第4話 急急如律令ってなんですか?
清は骸骨へと走っていった。
優斗ははそれを見送ることしかできなかった。
骸骨が清に向かって大きな手を伸ばし体を掴み取ろうとしてくる。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前…我が身を守り給へ…」
「危ないっ!」
清は何かブツブツ唱えている。
そして、足元に腰のホルダーから取り出した紙?を取り出して配置していく。
優斗は清に近づき彼女を庇おうとしたが、骸骨の手が彼女の身体に触れそうになった瞬間、足元より青白い光が立ち上り…
(な、なんだこれ)
(この骸骨、この光に触れられないのか?)
「あなた危ないじゃないですか!」
清に怒られてしまった。
優斗としては、彼女を守ろうとした結果だが、どうやら邪魔をしてしまった様だったようだった。
「ご、ごめん…」
「…。もう、いいです。あなたここにいてください!」
「い、行くのか?」
「えぇ」
清はそう言ってまた骸骨の下に向かっていく。
この青白い光の結界?と優斗を残して…
◇
(情けない…)
(自分よりも年下の女の子に庇われ助けられて…本当に情けない…)
骸骨の大きな巨躯から繰り出される拳は地面を大きく抉り、彼女の攻撃は小さくしか傷をつけられていない。
でも、優斗から見ても清と骸骨の戦いは、清が優勢に見える。
しかし、清は何か焦っているように見える。
(…何か焦ってる?)
(もしかして、この結界に力を使っている?)
その証拠に彼女は骸骨と戦いながら、ちらっとこちらを確認しながら、骸骨が優斗に向かわないように戦っているようにしているようだ。
「お、俺のことは気にしなくていいー!自分で逃げ回れるから!早くその骸骨を倒してくれ!」
「…。」
優斗は叫んでいた。
骸骨が、こちら振り向き優斗を見るが今は気にしない。余裕もない。
「この結界みたいの無くても、俺は大丈夫!離れたところに避難するからっ!」
これが今、優斗にできる一番の行動であり、強がりであった。
足元からの光はどんどんその光の強さが無くなっていき、そして静かに消えた。
優斗は急激な不安が襲う。
(や、やばい。逃げないと…。)
しかし、足がすくんで逃げられない。
骸骨がなぜか、一番近くにいる彼女を無視しこちらへ向かってくる。
しかも、走って。
ドドドドドドドドドドッ!
地響きと大きな足音を立てながら優斗へ一直線に向かってくる。
(あいつ、走れたのか!今までは、遊ばれていた!?)
「急急如律令…青龍降臨!」
優斗が背を向け反対方向へ逃げようとした瞬間、清がまた何かを唱え始め、呪文は短くすぐに終わった。
ドドーーンッッ!
雷が空から降り注ぎ、1頭の大きな蛇?が下りてきた。
(で、デカい、あの骸骨よりも…)
そこに現れた大きな蛇?は既に地面すれすれまで下りてきており清の側に付き従うように佇んでおり、骸骨とにらみ合っている。
「リンちゃん来てくれてありがとう!あの餓者髑髏結構育っている上に、一般人が結界内に入り込んでしまっているようなの。」
「…。」
リンちゃんと呼ばれた蛇?はこちらを見てくる。
その瞬間、体中の全細胞が危険信号を発してた、あれは生物としての格が違う、と
「りんちゃん?駄目よ、今は餓者髑髏に集中して!お願い!」
「GAOOOOOOooooooo!!!!!!!!!!」
その動きは、早かった。
いや正確に言えば、優斗にはその動きが見えなかった。
そして、蛇?を視線で追えば、そこには、身体の9割以上が食いちぎられた骸骨がいた。
「リンちゃん、ありがとう!リンちゃん…?」
骸骨の身体を食い破った蛇?はなぜかこちらをジッと見ている。
こちらまで食べられるのではないか?と思うくらいにはじっと見られている。
「GuRurrrrrrrr…。」
「っ…。」
(これは、ヤバいんじゃないか?)
「解ッ!リンちゃん戻って!……戻らない!?」
「え?」
「GAAAAAAA!」
蛇?がこちらに向かって突進してきた。
もう逃げられない…。
頭に浮かぶのは、心配を掛けてしまった家族、初恋の相手水神さん…。
(告白しとけばよかったな…。)
◇
優斗は自分の死を覚悟し固く目を閉じた。
と…え…よ。
…とな…え…よ。
急急如律令と唱えよ、たわけ!
(っな、なんだ、この声!?)
早く唱えぬか!この阿呆!
「き、急急如律令!何でもいいから助けて!」
スパァーーーーン!!!!
一本の美術品と見紛う綺麗な刀が目の前に現れた…。
変な蛇が出てきたり、刀が出てきたり…
急急如律令ってなんなんだ!?
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