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巫女さんメモリーズ  作者: 華永夢倶楽部
第49話〜第60話
61/85

第57話『時は来た!!』

「行って来ます‼︎」

「行ってらっしゃい、美紀」

 玄関を思いっ切り開けて、元気よく走り出す美紀(みき)小夜(さよ)は美紀が見えなくなるまで手を振って見送った。


「遂に、この時が来た様だね……」

 校門の前に立ち、独り言を呟く美紀。その横を何人かの生徒がチラ見しながら横切る。

「ふっふっふ…… もう休校は無いはず。となると今日から日常の始まりだよね!」

 靴を履き替えて教室へ入ると、いつもの皆がいていつもの雰囲気が漂っていた。

 唯一違う所は、皆マスクをしているくらい。それさえ除けば日常に何もおかしい所は無い。

「おはよー、(あきら)!」

「あっ、おっはよー! え〜っと…… 美紀だよね?」

「美紀だよ! 本物の!」

 久しぶりに聞いた美紀の声に少し戸惑う明だったが、また声を覚え直して落ち着きを取り戻した。

文音(あやね)もおはよー! 今日から皆で頑張ろうね!」

「おはよう美紀。そうだね、勉強だけじゃなく部活も頑張ってね」

「あぁ〜…… えっと、まさか今日あるの?」

 だとすると、美紀は今大ピンチだ。部活道具を全て忘れて来たからだ。

「ううん。来週から部活だから、美紀はそんなに心配しなくて大丈夫だよ」

「あぁ〜良かったぁ……」

 ホッと胸を撫で下ろす美紀。一安心した美紀は席に着き、朝の授業に取り組んだ。


 昼休み。お弁当を食べようと広げたが、今日は誰かと一緒に食べたい気分の美紀。そこでいつもの様に誰かを誘いに行く。

「ねぇ文音、今日一緒にお弁当……」

 しかし、既に明と一緒にお弁当を食べていた。それを見た美紀は無理矢理割り込んだら相手に悪いと察した。

「ううん、何でもないよ」

 そして、今日は一人で食べる事になった。周りの人達はそれぞれで、今話題のドラマや昨夜観た番組の話で盛り上がっている。中には男女で食べるグループも。

“良いねぇ〜、カップルは。でも将来を考えるとやっぱり長い付き合いの人って後々大事な人になったりするから、今のうちに恋をするべきなのかなぁ……”

 そう思うが、今の美紀には追う人も追われる人もいない。どうも恋愛感情で接してしまう相手がいないのだ。

 本人にとってこれは事件ではなく、自分の問題なんだと美紀は考える。

“まぁ、無理したらダメだよね。私には男が出来ないそれなりの理由だってあるし……”

 その時だった。

「ねぇ美紀、お昼一緒に食べて良いかな?」

 隣のクラスにいる、友達のかなえがお弁当を持って現れた。これから一人で食べようとしていた美紀にとっては嬉しい事だが、気分が気分だったが為に少し悩んだ。

「うん………… 良いよ」

 とりあえず美紀はかなえと一緒にお弁当を食べる事にした。


 一口。また一口。

 美紀は黙々とお弁当を口にする。一方でかなえは美紀をチラチラ見ながらお弁当を口にする。

 美紀から見たかなえは、何か言いたそうな表情をしている。かなえから見た美紀は、何か悩んでいる様な表情をしている。

「ね、ねぇ美紀……」

 ここでかなえが話しかけてきた。

「ん…………?」

 お弁当を食べているので、極力シンプルな返事をする美紀。

「その、あのさ…… 今日は何だか元気が無いみたいだけど、何かあったのかな?」

 特に元気がない訳ではないが、「何かあった」に反応する美紀。一瞬視線を逸らして、それから口を開く。

「ううん、何でもないよ」

「あ、あのさ…… もし我慢出来ない事とかが出来たら、私で良かったら相談に乗るよ? だから、その…… 遠慮なく言って良いからね!」

 突然のかなえの発言に美紀は一瞬だけ、かなえの発言に疑問と胡散臭さを感じた。

 しかし別の見方をすると、これは「かなえが美紀に対して信頼している」事を示しているのでは?

 そう思う事が出来た美紀は、笑顔でかなえの思いを受け取った。

「……じゃあ、その時になったらかなえを頼っちゃおうかな」

 お弁当が食べ終わり、お互いに片付けてそれぞれの席に戻った。

“かなえ、急にどうしたんだろ…… 一応何かあったら相談するけど、なんか変だったなぁ〜”

 でも深く考えず、切り替えて午後の授業に取り組んだ。


 放課後。一人で帰る美紀は寄り道せず、真っ直ぐに神社へ帰った。

「ただいま〜」

「おかえり、美紀。少し早かったね」

 小夜は境内の掃除をしていて、落ち葉が少しだけ溜まっていた。

「ねぇ小夜ちゃん、後でリフティングするから見ててね」

「うん、頑張ってね」

 二階に上がって鞄をベッドに放り投げ、制服を脱いでサッカー衣装に着替えボールを持って境内に戻った。

「久しぶりの自主練だけど、腕は落ちてないよね?」

「ふふーん、まぁ見てなさいって……」

 ボールを軽く蹴り上げ、落ちて来るボールに足を近付ける。ボールは美紀の足目掛けて落ちていき、

「あっ……」

 膝にぶつかって、ボールら遠くへと転がって行った。

「エヘヘ…… やっちゃったね」

「うん、見事にやっちゃったね」

 では気を取り直してもう一度。

「ほっ、はっ、よっと……」

 今度は上手く乗り、ボールを軽々と扱う。小夜は美紀の足捌きをそばで見ている……

「どう小夜ちゃん? 少し上手くなったでしょ?」

「うん、上手だよ」

 その後しばらく、神社にはボールが跳ねる音が響いた。

美紀「これなら大会に出ても活躍出来るね! でもその前に小夜ちゃんに勝たないと……」

小夜「そうだね…… 私に勝たないとゴール出来ないからね」

美紀「いや、そもそも小夜ちゃんはサッカーやってないでしょ」

小夜「言い出したのはそっちじゃん……」

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