第72話『魔法少女を作る』
「あぁ〜、全然出来ないよぉ……」
夜の神社で一人うなだれる美紀の隣で、小夜は美紀が書いている作品のメモに目を通す。
「魔法少女って、最近は暗いお話が急増してるんだね…… あれこキッカケってとても大きいんだ、驚きだよ」
「そうなんだよねぇ〜…… 私達は妄想出来ても、形にするとなるとポンコツだから作文を書く授業とかは苦労したんだよ」
「美紀が今まで書いてきた作文って、私が見てもよく出来てた様に見えたけど……」
「まぁアレは何度も書いたから上手くいったんだよ。でもこうして作品として制作するとなるとね、たちまち難しくなっちゃう‼︎」
書き上げたページを小夜に見せる。一通り見たが、確かに少し地味な印象も感じとれる。
「文音には二色目の制作を任せたけど、普段からお話を作ってたワケじゃなかったから意外にも私達と変わらない出来の物が仕上がったんだよ。私はね、アレを呼んで文音は何でも出来る才色兼備なんかじゃないんだなって思ったんだよ‼︎」
その代わり、美紀は一色目と三色目の制作を請け負っているが、趣味で作っている魔法少女作品を掛け持ちしてる所為なのか少し焦りを感じている。
「ねぇ小夜ちゃん、かなえはもうお手上げって言われたから小夜ちゃんが代わりにキャラ作りしてくれる⁉︎」
「えっ、いきなり私に振るの⁉︎」
「私が作りたい魔法少女作品はね、魔法少女になるかどうかを聞かれる所から始めたいんだよ。魔法少女の素質が〜とか、願いを叶える代わりに〜とか、そういうのは無くしたいんだよ。非日常って突然やって来る事を伝えたいんだよ」
メモを走らせながら美紀はキャラの名前を一人ずつ書き留めていく。
「でもまずキャラを作らないと物語って作れないじゃん? 作品に合った名前がなかなか作れなくてさ……」
色んなキャラを作るが、作品に合わないと考えて没にする。今まで没になったキャラの数は少ないが、それでも良い作品を作ろうと鉛筆を進ませる。
「……ダメだ、やっぱり公開するに堪えられない内容だから趣味程度に済ませるべきだよ」
「まぁ、恥ずかしい思いをするよりはマシだよね」
こうして、美紀は趣味で魔法少女作品を作る事になったのだった……




