第13話 我、聞き捨てならぬ (10/12書き直し)
教壇に立つ千葉に視線を向けたマオだったが、ふと窓の外が目に入り、違和感を覚えた。
「…………」
外の景色が見えている。
それ自体は、何もおかしなことではない。普通の教室なら、窓から外の景色が見えるのは当たり前だ。
だが、この校舎は違う。
(…………あれ?)
先ほど外から眺めた時、建物の窓はすべて黒く、中の様子は一切見えなかったはずだ。それなのに今は、窓越しに校庭や桜の木々がはっきりと見えている。春風に揺れる枝も、舞い散る花びらも、まるで普通の窓から眺めているかのようだった。
(我、驚愕)
マオは思わず席を立ち、窓に近づいた。顔を寄せて外を眺めてみるが、景色が歪んでいる様子もない。春の日差しも差し込み、教室の床には窓枠の影が落ちていた。
(どういうことだ? 外からは見えぬのに、中からは見えるのか?)
気になったマオは、一度廊下に出てみることにした。
廊下にも外に面した窓がある。先ほどはあまりにも当たり前の光景だったため、特に気に留めていなかったが、こちらからも校庭がよく見えた。
(…………気づかなんだ)
外から中は見えず、中から外は見える。元の世界では見たこともない、不思議な窓だった。
(これも科学の力か?)
何らかの特殊な加工が施されているのだろうが、仕組みまではわからない。
気になって窓枠を調べてみると、さらに妙なことに気づいた。
(む? 開かぬのか?)
窓には取っ手もなければ、開閉するための仕組みも見当たらない。どうやら、最初から開けられない構造になっているらしい。外の空気を直接取り込むことはできないようだ。
もっとも、廊下も教室も空調がしっかりと効いている。暑くも寒くもなく、空気が淀んでいる様子もない。換気についても、何らかの設備が整えられているのだろう。
(ふむ。実に不思議な建物よな)
マオは感心しながら、もう一度窓の外を眺めた。
そして、不意に懐かしい光景が脳裏に浮かぶ。
(窓か……。そういえば、我の魔王城にも大きな窓が幾つもあったの)
かつて暮らしていた魔王城。
その上層階には、城下町を一望できる巨大な窓が設けられていた。遠くまで広がる街並み。行き交う人々。賑わう市場。そして、その向こうに広がる豊かな大地。
マオが大切にしていた、平和な魔王国の景色だ。
窓から差し込む陽光は室内を明るく照らし、開け放てば心地よい風が入り込んでくる。実に素晴らしい環境だった。
何より――。
(書類から逃げる際には、随分と世話になったものよな)
マオの口元が僅かに緩んだ。
魔王だった頃、執務室の机には毎日のように大量の書類が積み上がっていた。王として処理しなければならないことは理解している。それでも、たまには逃げたくなるというものだ。
そんな時、決まってマオが目を向けたのが窓だった。
机いっぱいの書類からそっと視線を逸らし、城下町を眺める。そして、何食わぬ顔で窓を開けると、そのまま外に出るのだ。
『我は国の様子を確認してくる。何、王として当然の務めよ』
そう言い張って執務室を抜け出したことは、一度や二度ではない。もちろん、毎回成功したわけではなかった。
というより――。
(モロイがおる時は、ほぼ失敗しておったな)
思い出すのは、窓に手を掛けた瞬間、背後から聞こえてきた冷たい声。
『魔王様。どちらへ行かれるのですか?』
『うむ。国の様子を確認しようと思ってな』
『それでしたら、こちらの報告書をご確認ください。各地の状況と民たちの声が詳しく記されております』
『…………』
『現実逃避していないで、書類を片づけてください』
そして、開けかけた窓を閉められ、机に戻される。
(何故、あ奴には一度も通用しなかったのだろうな)
もっとも、モロイがいなければ政務が滞っていたことも、マオ自身よく理解している。
(…………まあ、懐かしい思い出よな)
そんなことを考えていると、背後から声が掛かった。
「マオ? 座らないの?」
「む?」
ユウの声で、マオは我に返った。振り返ると、教室の中からユウと千葉がこちらを見ている。どうやら、二人ともマオが戻るのを待っていたらしい。
「すまぬ。少し考え事をしておった」
「また? マオって、すぐ考え事するよね」
「うむ。考えることは大切だからの」
「そうだけど、今は先生の話を聞かないと」
「…………」
(ユウよ。おぬしに正論を言われるとは)
少々複雑な気分になりながら、マオは教室に戻った。
自分の席には、天神魔王と書かれたネームプレートが置かれている。よく見ると、その下には手書きで『入学おめでとう』という言葉が添えられていた。
(ほう。なかなか気が利いておるではないか)
小さな心遣いに少し嬉しくなり、マオは改めて椅子に腰を下ろした。
それを確認した千葉が、にこやかな笑みを浮かべる。
「では、改めて」
教壇の前に立った千葉は、マオとユウに順番に視線を向けた。
入学式の時と変わらない、落ち着いた表情。姿勢も正しく、服装にも乱れはない。いかにも教師らしい、隙のない立ち姿だった。
ところが――。
「…………」
千葉の両肩から、僅かに力が抜けた。
(む?)
何事かと思って見ていると、千葉は一度目を閉じ、大きく息を吸い込んだ。
そして――。
「はぁ…………」
深いため息を吐いた。
それと同時に、先ほどまで張り詰めていた雰囲気が一気に緩んでいく。
(…………何故、ため息を吐く?)
入学式では背筋を伸ばし、低く落ち着いた声で生徒たちを先導していた。立ち振る舞いにも無駄がなく、教師として申し分のない姿だったはずだ。
その千葉が、突然両手を髪に差し入れた。
そして、綺麗に整えられていた黒髪を、容赦なく掻き崩し始めたのである。
「…………」
せっかく整えられていた髪が、見る間に乱れていく。
それだけではない。
今度はネクタイに手を掛け、窮屈そうに緩めると、そのまま首から抜き取って教卓に放り投げた。さらにジャケットまで脱ぎ始める。
(…………千葉先生よ?)
何が始まったのか。
マオが呆気に取られている間にも、千葉は脱いだジャケットを教卓に無造作に置き、大きく肩を回した。
そして、一言。
「かたっ苦しい!」
「…………」
(我、驚愕)
とうとう言葉遣いまで変わった。
先ほどまでの丁寧で落ち着いた教師は、いったいどこに消えたというのか。
マオは思わず千葉の顔を見つめた。
だが、驚いたのはそれだけではなかった。
(…………む?)
ジャケットを脱いだことで、それまで隠れていたものが露わになっている。
白いシャツの上から装着されたショルダーホルスター。その左脇には拳銃が収められていた。そして、右腰のベルトには鞘に収められたナイフ。
どちらも玩具とは思えない、無骨な造りをしている。
(…………まさか、入学式の最中もずっと持っておったのか?)
確かに千葉は現役のハンターだ。武器を携帯していること自体は、それほど不思議ではないのかもしれない。
だが、ここは中学校。
しかも今日は入学式である。
新入生や保護者が集まる場に、教師が拳銃とナイフを身につけていたとは。
(この学校、我が思っていた以上に普通ではないようだな)
改めて、そう実感させられた。
「これから長い付き合いになるし、もう保護者も他の教師も見てないからな。素でいくぞ」
千葉はそう言い切ると、今度はシャツの袖のボタンを外し始めた。左右の袖を肘の辺りまで捲り上げ、さらに首元のボタンまで外していく。
最後に大きく首を回すと、ようやく満足したらしい。
「ふぅ。やっと楽になった」
「…………」
(なるほど。こちらが素か)
マオは千葉をじっと観察した。
乱れた黒髪。少し気だるそうな表情。緩められたシャツに、捲り上げた袖。左脇には拳銃。右腰にはナイフ。
入学式で見せていた姿とは、まるで別人である。
(少々残念ではあるが……むしろ、こちらの方がらしいとも思えるの)
教師として保護者や他の生徒の前に立つ時には、きちんとした姿を見せる。そして、自分の受け持つ生徒だけになれば、肩の力を抜いて本来の姿に戻る。それだけのことなのだろう。
だが、マオは別の部分にも感心していた。
(切り替えが上手い。こういう輩は、なかなか手強いぞ)
人前での立ち振る舞いを意識して変えられるということは、それだけ自分を律する能力があるということだ。今の気だるそうな姿だけを見て、油断してよい相手ではない。
何より、千葉はS級ハンターなのだ。その実力が見た目どおりとは限らない。
(しかし……)
改めて千葉を眺め、マオは僅かに首を傾げた。
(なんぞ、漫画で新宿辺りを根城にしておるハンターみたいになったな)
由紀の書庫で読んだ漫画を思い出す。
無造作な髪に、気だるそうな態度。そして、銃を携帯した凄腕の男。
(…………妙に似ておるの)
あまりにも雰囲気が近く、思わず笑いそうになった。
「さて。改めて、ようこそ国立八王子中学校ダンジョン科へ。ここは中高一貫校だ。ちなみに、さっき通った校舎は一般生徒用な。今日は誰もいないが」
(おお)
その説明に、マオは小さく頷いた。
ようやく、一つ疑問が解けた。
先ほど通り抜けた大きな校舎。あちらは、一般の生徒たちが使う建物だったらしい。つまり、校庭の端に並んでいた八棟は、すべてダンジョン科専用ということになる。
(やはり、我らだけ別の場所に隔離されておるのか)
そう考えると、ますます不思議だった。わざわざ校舎を分ける必要があるのだろうか。しかも、こちらの建物には認証装置まで設置されている。
(何故、そこまでする必要がある?)
疑問は残ったが、千葉の説明はまだ始まったばかりだ。マオは口を挟まず、続きを待つことにした。
「まずは自己紹介だな。俺はS級ハンターの千葉茂雄。今日からお前らS組の担任だ」
千葉はそう言うと、背後のデジタル黒板に向き直った。そして、指先を画面に滑らせ、自分の名前を書き込んでいく。
千葉茂雄。
「…………」
(何故、行書体?)
しかも、妙に達筆だった。一画一画に迷いがなく、整った文字が黒板に並んでいる。
乱れた髪。崩した服装。先ほどまでとは打って変わった粗い口調。
そのどれとも似つかわしくないほど、書かれた文字だけは堂々としていた。
(…………無駄に上手いの)
少し感心してしまった。
「さて。まずは、お前らに生徒手帳を渡す」
(生徒手帳とな?)
マオの視線が教卓に向いた。
そこには、二冊の手帳らしきものが置かれている。
(小学校にはなかったものだの)
生徒手帳という存在自体は知っている。学校の規則や生徒として守るべき決まりなどが記されているものだ。ただし、実物を手にするのは初めてだった。
(この学校の設備についても書かれておるのだろうか?)
先ほどから疑問ばかり増えているだけに、中身には興味がある。
千葉は教卓に置かれた二冊を手に取った。
「天神。白崎。ほい」
そして――。
何のためらいもなく投げた。
「むっ」
「わっ」
二冊の手帳が宙を舞う。マオとユウは、それぞれ自分に向かって飛んできた手帳を受け止めた。
「…………」
マオの眉間に皺が寄る。
(投げて渡すでない! 教師であろう!)
仮にも、学校から生徒に渡す大切なもののはずだ。それを、まるで菓子でも配るように投げ渡すとは。
千葉は何事もなかったように教卓に寄りかかっている。
(入学式の時の丁寧な教師を返せ)
心の中で文句を言いながらも、マオは受け取った生徒手帳に視線を落とした。
外見は、少し厚みのある普通の手帳に見える。表紙には学校名が印字され、しっかりとした作りになっていた。
だが、開いてみると印象が変わった。
「む?」
表紙の内側に、硬質なプレートが嵌め込まれている。大きさはカード程度。先ほど校舎の入口で、千葉が認証装置にかざしていたものとよく似ていた。
試しに指先で触れ、軽く動かしてみる。
(ほう。取り外せるのか)
どうやら、表紙にはプレートを固定するための仕組みが設けられているらしい。少し力を加えるだけで取り外せるが、普通に手帳を扱う程度では外れないようになっている。
(なるほど。ただの手帳ではないのだな)
マオは興味深そうにプレートを眺めた後、元の位置に戻した。
そして、早速中身を読み始める。
最初に目に入ったのは校則。続いて、施設の利用方法。生徒として守るべき禁止事項に、緊急時の対応。さらに、装備の管理や教員への報告義務まで記されていた。
頁をめくっても、まだまだ続く。
(…………多いな)
思っていた以上に細かい。一般的な学校で必要になる規則だけではなく、ダンジョン科特有と思われる内容まで大量に書かれている。しかも、ところどころに注意書きまで添えられていた。
(これは、しっかりと読んでおかねばならぬな)
元魔王として、規則の重要性は十分に理解している。規則を知らなかったでは済まされないことも、これまで何度となく経験してきた。
それにしても――。
(……モロイから受けた小言も、これくらいあっただろうか)
ふと、懐かしい部下の顔が脳裏をよぎる。
(いや、もっと多かった気もするの)
少なくとも、一冊の手帳に収まる量ではなかったような気がする。
「適当に目を通しておいてくれ。重要なことだけ、今から説明する」
「…………」
マオの指が止まった。
(…………適当に?)
千葉の顔を見上げる。当の本人は、まったく気にした様子もない。
(千葉先生よ。そこは『必ず全部読め』と言うところではないのか?)
規則を渡しておきながら、適当に目を通せとは。なかなか豪快な教師である。
隣では、ユウが素直に手帳をぱらぱらとめくっていた。一方のマオは、一度開いた頁を最初まで戻す。
実は、マオには昔から一つの癖があった。
規則。契約。法律。
そうした文書は、最初から最後まで自分の目で確認しなければ落ち着かないのだ。重要な部分だけ聞けばよい、という考えにはなれない。後になって「知らなかった」では済まされないからである。
(何せ、我は一国を治めておった魔王。文書の確認など当然のことよ)
そう。
王として、当然の心得である。
決して。
決して――。
『魔王様。最後まで読んでから署名してください』
『魔王様。途中を飛ばさないでください』
『魔王様。そこ、今読んでいませんでしたよね?』
長年モロイに監視され、無理やり文書を読まされ続けた結果ではない。
(断じて違う)
そう思いたかった。
もっとも、今でも大量の書類を目の前にすれば、窓の外を眺めたくなる自信はある。
(…………まあ、それとこれとは別よな)
「さて。明日からは私服登校でいい。ただし、基本は動きやすい服装にしろ。過度なアクセサリーやネイルは禁止だ」
「あ、だから制服がなかったんだ」
ユウが納得したように頷いた。
「うむ。そういうことか」
言われてみれば、今日の新入生たちは服装が統一されていなかった。
男子生徒は、スーツに近い落ち着いた格好をしている者が多かった。一方、女子生徒はかなり自由だった。ワンピースやスカート、パンツスタイル。色も形も様々で、同じ格好をしている者はほとんど見当たらなかった。
そういうマオとユウも、黒を基調としたパンツスーツ姿だ。入学式に合わせ、由紀たちが選んでくれたものである。見た目は落ち着いているが動きやすく、マオ自身も気に入っていた。
(しかし、明日から毎朝服を選ぶのか……)
これからは、学校へ着ていく服まで自分で考えなければならないらしい。
(…………少し面倒よな)
毎朝の仕事が一つ増えた気分である。
もっとも、動きやすい服装なら手持ちの衣服にも幾つかある。今すぐ困ることはないだろう。
(まあ、母上に相談すればよいか)
そう結論づけたところで、千葉が次の説明を始めた。
「それと、入口を見ただろ。この校舎に出入りできる人間は限られてる。中に入る時は、生徒手帳の表紙に入ってる認証プレートを認証装置にかざせ。認証が通れば扉が開く」
(やはり、あれが鍵か)
マオは表紙に嵌め込まれたプレートを改めて見た。
生徒手帳であり、校舎に入るための電子鍵でもある。一つで二つの役割を持たせているらしい。
(なかなか合理的な仕組みではないか)
ただし、そこまで厳重に出入りを管理する必要があるのかという疑問は残る。校舎ごとに認証装置を設置し、許可された人間だけを入れる。まるで、重要な研究施設のようだ。
(何をそこまで警戒しておるのだろうな?)
先ほど見た黒い窓も気になってくる。外から室内を覗けず、窓そのものも開けられない。そのうえ、出入りには認証が必要。
(…………本当に学校なのだよな?)
「プレートは取り外して使っても構わない。ただし、なくすなよ。なくしたら再発行するまで校舎に入れんぞ」
「それは困るね」
ユウが早速プレートを取り外し、興味深そうに表裏を眺め始めた。
マオも同じように取り外してみる。
薄く、軽い。
これなら持ち歩くのにも邪魔にはならないだろう。
(毎日使うのであれば、首から下げられるようにしておくのがよさそうだな)
鞄の奥にしまい込んでは、校舎に入る度に探す羽目になる。かといって、ポケットに入れておくのも紛失しそうで少々不安だ。
(後で何か用意するかの)
マオはプレートを表紙に戻し、しっかり固定されていることを確認した。
「それから――」
千葉が続ける。
「これは身分証明にもなる。あと、万が一の際の身元確認にも使うから、必ず毎日携帯するように」
「…………」
マオの手が止まった。
(…………身元確認?)
ゆっくりと顔を上げる。
聞き間違いではない。
確かに、今そう言った。
生徒手帳。校舎に入るための電子鍵。そして、身分証明。
そこまでは理解できる。
だが――。
(万が一の際の身元確認とは、どういう意味ぞ?)
単に意識を失った場合。何らかの事故に巻き込まれた場合。そうした状況で本人を特定するためなら、理解できなくもない。
しかし、どうにも引っかかる。
ここはダンジョンハンターを育成する学校なのだ。先ほどから目にしてきた設備も、一般的な中学校とは明らかに違っている。
クラスごとに分けられた専用校舎。認証によって管理された入口。外から内部を覗くことのできない窓。そして、拳銃とナイフを当然のように携行している現役ハンターの教師。
そこに――身元確認。
(…………まさか)
嫌でも、一つの可能性が頭に浮かぶ。
マオは手元の生徒手帳から視線を上げ、教壇の前に立つ千葉を見つめた。
当の本人は、まるで「忘れ物をするな」と注意しただけのように、気楽な様子で教卓に身体を預けている。
その態度が、余計に気になった。
(千葉先生よ……)
マオの目が僅かに細くなる。
(今、随分と聞き捨てならぬことを、さらりと言わなかったか?)
学校生活の説明をしていたはずだ。
服装の決まり。生徒手帳の使い方。校舎への出入り。
どれも、入学初日に説明する内容としては理解できる。
だが、最後の一言だけは違った。
少なくとも、マオにはそう聞こえた。
これから始まる学校生活。その説明の中に、何か重大なことが紛れ込んでいたような気がしてならない。
(…………これは、確認しておいた方がよさそうだな)
マオは生徒手帳を静かに机に置き、改めて千葉に視線を向けた。




