第12話 我、隔離? (10/10書き直し)
入学式を終え、千葉の後に続いて体育館を出たマオは、先ほどから一つの疑問を抱えていた。
(千葉先生よ。我は先ほどから不思議に思っておるぞ)
体育館を出た後、一度は校舎の中に入った。ならば、そのまま教室に向かうものだと普通なら思うだろう。ところが、千葉は教室が並ぶ廊下を素通りし、再び外に出てしまった。それどころか、今は校庭の端まで続く長い屋根付きの通路を歩いている。
(何故、また外に出るのだ?)
先頭を歩く千葉は、何の説明もなく進んでいく。その背中をマオとユウが追いかける形だ。マオは一度、背後に見える校舎を振り返った。
(教室は、あちらではないのか?)
入学早々、わからないことばかりである。
「ユウよ。おぬし、どこに向かっておるのかわかるか?」
「さあ? ……あ、もしかして、あそこかな?」
隣を歩いていたユウが、少し離れた場所を指さした。その先に目を向けると、校庭の向こう側に真新しい建物が並んでいる。
全部で八棟。
どれも一般的な校舎に比べれば横幅が狭く、教室が二つ並ぶ程度の大きさしかない。しかし、高さはそれなりにあり、外壁は新築らしく陽光を受けて白く輝いていた。
(もしかして……我らが向かっておるのは、あれか?)
マオは入学前に行われた見学会でも、この学校を訪れている。ただし、その時はまだ工事の真っ最中だった。周囲は飛散防止ネットや仮囲いに覆われ、建物の外観すら満足に見ることができなかった。学校側から説明は受けたものの、詳しい設備までは教えてもらっていない。
それが今では、八棟すべてが完成している。しかも、千葉の進んでいる方向を考えれば、目的地はどう見てもあの新校舎だ。
(まさかとは思うが……クラスごとに一棟ずつ用意されておるのか?)
マオの眉間に僅かな皺が寄った。いくら新設されたダンジョン科とはいえ、そこまで大規模な設備が必要なのだろうか。もっとも、まだ中を見たわけではない。外観だけで判断するのは早計だろう。
(うむ。まずは確認せねばな)
そう考え、ひとまず疑問を胸の内に収める。
だが、気になることはそれだけではなかった。
先ほどから、他の新入生や在校生の姿をまったく見かけないのだ。そもそも、入学式の時点で妙だった。広い体育館に集まっていたのは、見た限りではダンジョン科の新入生だけ。普通科の生徒らしき姿はなく、用意された椅子の数も体育館の広さに比べて随分と少なかった。おかげで、入学式だというのに会場はどこか閑散としていた。
(普通科の新入生は、どこにおるのだ?)
別の場所で入学式を行っているのだろうか。それとも、そもそも登校する日が違うのか。在校生についても同様だ。春休みが終わっていない可能性もあるが、それにしては人の気配が少なすぎる。
(わからぬ。わからぬことばかりではないか)
マオがそんなことを考えていると、隣を歩いていたユウが口を開いた。
「先生。どこまで行くんですか?」
(おお、ユウよ。我もちょうどそれを聞こうと思っておったところぞ)
決して、聞く機会を逃していたわけではない。念のため、そう自分に言い聞かせておく。
千葉からの返事を待つ間、マオは何気なく周囲に目を向けた。
校庭の脇を通る屋根付きの通路。その両側には桜の木が並び、春風が吹くたびに淡い花びらが舞っていた。時折、風に運ばれた花びらが通路に入り込み、足元を滑るように流れていく。遠くからは鳥のさえずりも聞こえ、春らしい穏やかな空気が漂っていた。本来なら、少し足を止めて眺めたくなる光景だ。
だが、今はそれどころではない。
離れていく一般校舎。見当たらない他の生徒たち。そして、校庭の端に並ぶ八棟の新校舎。
疑問は増える一方だった。
「あなたたちは通常の新入生とは違います。もう見えていると思いますが、目的地は新校舎の一番端です。詳しい説明は教室で行います」
「わかりました」
ユウはあっさりと頷いた。その様子を見て、マオは思わず隣に顔を向ける。
「ユウよ」
「何?」
「何がわかったのだ?」
「え? わからないことがわかったよ」
「…………」
(それは、そうだが……)
間違ってはいない。確かに、詳しいことはまだわからないという事実だけは理解できた。だが、それを「わかった」と言ってよいものなのだろうか。
マオが困惑している一方、ユウは特に気にした様子もなく、再び千葉の後を歩き始めていた。
(まったく。おぬしは昔から細かいことを気にせぬよな)
もっとも、ここで考え込んでも答えは出ない。千葉が教室で説明すると言っている以上、今は大人しくついていくしかないだろう。マオも小さく息を吐き、歩みを進めた。
そうしているうちに、新校舎が徐々に近づいてきた。
遠くからではわからなかったが、それぞれの建物の正面には大きな文字が掲げられている。
A、B、C、D、E、F、G。
そして、一番端の建物には――S。
「…………」
マオの足取りが僅かに鈍った。
(やはり、クラスごとに一棟ずつ用意されておるのか?)
しかも、近づいてみれば建物の規模もはっきりとわかる。どれも地上四階建て。横幅こそ通常の校舎より狭いが、一棟の建物として考えれば決して小さくはない。
それが八棟。
外観はどれもほぼ同じで、等間隔に並んでいる。建物の周囲には舗装された通路が整備され、植え込みまで綺麗に刈り込まれていた。
そして、もう一つ。
外壁に並ぶ窓は、どれも陽光を鈍く反射し、外から見る限り黒一色に見える。室内の様子を窺うことはできない。
(窓まで随分と厳重だの)
随分と金を掛けたことが窺える。
「…………無駄すぎるの」
思わず、そんな言葉が漏れた。
「ん? マオ、何か言った?」
「いや。何でもない」
ユウにそう返しながらも、マオの視線は八棟の校舎から離れなかった。
(ちと、金を掛けすぎではないか?)
ダンジョン科は、一クラス最大五人。そしてS組に至っては、マオとユウの二人だけである。
そのために、四階建ての校舎を一棟丸ごと用意したというのか。
しかも、それが八棟。
(…………予算、大丈夫なのか?)
土地の整備費に建築費。電気や水道などの維持費。設備の点検や清掃、将来的な修繕費まで考えれば、相当な金額になるはずだ。さらに、各校舎に専用の設備まで導入しているとなれば、その費用はますます膨らむだろう。
(我、魔王として財源が心配)
もちろん、ダンジョンハンターの育成が重要なのは理解している。命に関わる技術を学ぶ以上、必要な設備に金を掛けること自体は悪くない。だが、使える金には限りがある。
(元の世界でも、毎年のように予算を巡ってモロイと頭を悩ませたものだったの)
マオの脳裏に、かつての魔王城で過ごした日々が蘇る。
年に一度の予算編成。各部署から次々と上がってくる要求書。
『老朽化した城壁の修繕が必要です』
承認。
『兵士たちの装備を更新したいのですが』
承認。
『今年の祭りは、もう少し予算を増やしていただきたく』
承認。
『新しい研究設備を導入したいと考えています』
少々懸念はあるが、必要性を確認したうえで承認。
そして――。
『我のおやつ代を、もう少し増やしてほしいのだが』
不承認。
(…………何故だ?)
今思い出しても納得がいかない。しかも、自分の要求だけはモロイが書類に目を通すことすらなかった。
『魔王様。お菓子は経費で落ちません。ご自分で購入してください』
(解せぬ。我とて日々、国のために働いておったというのに……)
とはいえ、予算編成そのものは笑い事ではない。限られた金をどこに回し、何を削るのか。毎年積み上がる書類と格闘した記憶まで蘇り、マオは僅かに肩を落とした。
(…………思い出しただけで頭が痛くなってきたの)
そのまま八棟の校舎を見上げていると、不意に懐かしい顔が脳裏に浮かんでくる。
魔王国で長年、政務を共にしてきたモロイだ。
(もし、ここにモロイがおれば……)
目の前に並ぶ八棟の新校舎を見上げ、眉間に深い皺を寄せる姿が容易に想像できる。
『魔王様。まず、この八棟を建設した理由をご説明ください』
うむ。
『一クラス最大五名。それに対して四階建ての校舎を一棟ずつ用意する必要性は?』
もっともな疑問だ。
『建築費だけではありません。維持管理費まで含めて、費用に見合う効果があるのですか?』
(うむ。絶対に聞くな)
その後は帳簿を開き、予算と支出を確認し、納得できなければ責任者を呼び出す。あの男なら、間違いなくそうするだろう。
(相変わらず厳しい奴よな。……まあ、我のおやつ代まで削る必要はなかったと思うがの)
そこだけは、今でも不満である。
そんなことを考えているうちに、一行はSの文字が掲げられた建物の前まで来ていた。
「む?」
千葉が入口の脇で立ち止まる。そして、ポケットから一枚のカードを取り出すと、壁に取り付けられた装置にかざした。
短い電子音。
続いて、施錠されていた扉の鍵が外れる音が聞こえた。
「…………」
マオは入口の扉と、千葉の手元を交互に見た。
(そこまでするものなのか?)
学校の校舎に入るだけである。普通なら、入口の扉を開けてそのまま中に入ればよいはずだ。それなのに、この建物はカードによる認証を通さなければ入れないらしい。
マオは改めて入口を眺めた。
厚みのある扉。壁に埋め込まれた認証装置。そして、周囲に設けられた幾つかの設備。どう見ても、普通の学校に設置されているものとは思えなかった。
(重要な資料でも保管しておるのか? それとも、何か危険なものでも扱っておるのか?)
かつて暮らしていた魔王城にも、当然ながら警備は存在した。宝物庫や重要な資料を保管する部屋には、厳重な防犯対策を施していたし、城門にも警備兵を配置していた。
もっとも――。
(勇者にとっては、警備も何もあったものではなかったがな)
魔王城の警備を突破し、玉座の間まで押し入ってきた勇者。あの時のことを思い出し、マオは隣を歩くユウにちらりと視線を向けた。
本人は何も知らず、興味深そうに認証装置を眺めている。
(…………まあ、今さらよな)
マオは小さく息を吐いた。
それにしても、ここまで厳重に管理された建物で、これから何を学ぶことになるのだろうか。ダンジョン科に入学することを楽しみにしていたはずなのに、少しばかり不安になってくる。
(我らは、本当に普通の授業を受けられるのだろうな?)
「どうぞ。一年生の教室は二階です」
千葉に促され、マオとユウは建物の中に足を踏み入れた。
途端に、ひんやりとした空調の風が頬を撫でる。
外とは違う、静かで落ち着いた空気。
鼻をくすぐるのは、新築特有の建材の匂いだった。
壁も床も真新しく、廊下には傷一つ見当たらない。照明も明るく、まだほとんど使われていない建物だということがよくわかる。
(ほう。中も随分と綺麗ではないか)
思わず周囲を見回す。
一階の廊下には幾つもの扉が並び、その奥には見慣れない設備らしきものまで見えた。どのような用途なのかはわからないが、どうにも気になる。
(あれは何だ? それに、あちらの部屋は……)
マオの視線が忙しく動く。本音を言えば、今すぐ端から一つずつ確認して回りたい。だが、先を歩く千葉は立ち止まる気配もなく、ユウもその後に続いている。
(いかん。今は先生についていく方が先よな)
入学初日から勝手に校舎を歩き回り、教師に怒られるというのも格好が悪い。何より、まだ入ってよい場所と悪い場所の区別すらついていないのだ。
(まあ、後で見学する機会もあろう)
マオは名残惜しそうに一階の奥を振り返ると、二人に続いて階段を上り始めた。
そして二階。
階段を上りきったところで、千葉が足を止め、廊下を示した。
「このフロアが、今後あなた方の学ぶ場となります」
「ほう」
マオは改めて周囲を見回した。
まず目に入ったのは、教室と書かれたプレートだ。廊下側には窓があり、そこから室内の様子を確認できる。小学校で使っていた教室よりも少し狭いようだが、そもそもS組の生徒は二人だけ。これでも十分すぎる広さだろう。
(うむ。教室については理解できる)
人数に合わせて教室の規模を調整する。実に合理的だ。先ほどの八棟については疑問が残るものの、少なくとも教室の大きさに関しては納得できた。
問題は――その先である。
「…………」
マオは廊下の奥に並ぶ扉へ視線を向けた。それぞれの扉には用途を示すプレートが取り付けられており、何の部屋なのか一目でわかるようになっている。
まずは、男子更衣室。
その隣には、女子更衣室。
(うむ。ここまではわかる)
ダンジョン科では、実技の授業も行われるはずだ。授業によっては訓練用の服や装備に着替えることもあるだろうし、男女別の更衣室が用意されていることにも不思議はない。
もっとも、S組の生徒はマオとユウの二人だけ。
(男子更衣室は、今のところ使う者がおらぬよな?)
だが、将来的に男子生徒が入学してくる可能性もある。それならば、最初から設備を用意しておくのも理解できた。
しかし、その隣。
休憩室。
(…………誰の?)
マオは首を傾げた。
教師が休憩するための部屋だろうか。それとも、生徒用? 授業の合間に休むだけなら、教室でも十分な気がする。わざわざ専用の部屋を用意する必要があるのだろうか。
(我、疑問)
もちろん、休める場所が多いこと自体は悪くない。だが、専用の休憩室を設けるほど、この学校では疲れる授業が行われるということなのか。
そんな疑問を抱えながら、さらに奥へ視線を向ける。
そして――。
宿泊室。
「…………」
マオの足が止まった。
(…………我ら、ここで寝るの?)
思わず、もう一度プレートを確認する。
宿泊室。
見間違いではない。確かに、そう書かれている。
(何故、学校に泊まるための部屋があるのだ?)
ここは中学校である。少なくとも、マオが小学校で学んできた常識では、学校という場所は朝に登校し、授業を受け、夕方には帰宅するものだった。もちろん、修学旅行や宿泊学習のような行事が存在することは知っている。だが、それらは学校とは別の施設に泊まるものだ。
校舎の中に、常設の宿泊室を用意する必要があるのだろうか。
(もしかして……泊まり込みの授業でもあるのか?)
ダンジョン科なら、あり得ない話ではない。ダンジョンに入れば、長時間にわたって活動することもあるだろう。実際に宿泊を伴う訓練があるとしても、不思議ではなかった。だが、それならば事前に説明があってもよさそうなものだ。
(いや、待て。もしや、ここで生活することになるのか?)
そんな可能性まで頭をよぎる。もちろん、入学前に寮生活についての話など聞いていない。だからこそ、余計にわからなかった。
(圧倒的に説明が足りぬ!)
マオは僅かに頬を膨らませた。
入学初日。案内される先々で目に入る、用途のわからない設備。それなのに、千葉は何事もないように先を歩いている。
(千葉先生よ。せめて一言くらい説明してくれてもよかろうに)
心の中で不満をこぼしながら、さらに奥を確認する。
宿泊室の隣には、トイレ。
(…………いや、別にトイレはよい)
さすがに、それまで疑問に思うつもりはない。
マオは一度、これまでに見たプレートを頭の中で整理した。
教室。男子更衣室。女子更衣室。休憩室。宿泊室。そして、トイレ。
(…………これ、この階だけでも普通に寝泊まりできるのではないか?)
少なくとも、着替えて休み、眠るための設備は揃っている。食事をどうするのかという問題は残るものの、一時的に生活するだけなら十分だろう。
そもそも、これらの設備がすべて二階だけに集まっているというのが気になる。この建物は四階建てだ。一階にも用途のわからない部屋が幾つもあった。ならば、三階と四階には一体何があるというのか。
(…………まさか、さらに妙な設備があるのではなかろうな?)
マオは天井を見上げた。
小学校から中学校に進学すれば、学ぶ科目や授業内容が変わることくらいは理解している。それに合わせて設備が増えることも、当然あるだろう。
だが、今いる場所は明らかに違う。
普通の中学校とは、何かが決定的に異なっていた。
(これは、小学校と中学校の違いという話ではないよな?)
マオは視線を戻し、再び廊下を見渡した。
整然と並ぶ扉。用途を示すプレート。真新しく、どこか静かすぎる校舎。そして、入口には認証装置。
(…………我ら、本当に学校に来たのだよな?)
ますます自信がなくなってきた。
「机の上にネームプレートがありますので、自分の名前が置かれた席に着いてください」
そんなマオの疑問など知る由もなく、千葉が教室の扉を開いた。
「はい!」
ユウは元気よく返事をすると、迷うことなく中に入っていく。その後ろ姿を見送りながら、マオは一度だけ廊下を振り返った。
(…………ユウよ。おぬし、本当に何とも思わぬのか?)
まったく気にしていない様子の幼馴染が、少し羨ましくなってくる。もっとも、いつまでも廊下に立っているわけにもいかない。
マオもユウに続いて教室に入った。
中には、少し大きめの机と椅子が二つずつ。机の上には、それぞれネームプレートが置かれていた。
ユウはすぐに自分の名前を見つけ、嬉しそうに席に着く。
「マオ、こっちだよ」
「うむ」
その隣に、マオの名前が書かれたプレートも置かれていた。どうやら、二人の席は隣同士らしい。
(まあ、二人しかおらぬのだから当然か)
教室の広さに対して、机と椅子はたった二組。小学校では何十人もの生徒が同じ教室で学んでいたというのに、ここでは二人だけだ。随分と贅沢な環境である。
マオは自分の席に手を置いた。
机も椅子も真新しく、まだほとんど使われた形跡がない。静かな室内に、ユウが椅子を引く音だけが響いた。
(…………我だけが気にしすぎなのだろうか?)
ふと、そんな考えが浮かぶ。だが、すぐに首を横に振った。
(いや。そんなはずはあるまい)
何度考えても、普通の学校とは思えない。
クラスごとに独立した四階建ての校舎。カード認証が必要な入口。専用の休憩室に宿泊室。そして、生徒はたった二人。
これだけ揃っていて、何の疑問も抱かない方がおかしいはずだ。
それなのに、ユウはすでに机の上を興味深そうに眺め、千葉は教壇の方に向かっている。
(…………二人とも、随分と落ち着いておるな)
マオは小さく息を吐いた。
ここで一人だけ悩んでいても仕方がない。それに、千葉は教室で詳しく説明すると言っていた。
(まあよい。今から説明もあろう)
ひとまず疑問を胸の内に収め、マオは自分の席に腰を下ろした。
背もたれに身体を預け、改めて室内を見渡す。
元魔王としては、まだまだ確認したいことが山ほどある。特に、あの八棟の建築費と維持費。
(…………いや、まずは授業の説明が先よな)
危うく予算の話を持ち出しそうになり、マオは慌てて考えを切り替えた。
今は魔王ではなく、中学生なのだ。教師が何を教えてくれるのか、まずは大人しく聞くべきだろう。
(うむ。我、冷静)
そう自分に言い聞かせ、マオは教壇に立つ千葉に視線を向けた。




