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巫女さんメモリーズ  作者: 華永夢倶楽部
第25話〜第36話
29/85

第27話『冬が来てしまう』

 「ただいま〜… って美紀(みき)!?」

買い物を済ませて神社に戻って、台所へ向かう小夜(さよ)は道中、廊下でうつ伏せで倒れているところを発見してしまった。小夜は買い物袋をそっと置いてから美紀に駆け寄った。

 「大丈夫!? 頭痛? 立ちくらみ?」

美紀の口がか細く動き出し、小夜に向かって必死に動く。

 「…た」

 「何…?」

美紀の口は、さっきよりハッキリと動いた。

 「またやってきた…」

小夜の手が美紀の素肌に触れて、高熱などを疑った。

しかし、それらをする前に美紀が自ら教えてくれた。

 「今年も未来(みき)を助けなきゃ…」

 「ゲームの話かい!!」


美紀と楽しくお話する為に、小夜はこたつを用意して向かい合って入った。小夜は美紀を、美紀は小夜が見える。

最初に口を開いたのは美紀になった。

 「小夜ちゃん、私は未来を助けたいの!」

 「その… 美紀は未来を毎年助けてるけど、助かってるの?」

 「助かってるよ! 先生に助けられて、逃げ場が無いから窓から飛び降りてピュアエンディングだよ!」

 「ピュアなのそれ!?」

 「まぁ、カオスよりはマシだから」

 「結局は駄目なんじゃ…」

 「でもさ、このゲームってメリーバッドエンドって見方が出来ないかな?」

小夜はソフトを手に取り、

 「まぁ、出来なくはないけど…」

美紀にソフトを返した。

 「自分達だけ幸せになれても、他人が幸せじゃなかったらその人の所為になるんだよ? どうあがいても絶望なんだよ!」

美紀は床を軽く叩いて嘆いたが、小夜は特に反応せずに話を変えた。

 「ねぇ美紀、そろそろ北海道で雪が積もるけど、美紀は北海道で行きたい場所はないの?」

すると美紀はガバッと起き上がり、小夜の手を握った。

 「釧路(くしろ)に行きたい! 釧路の夜景をこの目で見てみたい!」

 「釧路ねぇ… 夜景を見に行くのも良いね。私も見に行きたいとは思ってたんだよね」

 「じゃあ行こう! 釧路へ!」

 「明日の学校はどうするのよ」

美紀はゆっくり振り向き、

 「エヘヘ… 仮病とかで––––」

 「はぁ… 美紀が高校を卒業したら、一緒に行こうね」

卒業したら釧路に行けると分かった美紀の感情は徐々に昂っていき、そのまま歓喜のあまり、

 「ぃやったー!」

素直に喜んだ。


夕食の支度を始めた小夜の近くで、美紀はテレビを観ている。

 「良いなぁ…」

小夜は美紀が羨む声を聞き、料理をしながら美紀を気にした。

 「何が羨ましいの?」

すると美紀はゴロンと転がって小夜を仰向けで見ながら、

 「北海道は良いなぁ〜… のんびり出来て、食べ物も美味しいし。そんでもって映画の撮影地も所々にあるしさ! 私は北海道が羨ましいの!」

小夜は料理の隠し味として牛乳を入れながら、

 「確かに北海道は東京には無い魅力があるからね。私は北海道に行った事がないから、美紀が北海道が羨ましい気持ちが分かるよ」

美紀はゴロンゴロン転がりながら小夜の足元にやって来た。

 「そうだよ〜。だから北海道に行って色んなトコに行きたいよ〜!」

そ〜っと小夜の足首を掴んだが、小夜は無反応で料理を続けている。

美紀はつまらなさそうに掴んだ手を離した。

 「はい、出来たよ。一緒に食べるよ」

 「は〜い…」

美紀は気怠(けだる)げに起き上がって食卓についた。

 『いただきます』

手を合わせて、食事を口に入れる。

 「あのね小夜ちゃん、今頃北海道は雪が積もって大変なんだよ。全道になるかは分からないけど、雪かきで大忙しなのは間違いないって」

美紀は口に入ってる食べ物をしっかり飲み込んで、また喋り始めた。

 「でね、ホワイトアウトもあちこちで発生してるから、外出を控えなきゃいけない程なんだよ」

水を飲んでホッコリした美紀は、また口を開いた。

 「でもね、雪質はとても良いらしいから雪合戦は盛り上がるよ! ちょうど小夜ちゃんと私でタイマンが出来るから、北海道に行ったら一緒にやろうよ!」

小夜は料理の手を一度止めて、美紀の目を見た。

美紀は一瞬だけ固まったが、小夜がそんな事する訳がないと思って聞く姿勢に入った。

 「…うん、行けたら一緒にやろうね」

美紀は小夜の約束をしっかりと聞いた。

一緒に雪合戦。

いつになるかは分からない。

けど…

 「ぅわーい!」

それでも嬉しかった。


授業中、美紀は社会の歴史を学んでいる最中に窓から入って来る風を浴びながらうたた寝をしていた。

八王子はもう冬なのに妙に暖かく、日差しがより体感温度を上げてくれるのが暖かく感じる原因だろう。

美紀は気持ちよくなっていた。

その時、綺麗な髪が美紀の前で揺らいでいた。

綺麗な金髪。よく見るとソレは、文音(あやね)の髪が風でゆっくりなびいていた。

実際にはほんのわずかしか動いていないが、席が近いので手を伸ばせばすぐに触れる。

 “そ〜っ……”

美紀はゆっくりと手を伸ばし、文音の髪を掴んだ。すると文音の体がピクッと反応して、髪を掴まれたまま振り向いた。

 「ちょっと美紀、いきなり触らないでよ!」

 「ごめんごめん… ちょっと気になって…」

美紀が謝っている最中に文音は、(あきら)をチラッと見て、

 “一瞬だけ明がやったと思ってしまった…”

明は視線に気付き、文音を見た。


昼休み、美紀は自分の周りの机を囲んで文音の前で宣言した。

 「次回! 文音にあんな事やこんな事をするよ! 文音ファンは乞うご期待!」

 「私に対して誤解が生まれるからやめてよ!」

次回掲載日  2019年11月24日 午後1時

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