第16話 えっ、出ちゃうんですか?
―妾、降臨!
やっぱり、いなくなったのではなく俺の中にいたのか。
瀬織津姫は俺が起きた頃にはいなくなっており、軽くではあるが心配もしていた。
―なんだ、わっぱ?妾見えなくなって寂しくなってしもうたか?
(朝起きたら見えなかったから、消滅したのかと思ったんだよ!)
―何ちゅうこと言っておるのだ?妾が消滅するわけなかろう?
(分かんないじゃん?エネルギー?ってのが枯渇したら。)
―妾、わっぱに憑依して生命力吸っているから問題なし
え、生命力?それは、吸われていて大丈夫なのか?
ダメな気がすんですが?
「いえ、生命力といっても活力とかですよ。最近疲れやすくないですか?」
貴人が唐突に話しかけてくる。
疲れやすくか。病院で走り回ってた時にやけに疲れると思ったが、おまえか!
―その代わりと言ってはアレだが、前に言っていたことを叶えてやろう
ん?何のことだろうか?言ってた?
―お主が前に言ってたであろう?
妾そう言う設定できるぞ?神だし?
威張ってる…。
大体、設定ってなんだよ!人の体を好き勝手に弄るなんて許さないぞ?
整った顔が余計に腹立つが、何を神に願ったのか俺には覚えがなかったため、不安になってきた。
―ここをこうして、ここは…ん~こうしよう!
………!出来たぞ!妾スペシャル設定じゃ!
楽しそうに何かを弄っては悩み弄っては悩みを繰り返し何かが完成したらしい。
一体何をしたんだろうか?そして、許可も出してないのに勝手に体を弄られたし。
「何も変わらないけど?」
―戯け!全然違うわっ!妾の後に続いて唱えてみぃ?
何のことやら分からないが、瀬織津姫の言葉に言葉をつづけた。
―サンダーボルト
「さんだーぼると?」
バチバチバチっ………ドガァンっっっっ!
手からなんか出たっ!えっ?なに?雷?
しかも、いきなり言うもんだから手降ろしたまま言っちゃたじゃん!
地面が抉れ、未だにバチバチと放電している。
大きい音が洞窟内に響き渡り清と明も何があったのかとこちらを見てくる。
「優…後輩くん、大丈夫――」
「優斗さん大丈夫ですかっ!?」
明が先にこちらへ向かってくるが、清が凄い勢いで割り込んできた。
『あぁあぁぁぁぁ』
『やっぱり、こいついんじゃん!』
『ゆうと、ね。記録記録。』
『すごい音なったけど、こいつなんかしたの?』
っあぁ、配信中じゃん!名出ししちゃったじゃん!身バレすんじゃん!
なんで、明じゃなくて清がやらかしてんの?
「私たちはこれから、このメンバーで配信するからいいの!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!俺、配信者になるの!?」
『セイセイも配信者になるの?』
『俺一番後ろにいる和服美人がいいな~』
『僕は、優斗君ならならいいよ』
『じゃあ、異世界(笑)の配信増えるの?』
『これはビッグニュースか?』
『LIVE:8.9k』
俺、陰陽師の前に配信者になるわ。
◇
配信は、一旦中止となり明が頭を下げてくる。
「優斗さん、お姉ちゃんごめん!勢いで言っちゃって…」
「明!あなたは、こんないい加減気持ちで配信してたの!?」
「わ、私は、まじめに…」
「…素人の私と優斗さんが出てしまったら、今まで応援してくださったファンの方々に見苦しい姿をお見せしてしまうかもしれません。やるからには本気でやらなくてはダメです!過去の明のアーカイブを全部見直して、バランスを考え練習をしましょう!その後なら、私たちも配信に出ることに賛同しましょう。」
出てるっ!ご両親の教育の賜物が出てるっ!真面目が過ぎるぞ。
俺なんてさっき配信出れるぞ~!程度にしか考えてなかったぞ。
しかも、しれっと名前呼びになってるし。
清が気にしないなら別に構わないけども…。
「うん!分かった!一緒に配信者になれるように頑張ろ!」
「はい!やってやりましょう!」
こうして、仲の良くなかった姉妹はかつての姿を取り戻すのだった。
この流れで言いづらい「俺も配信出ていいんですか?」なんて…。




