

「この世に起きる事象のすべてを無理やり捻じ曲げることのできる力……それこそがイリスの力なのだ」

「でも、それなら僕の『神の秩序』のスキルでも……」

広臣が反論しかけると、竜神はそれを一蹴した。

「それはイリスの力の模倣にすぎん。例えば本物のイリスならば、その世界のルールを改変するスキルそのものを『最初からなかったこと』にできる。いわば最強の後出しスキルだ。だが、イリスの奴は自分の存在という世界のルールだけはねじ曲げられなかった。だからこの世界に完全な姿で顕現することだけは苦手だったのだよ。だからこそ、勇者という存在や、カオスたち分体を創り出していたのだ」

「全力での女神代行が、これほどまでのものとは思いませんでした……」

愛多自身も、その強大すぎる力に息を呑んでいる。

「ふん、代行しているだけでその力なのだ。真の勇者であるお前なら、イリスの力すべてを行使することが可能だろう。もしすべてを使えるようになれば、カオスなぞその存在ごと、歴史から抹消できるかもな」

竜神の言葉に、広臣は自分の手を見つめた。

「だけど、どうやってイリス様の力を引き出せば……」

「レグドでお前は、奏多の力をスキルで再現したことがあるだろう?」

竜神が不敵に笑う。

「……そうか!」

広臣の顔に、理解の光が宿る。あの時の感覚を応用すればいいのだ。

「だけど、それをしたらまた広臣くんに……」

愛多が心配そうに声を漏らすが、竜神はそれを遮った。

「それくらいの覚悟を持ってここに来ているんだろう、勇者よ」

「……はい。絶対にものにして見せます!」

広臣は力強く頷いた。

「じゃあ早速やってみせよ!」

竜神の合図とともに、修行が再開される。

「女神代行!」

愛多が再び叫び、背後に巨大な女神のオーラを顕現させた。

「神の秩序!」

広臣もまた、自身のスキルを限界を超えて発動させる。愛多の放つ本物の女神のマナを、自分の器へと強引に引き写そうとした、その瞬間だった。

広臣の身体に、言葉すら発せられないほどの激烈な激痛が走った。全身の血管に沸騰した溶岩を流し込まれるような破壊の衝動。

「っ!! ァァァォァォァォォォァォァ!!! ――ッ!!」

広臣はあまりの痛みに喉を潰さんばかりに叫んだ。

「甲斐くん!?」

愛多が青ざめて駆け寄ろうとする。

「止めるな!」

竜神が鋭い声でそれを制した。

「続けて愛多、もっとスキルの出力を上げろ! お前自身がイリスになるイメージを持て!」

「っ! ……私自身が……イリス様に……」

愛多が必死に集中すると、彼女の身体から青白いオーラが澱みなく溢れ出し、次の瞬間、眩いほどの純白の光が空間全体を優しく包み込んだ。

「よくやってくれてるじゃない。あなた、やっぱり指導者向きね」

突然、愛多の口から、彼女のものではない、どこか超然とした大人の女性の声が響いた。

「……っ!? ――あ、あまた……?」

痛みに耐え、膝をつきながらも、広臣はその異様な状況に目を見開いた。

「お前が封印などされるから悪いのだろう、イリス」

竜神が呆れたようにため息をつく。

そこにいたのは、愛多の肉体を借りて一時的に意識を現れさせた、封印されているはずの女神イリス本人だった。

「しょうがないじゃない。カオスの配下は頭がいいし、まさか奏多くんと広臣ちゃんが喧嘩しちゃうとは思ってもみなかったのだもの」

愛多の声と姿のまま、イリスはクスリと悪戯っぽく笑った。

「ふん、どうだかな」

「そんなことより、もう時間がないの、広臣ちゃん。今の愛多ちゃんの中には、私のすべてがいると思っていいわ。ここで私の力を使いこなせないなら、もう世界は終わるわよ。――じゃあ、頑張ってね〜」

それだけ言い残すと、光が収まると同時に、愛多は糸が切れたようにその場に崩れ落ち、意識を失った。

しかし、愛多が倒れた瞬間、広臣の全身を襲う激痛は、さらに容赦なく激しさを増していった。身体が内側から弾け飛びそうなほどの神聖なマナの奔流。

「ぐうぁぁぁぁぁっ!! うぐっ!! ぐっ……!!」

広臣は床に拳を叩きつけ、血を吐き出しそうになりながらも、親友の顔を、太一や萌や愛多、それと奏多。そして世界を救うという誓いを思い起こした。

「僕はっ……!! この世界を守る……勇者なんだぁ!!! こんなことで……諦めてたまるかァァァァ!!!!」

広臣の魂の咆哮とともに、彼の身体から、愛多のものとは比較にならないほどの莫大な青白いオーラが一気に爆発した。空間が激しく震動する。

溢れ出た聖なるマナは、やがて広臣の肉体という『勇者の器』にしっかりと馴染み、徐々に身体へと吸収されるように消えていった。

広臣を包んでいた激しい光のオーラが完全に収まり、静寂が戻る。

その場に、以前よりも遥かに静かで、底知れないプレッシャーを纏った広臣が立ち上がっていた。

「ふっ。成功したな」

竜神が満足そうに不敵な笑みを浮かべた。

こうして、女神イリスの真なる力をその身に宿した甲斐広臣は、世界の理さえも塗り替える『真の勇者』として、圧倒的な成長を遂げたのだった。

プライベートが忙しすぎてあんまり書けてない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ