第3話 陰陽師ってマジですか?
恵と紬の空気が悪くなるのを感じた優斗は話を変えて話し始めた。
「そういえば、会社クビになっちゃいました~!アハハ……ハ」
「「えっ!?」」
空気を変えるために言ったことが、より空気を悪くしてしまった。優斗はそれでも、口を止めなかった。
「まぁ?1流企業でも大手企業でもなかったし?また、仕事探し頑張るよ!」
「……。」
「元会社のおかげでスキルも身に着いたし、きっと楽になるよ?」
「…えぇ、そうね。
……ねぇ優斗、次の仕事が見つかるまで実家に帰ってきたら?」
「お兄ちゃん帰ってくるの⁉」
紬がベッドに身を乗り出し目を爛々とさせている。
「ん-、荷物とか色々面倒だし、微妙に家遠いから、いいや~」
「えぇ~、帰っておいでよ~…」
「だって、"仕事が見つかるまで"だろ?」
「居たかったら、いつまでもいていいのよ?」
「嫌だよ、俺27歳だよ?一人暮らしで大丈夫でーす!」
仕事ばっかりで趣味もお金が掛かるものも無いので幸い貯金が多く残っていた。
しばらく、働いていなくても問題ない。
「まったく。まぁ、いいわ。辛くなったらいつでも、帰ってらっしゃい」
「待ってるね、お兄ちゃん!」
良かった、空気が元に戻ったと優斗は内心ホッとしていた。
そして、時間も過ぎていき面会終了時間になった。
◇
「ふぅ、半年間も寝ていたら体もなまって疲れやすくなったのかな。」
朝から、クビになったり、変なお爺さんに話しかけられたり、家族との団欒で優斗の疲労は溜まっていた。
「今日はもう寝たいけど、寝る前にお手洗いに行きたいかも」
時刻はまだ少し早く、18時頃―
病院1階のお手洗いに自室に戻る途中、
カタン……カタン……
「?」
(なんか聞き覚えがあるような音だな……?)
でも、眠さが勝ち気にしないでそのままへにベッドのもぐりこみそのまま眠りつく。
◇
カタン……カタン……
カタカタカタ
ケタケタケタ
物音がうるさく優斗は目が覚めベッド脇にある時計を見た。
2:01
(嫌な時間に目を覚ましたなぁ)
カタン……
(さっきからなんだ、この音は)
(でも、聞き覚えが……っあ、頭がい、痛いっ)
そうだ、この音は、入院前に聞いた気がす……
そう思いながら優斗は窓のカーテンを少し開けた。
……いや、開けてしまった。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ
それは、こちらを見ていた。
こちらの心中の恐怖までも見透かすように伽藍洞な目元でこちらをうかがっている。
それは入院前、最後に見た大きな骸骨であった。
「うわあああああああああああぁぁあぁぁぁっぁぁぁぁ」
優斗は、走った。
鈍った身体なんて関係ない持てるすべての力振り絞り走った。
(なんなんだなんなんだ、あの骸骨っ!)
あんなバカデカい骨なんて見たことないぞ。
そして、病院外にまで、逃げ切り門から出ようとしたとき、ぽよんっ!と体が跳ね返された。
(出れない⁉)
「ちょっと、そこのあなた?」
「!?」
女の子の声が聞こえ、優斗は慌ててそちらを振り向く。そこには、制服姿の少女?が立っていた。
「そこの君!ここは、危ないんだ!バカデカい骸骨みたいのが迫ってきてて……」
流石にどんな状況であっても、女の子を放置することなんて出来ない。優斗は、女の子に逃げるよう大声で叫んだ。しかし、返ってきたのは、冷静で落ち着いた声であった。
「知ってるいます、だってそれを退治しに来たんですから」
「えっ?」
「というか、あなた!この空間にどうやって入ってきたんですか?」
(入る?空間?)
「まず、何で私が見えているのてしょうか?…ブツブツ…一般人じゃない?…ブツブツ」
「え、見えないことなんて、あるの?」
「…。」
「まぁ、いいです。とりあえず、あの餓者髑髏を排除してしまいましょう」
「なぁ、その餓者髑髏?ってのは、なんなんだ?」
「はぁ?あんたそんなことも知らずにここに入ってきたんですか?」
阿保を見る目で優斗を見つめる少女。
年下の女の子に見下されるのは、心に来るものがある。
しかし、今の優斗にはそんな余裕もあるわけもなく、
「頼むよ、教えてくれないか?」
「……。妖怪です。」
「よ、妖怪?」
「えぇ、妖怪は生きる人々の生命エネルギーを吸い取り生きていて、寿命もなく時間とともにどんどん強くなっていく者です。」
ドシン…ズシン…
カラン……カラン……
カラカラカラカラ
ケタケタケタケタ
ついに骸骨がこちらの方へ迫ってきているのが見えた。優斗は、現状病院から出ることが出来ない。
自分1人なら、最終的に諦めることもことも出来た。
しかし、少女は逃げない。
むしろ、立ち向かって、行くようにすら見える。
「き、君は何なんだ⁉あんな化け物と戦えるわけがないだろ⁉」
「……。私は、旧中務省宮内庁特務機関陰陽寮準1級陰陽師…阿部清。」
「お、陰陽師っ!?」
そうして、阿部清と名乗る少女は腰のホルダーから、紙?らしき物を取り出し、骸骨へ駆けていった。
えぇ~と、陰陽師ってマジですか?
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