第2話 これって、おもちゃですか?
元上司との電話も終わり途方に暮れている禍津だが、自分の病室に戻り充電していたスマホで、とりあえず家族に連絡を入れといた。
~禍津家 家族チャット~
優斗:目覚めました。
迷惑かけてごめん
恵(母):あんた目覚ましたの⁉
今からそっち行くから待ってなさい!
紬(妹):やっと、起きたんだね!お兄ちゃん!
私も行くから、17時位に一緒に行こうよ
恵(母):じゃあ、そうしましょ!
紬(妹):また、後でね!
恵(母):あんた大人しくしているのよ?
優斗:はい、すみません。
大人しくしています…。
◇
家族の優しさに涙が出そうだ。
そうだ、会社なんて次を探してまた、成り上がってやればいい!
たかが、一企業!たかが、主任になれた程度!
まだまだ、これからだ!
「ふぅ、とりあえず、明日退院したいから荷物だけまとめるか。」
自分のベッドには、お見舞い品なのか分からないが、お菓子や、洋服類が置いてあった。あまり量があるわけじゃないが、ほかの方々に迷惑かけるわけにもいかないので少しだけ整理をした方がいいかもしれない。
「おい、あんた」
「ん?はい、なんでしょう?」
隣のベッドのお爺さんが優斗に話しかけてきた。
いきなり話しかけられたことで少し警戒をしたが、優しそうなお爺さんで警戒を解き話を続けた。
「あんた、頭大丈夫だったか?」
「頭?…あ~、そうですね、今は全然痛くありませんし、問題ありませんよ!
多分、仕事のやりすぎで過労で倒れちゃったんですかね。アハハ。」
「あんた、頭に霊障の痕跡があったから心配してたんだよ。」
(霊障?スピリチュアルかなんかか?)
優斗は昔から何かに憑かれやすいと言われ続けてきたが、今まで被害があったわけでもないので一切そういったものを信じていなかった。
「あ、そうなんですか!大丈夫ですよ?」
「信じてないだろ?おまえ…?」
「いや、本当に大丈夫なので!」
「あんた、名前は?」
「え…っと」
ここはちゃんと名乗るべきなのか。
今思うとこの時の選択が禍津優斗にとって人生にとっての大きな分岐点だったのかもしれない…。
「優斗……禍津優斗って言います」
「禍津ねぇ、あんたヤバいからコレ持ってきなさい」
「え、っはい、どうも、ありがとうございます。」
そういって、お爺さんは優斗に何かを投げてきた。
(刀……のおもちゃ?)
お爺さんが優斗に投げてきたのは、江ノ島とかで売っているような刀のキーホルダー型のおもちゃだった。
「それを肌身離さず持っておくといいよ」
「……。」
「いづれ、有難みも分かるじゃろ
……まぁ、お前さんの家族がいれば問題なさそうだがな……ブツブツ」
なんなんだこの人……。一人でブツブツ呟いてるし。
「そういえば、名乗ってなかったな、ワシは、阿部源斎と言う」
「阿部さんね」
「んで、ワシは今日退院で孫が迎えに来るので、じゃあな~」
「え、あ、え?」
お爺さんは言いたいことを言って扉の方に歩いて行った。
本当になんなんだ、あの阿部とか言うお爺さんは。
阿部が去り、シーンとなった。
周りを見渡すと気づかなかったが、他のベッドはすべて誰もおらず病室が静寂に包まれた。
(こんなに広い部屋なのにお爺さんと二人きりだったのか……。)
◇
バンっ!
「優斗!」「お兄ちゃん!」
すごい勢いで扉が開かれ優斗の母親の恵と紬がそこに立っていた。
「来てくれてありがとう、そして、心配かけてごめん。」
「優斗が起きてくれただけで私たちは良いのよ……。」
「まったくなんだから、お兄ちゃん!」
「お父さんも心配してたけど、今出張中でこれなかったのよ」
「まぁ、今日は平日だし仕方ないよ」
心配を掛けてしまった家族にもう心配を掛けまいと心に誓う優斗だった。
「あら?……優斗これどうしたの?」
「あっこれ……」
母の恵がさっきまで泣きながら話していたのに、一気に真剣な顔つきで、
先ほどお爺さんがくれたキーホルダーのおもちゃを指しながらそんなことを聞いてきた。
「さっきまでいたんだけど、隣のベッドの阿部さんってお爺さんがくれたんだよね」
「……。」
「お兄ちゃん、その刀大切に持っていた方がいいよ」
「刀?おもちゃだろ?」
「これはね……れ。」
「紬!」
「あっ、ごめんなさい、お母さん……。」
「????」
あの~、これっておもちゃですよね?
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