『可愛いは正義』です
大変お待たせ致しました!!
※遅ればせながら、前回、作者の別作品が誤って投稿されてしまっていた事を、深くお詫び申し上げます。
薄暗い森の中、1人佇む人影があった。
腕を組み木に寄りかかり、その美しい容貌には笑みを浮かべていた。
彼はくすくすと微笑むと、そっと空を見上げる。しかしその瞳は軽く閉じられており、何か意図があっての行動ではないことを示す。
その動きに合わせて、さらりと彼の美しい黒髪が揺れた。
腰まであるその豊かな髪は、首のあたりで緩く1つに結わえており、ほっそりとした肢体と相俟って、遠目からでは女性のように見えなくもない。
しかし、その声は僅かに低く、女性のそれでないことがわかる。
静かな空間に、美声が響き渡る。
「ああ、絶対絶命……ってやつですね。」
楽しげに呟く。
「哀れな子羊は、餓えた狼の手のうちに……。」
まるで、歌う様に紡がれる彼の独白。
「それは子猫の皮を被った狼……。子猫の皮の下の狼さんの存在に気付かなければ、貴女は――
……気付いた、様ですね。」
彼の声に、僅かに感嘆が混じる。
「なかなか鋭い方のようですね。彼女は。
……それとも、舞台に上がった役者が大根過ぎるだけでしょうか……。
――どう 思われますか……?」
最後の台詞は、特定の相手に投げかけるものだった。
しかし彼は向きを変えることもなく、その瞳は閉じられたまま。
僅かな沈黙の後、彼しかいない筈のその静かな空間に、彼とは違う美声が響いた。
「どちらも、ですね……。」
その声とともに空気が揺れ、白銀の光が差し込む。
まるで彼の存在に鼓舞されたように木々が揺れ、圧倒的な力の奔流があたりを埋め尽くす。
足音もなくゆったりと歩み寄り、彼が動くたびに白銀の光が揺れる。
ふわりと、その天女のような美しい容貌に相応しい笑みを湛え、その形の良い唇から言葉か発せられる。
「何より、可愛らしさが足りません。」
突然何の前触れもなく現れた白い人影は、黒い人影に近づいてゆく。
「美雨を美雨たらしめているのは、あの愛らしさです。可愛くなければ美雨ではありません。」
彼が歩を進めるたび、銀糸の髪が揺れる。
「もっと言うなら、多少言動がおかしくとも、可愛ければいいのです。可愛さが全て……。」
聖母のような微笑み、天上に響き渡る妙なる美声。
「つまり、『可愛いは正義』です。」
どーん、と自信満々に断言する彼の言動に動揺することもなく、黒髪の青年は穏やかに問いかける。
「……成程。素晴らしい自論です。流石は陛下。――しかし、なんですか?それは」
白い影、千歳は、誰もが見とれるような美しい笑みを湛えて答える。
「人の世で読まれている、某萌え系漫画のアオリ文句ですよ。」
形の良い唇から、その美声に非常に似つかわしくない単語が飛び出してきた。
「その言葉にいたく感銘を受けた私は、いつか使ってやろうと虎視眈々と狙っていたのです。このたび、漸く日の目を見ることができましたが……。」
「成程。そのようなものにまで視野を広げてらっしゃるとは……流石は陛下。博識でらっしゃる……。」
「ふふふ。人の世に紛れるためには、必要な知識です。」
本気で言っているのか、冗談なのか。全く読み取れない笑顔を湛えながら近づいてきた千歳は、黒い人影の目の前で歩みを止めた。
「久しいですね。サンビ。」
その呼びかけに、閉じられていた瞼をようやく開く。
くるりと千歳の方へ身体を向けると、頭を垂れ、恭しく礼をする。
「御無沙汰を致しております。我が君。我らが至高の王よ。」
芝居がかった口調、仕種で千歳を迎えた黒い影、サンビは、頭を上げると、その麗しい容貌に千歳のそれによく似た笑みを浮かべた。
「ようこそお越し下さいました。……我が結界内へ……。」
ざぁ、と木々が揺れる。
2人の銀と黒の対照的な長髪が風に遊ばれ、宵闇の中の月光の如く美しい色彩を醸し出していた。
穏やかに微笑み合う2人。
きっと、栞がこの光景を見ていたなら気付いたに違いない。
微笑むサンビを見たときの異様な既視感。
――誰かに似ている――
そう、彼らの纏う雰囲気、微笑みは同種のもので。
きっと、彼女なら心の底から叫んでくれたかもしれない。
――こいつかーーーーーー!!!!!!
……と。
しかしこの場には2人しかおらず、そのような優しい言葉をかけてくれる者はいない。
静寂の支配するその空間で、彼らは非常に酷似した笑顔を湛えつつ話を続ける。
「全く。困ったものですね。貴方のその悪い癖にも……。」
千歳は、全く困ったようには見えない笑顔で言う。
「いやですねぇ、陛下。これは癖ではなくて趣味ですよ。」
知っているクセに。にこにこと悪びれなくサンビは答える。
「ええ、貴方の高尚な趣味は充分に承知しておりますよ。……でも、今回は少々間が悪かった。姫も大層ご立腹です。」
「それは怖い。姫を怒らせるつもりはなかったのですが……。しかし、謝罪は致しませんよ?今回のことは、貴方のためにもなる筈だ。」
ふふと微笑みながらサンビは続ける。
「御覧下さい。陛下。貴方のお気に入りの子猫ちゃんは頑張っているようですよ。
……ほら、一匹倒してしまった。」
ふふと微笑みながら千歳は応じる。
「ええ。美雨は頑張り屋さんですからね。彼女が一生懸命頑張っている姿はとても愛らしく、癒されますよねぇ……。」
にこにこと微笑んでいた千歳だが、ふと真顔になる。
「癒し系は見ていて癒されるからこその癒し系です。寧ろ彼らは癒し系ではなく卑しい系です。全く以て癒されません。」
きっぱりと断言した千歳に、サンビはまるで弁明するように答えた。
「演技指導は致しましたよ?話し方、敬称、羊の名前……何より、笑顔が1番大切だと教えて差し上げたのに……。」
「ええ。笑顔は大切です。美雨の無垢なる笑顔は究極の癒しです。あの笑顔をマスター出来なければ、美雨の仮面を被ることは出来ません。
美雨の仮面を被れていない彼らは、コスプレした只の変な人です。」
「ええ。全く。仰せの通りです。彼らの笑顔は機械的で美しくない。」
「そうでしょう。そうでしょう。笑顔はとても大切です。
笑顔が全て。笑顔は地球を救うんです。」
再び、どーんと断言した千歳に対し、サンビは拍手を以て応えた。
「流石です、陛下。陛下の御高説には感激して言葉も出ません。」
にこにこにこ。
にこやかに会話する2人。
日の射さぬ、薄暗い森の中。少しばかり肌寒い程度のその空間が、異様な程温度が下がっているように思えるのは気のせいだろうか。
何も知らぬ者が通ったら裸足で逃げ出したくなるような爽やかな雰囲気を漂わせつつ、2人はやはり酷似した笑顔を湛えながら、うふふあははと笑い続けていた。
千歳の推奨する 笑顔で。
しばらくにこやかに談笑していた2人だったが、ふと視線を逸らすと、再び微笑みながら会話を続ける。
「……おや、倒せてはいなかった様ですね。」
「美雨の攻撃は少々軽いですからね。その上、今の彼女のコンディションは最悪です。
……貴方でしょう?彼らに美雨の弱点を教えたのは……」
「ええ。依頼を受けたからには完璧に仕事をこなしますよ。
……しかし、猫にマタタビは本当に効くのですね。いいデータが取れましたよ。」
にこにこと悪びれなく微笑むサンビ。
千歳は困ったように――見えない笑顔で答える。
「未青年の飲酒は法律で固く禁じられているはずなんですけどねぇ……。猫にマタタビも飲酒の内に入るのでしょうか……。」
「酒に酔ったような症状が出るだけで実際には呑んでいない訳ですから、宜しいのではないのですか?
そもそも彼女は未青年ではないでしょう。」
「見た目はぴちぴちの女子高生ですよ。」
にこにこにこ。
話の核心がずれていることに気付いているのかいないのか……。
なおも2人は笑顔で続ける。
「再び大ピンチというやつですね。」
「女の子に手を上げるなんて最低ですね。併せて姫に報告しておくべきでしょうか……。」
「痛そうですねぇ……。」
何処か呑気な会話を続ける狐2匹。
「……おや……。」
「真打登場ですか。」
「ヒーローは遅れてやってくるものですよ。」
「小姫は大変ご立腹のようですね。」
「美雨と真紅は親友ですからね。」
ふふと微笑みながら、サンビは感嘆のため息を漏らす。
「やはり小姫の力は圧倒的ですねぇ……。2人まとめて吹き飛ばしてしまいましたよ。」
感嘆のため息をつきつつ、2人はにこにこと微笑みながら生暖かい眼で状況を見守っていた。
しかし次の瞬間、2人の声が重なった。
「「あ……」」
そして、2人は揃って同じ行動をした。
――つまり、僅かに肩を震わせつつ、真紅に賛辞の言葉を贈ったのだ。
「成程……小姫得意の超音波ですか。しかし、傷ついた仲間に止めを刺すなんて……流石は姫のご同族です。」
「怒りで力を御しきれていないのでしょうね。羊にもダメージがいったようです。」
ぷるぷるぷる。その肩は僅かに揺れている。
心なしか、その笑顔も普段の倍は眩い。
「子猫ちゃんは満身創痍の中、小姫の苦手としているものを始末して下さいましたのに……。流石は小姫です……外しませんねぇ……。」
「ええ。真紅のような逸材が私の所に来て下さったこと……神に感謝したいくらいです。……まるで昔の姫を見ているようだ……。」
「嫌ですねぇ……陛下。魔の者が神に感謝しないで下さいよ。」
「そうですねぇ……私も昔は祝詞や真言に苦労させられましたしねぇ……。でも、神は神でも荼吉尼ちゃんとは仲良しですよ?」
「神と名の付く者と親しくされているなんて、流石は陛下。」
にこにこにこ。
何処までもずれていく会話を、咎める者はこの場にはいなかった……。
サンビは興味深そうに問いかける。
「しかし……姫にもそのような時代が御有りだったのですか?」
「ええ……。最も、姫の場合はこの学園にいらした頃には既にほぼ完璧に力の制御は出来ておりましたが……。」
千歳は懐かしそうに眼を細める。
「或る日のことです……。広和の敷地にて、力無き妖が、ある妖に捕食されようとしていたのです……。
学園の風紀を乱す者として罰を与えなければなりません。ですから姫にご足労願ったのです……。」
朗々と、千歳の美声が響く。
「その時の姫の御英断は今でも忘れられません……。」
一拍の後、ふわりと柔らかく微笑んで、続けた。
「姫は、喧嘩両成敗と高らかに宣言されまして、被害者ごと吹き飛ばしてしまわれたのです……。」
「……おや。」
「被害者も、加害者も。2人とも、四肢は裂け顔の判別も出来ぬほどに損傷してしまいまして……元通りに回復するまでに、10年近く眠り続けたと思いますが……。」
「流石は姫。豪快ですね……。」
サンビは感心したように呟く。
「ええ。余談ですが、その周りにいた20名近い妖達も巻き込まれまして……。
……まぁ、似たような末路を辿ったのですが……。」
きらきらきら。爽やかな微笑みで続ける千歳。
「ふむ。矢張り小姫は姫の足元にも及ばない……ということですか。」
「ええ。真紅もとても才能溢れる子なのですが、残念ながら、元からの素質の違いは大きい……。」
にこにこにこ。爽やかに微笑み合う2人。
「……おや……。」
「再びピンチですね。」
「……貴方が言いますか……。」
笑みを絶やさず続ける。
「全く……真紅の弱点を敵に流したのは貴方でしょう?」
困った子です。全く以て困っていない調子で答える。
「ふふ、サービスですよ。羊を食すまでお付き合いできませんからね。」
「そんなことを言って……ここまでが貴方の計画のうちなのでしょう?」
漸く、千歳の表情に険しさが浮かぶ。
「またたびで美雨の四肢の自由を奪い、無力化した後、幻術で羊を広和領まで誘導した……。
そしてあの者たちに幻術をかけ、美雨や真紅の姿を模すことで羊の油断を誘う。本人が現れたところで、美雨はまともに戦えませんし、動けない美雨を狙えば、その血を以て真紅まで無効化することが出来る……。」
上手いものです。そう言ってサンビを見る眼には、僅かに鋭さが混じっていた。
その咎めるような視線に動じることなく、サンビはにこやかに微笑む。
しかしその微笑みは今迄の笑顔とはどこか異質のもので、僅かに感情を抑えた様な、無機質な笑みだった。
「三尾。」
千歳が鋭く問いかける。
「お前の実力は上級……同じ三尾の閃華よりも上です。なのに何故その力を腐らせておくのですか?」
三尾は、ふ、と微笑みながら答える。
「私の力をどう使おうと私の自由です。私は只、自分の実力を試したい……。」
うっとりと、恍惚の表情を浮かべながら語る。
「能力、性格、思考、力……全てを計算した上で駒を動かす。
物事が私の計算どおりに動いた時の快感……。こればかりは止められません……。」
千歳は困ったように微笑んだ。
「全く……その趣味さえなければ貴方も常盤に移せますのに……。」
「陛下。私は広和で充分ですよ。」
何処か芝居がかった口調で語る。
「私はたまたま他者よりも高い能力を有していた……ただそれだけです。しかし自ら望んだことではないとはいえ、私が他よりも優れていることは事実。
喩え望んだところで此処まで辿り着ける者は極僅か……。その前に散ってしまう者が殆どです。
なれば、更に能力を高めることこそが、私の使命……。志半ばで散って行った者達への餞……。」
ひたと千歳を見据え、冷めた口調で続ける。
「常盤にて、人の子に飼われるのは御免です。」
千歳は応えない。しかし気にすることなく続ける。
「陛下……私はね、貴方の呪いを解呪することを諦めてはいませんよ……。
――喩え貴方がそれを望まなくとも……。」
「……。」
「貴方は我ら妖孤の頂点に立つべきお方だ。……それを、あの女っ!!忌々しい陰陽師めが……!!」
笑顔の仮面の剥がれ落ちた三尾を見据え、千歳は困ったように微笑んだ。
「私は今、とても充実しているのですが……なかなか理解しては頂けないようです。
――お前にも、いつか分かる時が来ますよ……。」
柔らかくほほ笑む千歳を見、皮肉気に微笑む。
「わかりたくもありません。そんなもの……。」
飽くまでも頑固に否定する三尾を見つめ、仕方がないと苦笑する。
「 」
千歳の形の良い唇が開かれると同時にざぁと木々が揺れ、放たれた言葉を拡散させた。しかし三尾は、その唇から発せられた言葉を聞き逃しはしなかった。
千歳が――己の敬愛する至高の存在である彼がつけた、己の名。
「お前の心は、まだ 流れたままですか……?」
その瞳は力を宿し、軽薄な笑みは消え失せていた。
「いつか……お前の心が留まる刻が来る事を、祈って いますよ。」
あの、色鮮やかな瞬間――
胸の中に流れ込む、温かい何か
満ち足りた気持ち
いつか……きっと……。
あの満ち足りた日々――
眩しい笑顔――
そして、美しい声で紡がれる 優しい そして残酷な呪――
「人に飼われることが、ですか?」
ふと昔を思い出していた千歳は、その皮肉気な声に現実に立ち戻る。
苦々しげな三尾の表情に、苦笑しながら答える。
「お前は妙なところで頭が固いですねぇ……。別に飼うとか喰うとか、そういうことではないのですが……。」
にこにこと微笑みながら続ける。
「人の子の寿命は本当に短い――我々からしたら、本当に瞬きをする間のようだ……。」
そっと目を伏せる。
眼を閉じれば、今でも色鮮やかに蘇る。
一瞬で消えていった命。
けれども、確実に「何を」残していった、卑小なる存在。
「三尾。確かに人の寿命は短く、取るに足らない存在です。我々からしてみたら、ただの餌にしか過ぎないのかもしれません。しかし、儚いからこそ、強く 何かを残せるのかもしれませんね……。」
そう言って、千歳はふわりと微笑みかける。
しかし、三尾は既に笑顔の仮面をつけ直していた。
「陛下……。そのようなことを仰る為にわざわざ結界を破ってまで来られたのですか?」
「ふふ。そこに結界があれば破りたくなるのが人の性……。姫とて仰っておりましたよ?そこに壁があれば粉砕したくなるのが人というものだと……。」
「あはは。陛下も姫も人ではないでしょう。」
「ふふふ。いやですねぇ、三尾。この学園の目的を忘れたのですか?人と妖の共存ですよ。そのためには人の思考を理解し、少しでも近付く事が大切なのです。」
「成る程、流石は陛下。お考えが深くてらっしゃる。」
再びうふふあははと微笑み合う2人。
そこには先程までの緊迫した雰囲気は欠片も残っていなかった。
完全に自分を取り戻した三尾を見て、内心苦笑する。
――今は、それでいい。
この子を変えるのは、自分ではない――。
恐らく、この頑なな心を溶かすのは人の子――
(――お前のその考えを変えてくれるような、かけがえのない何かを得られることを心から願っていますよ――三尾。)
千歳は小さく微笑んだ。
「しかし陛下。あの可愛らしい一尾はあんなところで何をしているのですか?」
「ああ、ヒーローは遅れて登場して、いいところを全て持って行くものだと常日頃から教えておりますからね。」
「成る程。素晴らしい教育です。」
うふふあははと微笑み合っていると、巨大な、禍々しい気配を感じた。
「おや、彼までご登場ですか。」
疾走する黒い影を見つけ、怖い怖いと嘯く。
「姫のご命令ですからね。ふふ。楽しみを取られて、姫は大層ご立腹されておりましたよ。」
「ああ、それは怖い。弁明に伺わなければ……。」
「では、一緒に行きましょうか。」
そう言って、三尾の張った結界をすり抜ける。
「そうそう、大切なことを言い忘れていました。」
振り向くと、今日1番の笑顔を向けた。
「幻術の媒介を葉っぱにしたのは素晴らしいです。姫のお言葉を拝借するならば、グッジョブですよ。三尾。」
その姿が徐々に薄らいでゆく。
「矢張り、狐と狸は葉を頭に乗せて変化するのが常ですからねぇ……。」
千歳の姿がその場から消え去る。
それだけは、褒めて差し上げますよ……。
その言葉の余韻を残して、完全に気配が消えた。
三尾は苦笑しながら結界を解いた。
「あっさりと抜けられていきましたねぇ……。」
しかし、悔しいなんて感情は全く浮かんでこない。
それは、彼が自分より優れているから。
自分が他の妖狐よりも優れているように、彼は自分の遥か上をゆく。
他者よりも優れている以上、手の届かない至高の存在であるべきなのだ。
余韻さえも残らぬほど完全に結界を消してしまうと、ふわりと微笑み、彼の後を追った。
狐は飽く迄も狐だというお話。
裏方も頑張っております。




