三話 出社と初仕事②
ここまで読んでいただいた読者の方に感謝をぉ!!
もう一つの小説と交互に出していこうと思います。
むこうと違ってこっちは1人称視点なので話し言葉が多くなっております。
いつ宇宙いくの?その質問お答えしましょう!
・・・3つくらい後です・・・。
だってまだ業務日誌書いてない人いるし・・・。
まだ3話だし・・・。
気長にお待ちください。
あたしの業務日誌 アミィ・スコルピ
「まぁぁぁてまてまてまてーーーーーーーーーい!!!!!」
リュークの叫びにあたしたちはこれ以上ないくらい笑った。だってほんとにおもしろかったんだもん。こんなに笑ったのは・・・学年対抗戦以来だったかしら?違う、いつも笑ってるわね。
その後フィルはみんなが落ち着いたのを見ると話しだした。
「じゃあみんな、とりあえず今日は窓口業務ね。はい、これがマニュアル。値段表も一緒についてるからそれを見てね。じゃあ1人ずつやってもらおうかな?誰か・・・」
あたしは1番に手を上げたわ。
「アミィちゃんやる気だね~。」
「当り前よ!あんたには負けないわよ!!」
そう。マホには絶対負けない!
「じゃあアミィ、この椅子に座って。」
フィルは窓口の椅子の背もたれを持ってそう言った。
私が座ると、
「・・・アミィ、緊張してる?」
ちょっ!!!ちょっとびっくりするじゃない!!!いきなり耳元で話さないでくれる?!
「そ、そりゃ初めてだからね!!」
なんとかごまかしたわ。マホ!!ニヤニヤしないで!!
「じゃあそろそろ“かいてん”するよーー。」
そういってフィルのお母さんは入口のプレートをOPENに、フィルは私の椅子を入口の方に向けたわ。・・・フィル、寒いからやめてくれる・・・。
最初10分くらいは誰も来なかった。その間私はマニュアルを読んでたけどフィルは私の背もたれを持って鼻歌を歌っていたわ。・・・少し幸せ。
カランカラン。
入口のドアが開くと60代くらいのおじいさんが入ってきた。
「いらっしゃいませ!!」
「「「「「いらっしゃいませ!」」」」」
最初の印象は大事。あたしはとっておきの笑顔で言ったわ。
「この~手紙を、息子に届けたいんじゃが~」
「はい!えっと・・・」
「切手を確認して」
「ふぇ!!」
ちょっとフィル!!耳元で囁かないで!!変な声出ちゃったじゃない!!
「切手よし」
「住所は?」
だから耳元で言わないで!!!
「わかりました、配達しておきます!」
「ありがとう~」
おじいさんはおじぎをすると出て行った。あれ、なんかフィルの方見てた・・・。
「じゃあアミィ、このハガキはあそこにある配達場所別の箱に入れてね。」
「えっと・・学校の近くだからこの箱ね」
あたしが箱にはがきを入れるとフィルのおじい様がそれを取り出してみんなにその後どうするか説明していた。
「交代したときにまた教えるから大丈夫だよ」
「ありがとフィル。」
あたしが椅子に戻ると次のお客さんが来た。今度はおばあちゃんだ。
「この荷物をね~孫に送りたいんだけどね~」
「はい。えっと・・・」
そうするとフィルが机の下から量りを出した。そう!まずは重さね。
「1キロ・・・」
「一応何が入ってるか聞いてね」
「中身は何ですか?」
あたしが尋ねると、
「孫にあげるおもちゃが入ってるんだけどね~。」
「わかりました。それではこちらの紙にお客様のお名前と住所、そして受け取り人のお名前と住所をお願いします。」
「はいはい」
おばあちゃんはそういうとすらすらと書き始めた。その間にあたしは料金の計算を始めた。
「じゃあこれでお願いね~」
「はい、ありがとうございます。では代金はこちらです。」
お金を払うとおばあちゃんは笑顔で帰っていった。またフィルを見てる・・・。
「じゃあアミィ。荷物の場合はこの紙が写し紙になってるから下の紙を荷物に張り付けてね。後はハガキと一緒で箱に入れておいて」
あたしは椅子に戻ると息をついた。
「疲れちゃった?」
フィル!!顔近い!!
「そ、そんなことあるわけないじゃないの!!」
なんでフィルはこんなにグイグイくるの!!初めて会った時は何も興味ないみたいな顔して、だんだん距離を詰めてきて!!今ではゼロ距離よ!!あのCOROシリーズが言ってる通りだわ。
その後はマホやみんなに交代して同じようにフィルが教えた。マホやアキラのときも顔近いのよね・・・。ちょっと悔しい。
気づいたんだけどお客さんお年寄りばっかりね。そのみんなが優しくて私がオドオドしても待っててくれた。いいお客さんばかりでよかった・・・。
「さぁ今日の業務は終わりだよーーー。」
時計が5時を回るとフィルがみんなに声をかけた。
「ふーーーー。疲れた・・」
リュークが椅子に座り込んだ。
「接客業 難しい」
体力に自信があるウォールも疲れていた。あたしも疲れちゃった
「さぁみんなこれから配達いくよー」
「「「「「えっ?」」」」」
みんなの声が重なった。
「えっ?じゃないよ。みんなは今日仕事初めだけど、うちは昨日も仕事してるの。今日の夕方の配達があるからそれ行くよ!!」
「さ!さ!」と急かすフィルはピンピンしていた。そうよね・・・。フィルは学校来てた時以外はずっと仕事してたんだもんね。学校では仕事のことなんか全然話さなかったし。
やるわねフィル、これが仕事ね!
「じゃあアミィ、荷物が4件あるんだけどどう回ればいいでしょう!」
あたしの出番ね!
「今日は道が空いていると思うけど季節とか時間帯によっては混むからそれも気を付けてね。後工事とか・・」
「わかってるわよ!!」
怒ってないわよ?笑ってるの!
「ここのこう!!ここを曲がって!!一件目よ!」
渡された地図に赤いペンでスラスラと書く私をフィルがニコニコしながら見ていた。
「できたわ!荷物は軽いから2人でいいでしょ?」
「ありがとうアミィ。じゃあリューク行くよ!」
「俺かよーーー。」
「リュークは配達担当なんだから道覚えとかないと。いくぞ二等兵!!」
「サァーー!!って俺ウォールより下なの?!」
フィルとリュークは荷物を持って外に出ていった。
「さっ、残ったみんなは後片付けと晩御飯の用意しましょ。手伝ってくれる?」
フィルのおばさまが言った。
「自分 片付け します」
「じゃあウォール君片付けお願いね~。おじいちゃん教えてあげてね。あ、アミィちゃんはおばさんと一緒にご飯作りましょ!」
なぜか指名されてしまった。
その後あたしはおばさまと一緒に台所に立った。今日はカレーだった。
「アミィちゃん包丁うまいわねー」
「はい、一応家で練習してましたので」
「花嫁修業~?」
「ち、違います!!・・・でも一応それもあります。」
おばさまがあたしの顔を覗き込んで聞いてくるがなんとか平常心を保つ。
「フィリックスのどこを好きになったの?」
「!!!」
切っていたジャガイモがすごいところに飛んでいってしまった。
「あれ?もしかしておばさんの勘違い?」
「えっ!違います!あっそれも違います!!好きっていうのは、えっと・・えっと・・・。あーーー!!」
「アミィちゃん包丁危ないーー!!」
包丁を振り回していた私はその後なんとか平常心を取り戻せた。
「・・・すいません。」
「いいのよ。おばさん変なこと聞いちゃったから。でもね、アミィちゃんみたいな子ならおばさん大歓迎よ!」
鍋を混ぜながらおばさまが言った。嬉しいような恥ずかしいような・・・
「どこを好きになったか当ててあげましょうか?まずみんなと違って自分のことに最初見向きもしなかったこと」
当たってる・・・。あたしは家がスコルピ家だって事で学校では入学した時からいろいろ言い寄る男がいたけどフィルは違った。
「でもきっかけがあるはずよ。そこでアミィちゃんがフィリックスのことを気にし始めた。」
そう、あれはいつもみたいに言い寄られていて階段を降りてた時。足を踏み外した私を受け止めてくれたの。「大丈夫?」それがフィルの声を聞いた最初。そのまま「ケガがなくてよかった」と言って立ち去ったわ。
「それで突然うちの班に入らないかって言われたんでしょ?」
なんでおばさまわかるのかしら?
「でも『はい』って言った瞬間『ありがとう!』って言われて手でも握られたんでしょ?」
やばい、顔熱い。今頃顔真っ赤・・・。
「そこからの距離の詰め方はすごかったでしょ?でも下心とかはまったくないでしょ?こっちばっかりドキドキして損しちゃうわよね。」
「どうして・・・」
あたしはおばさまに聞いた。
「あの子は嫌だろうけどお父さんそっくりなの。私もそれでやられたわ。」
フィルのおじさま・・・。少しは聞いたけどあんまり話したがらなかったわよね。
「アミィちゃん」
おばさまが真剣な顔で見つめてきた。
「あの子はたぶんお父さんと同じで離すとすぐ逃げちゃうわ。だからもしアミィちゃんがフィリックスのこと好きならちゃんと捕まえておいてね。おばさんみたいになってほしくないの。」
あたしの手を握って言うおばさまはなんだか少し悲しそうだった。
「はい」
あたしはおばさまの目を見て言った。
「頑張ってね!でもやっぱりフィリックスのこと好きなんじゃない。」
「あ!ち、違いますおばさま!!」
あたしが顔を真っ赤にして言うとおばさまは笑っていたわ。
「「ただいまーー!」」
そうしているうちにフィルとリュークが帰ってきた。
その後の夕食ではフィルの顔見られなかった・・・見た瞬間顔が真っ赤になってまたマホに言われちゃう。
でもこれがあたしの気持ち・・・。人を好きになるってこんな気持ちだったんだ。今までは仕事上の関係ばっかりだったけど学校に入ってフィルに会ってみんなに会って、自分を出せるところを見つけた。
あたしはこの関係を大事にしたい。絶対壊したくない。
自室でアミィが業務日誌を書いていたが、ふと気づいたことがあった。あれ?これって5年後みんなで見るのよね・・・。削除削除削除!!!消えない!なんで?!
パソコンを見ると可愛らしいフィルのアイコンが出ていて『話の流れを大きく変える添削はできません』と書かれた看板を持っていた。
「あーーーーー!!!」
その日会社にアミィの叫び声が響いた。