閑話:元会社の水神さん
東京都港区 株式会社○○ 社内
私は、水神綾香、営業事務を行っています。
最近同期の営業1課の禍津君がクビになってしまったそうです。
まさか、あれが最後の電話になるなんて…。
禍津君と私は数少ない同期で、辛いときはお互いに鼓舞しあって場面場面を乗り越えてきました。
半年前にいきなり意識不明で病院に運ばれとても心配になったのを今でも覚えています。しかも、倒れた時に、頭を強く打ったみたいで後遺症も心配だった。
この間、電話では久しぶり~!って軽く言ってしまいましたけど、実は1週間に3日はお見舞いに行っていました。本人には気恥ずかしくて言えないけどね。
部長は主任に昇進間近だった禍津君のことを何故か邪険に扱い、いなくなるように動くし、社内の入れ替わりが激しいせいで禍津君をかばってくれる人も極僅か…。
きっと、禍津君はすぐに再就職するだろうし、私も会社を辞めて、禍津君と同じ会社に行こうかしら?
最近、社長と部長からのセクハラも激しくなってきたし…。
田舎が嫌で岩手から東京へ上京してきて働き始めたけど、最初は本当につらかった。
正直、何度この仕事を辞めようと考えたことか。
でも、禍津君が何度も助けてくれた、社長と部長からのセクハラされたときは、間に立ってくれたし、仕事で大きなミスをした時も私を庇って頭を下げに行ってくれていた。
そんな彼のことを私は信頼していたし、正直…ずっと好きでした。
そんな彼がいなくなってしまった会社にまだいて、意味があるのでしょうか?
毎日、いやらしい目つきに耐え、逃げるように断ったら嫌がらせのように仕事を回され目の下のクマが出来始めていた。
早くこんな会社とオサラバしたいけど、彼の残した仕事だけはやり切ってから、辞めたいと考えている。だって、この案件は彼が昇進を掛けた最後の仕事だったから…。
◇
最近夜になると、記憶のない行動をとることが多くなった。
足元も覚束ないし、知らない間に友人に電話で話をしていることがあるみたい。
ストレスの溜まり過ぎで、夢遊病にでもなっているのでしょうか?
はぁ、禍津君に会いたいなぁ…。
―ケケケケケケケケケっ
もう少し…もう少し…。
んっ?何か聞こえたかな?
短いですが、これにて閑話終了です。
次回より第2章となります。
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