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collect fraud online  作者: haruki
第1章 チュダック編
14/19

第10話 六王会戦後夜

 1章もこれで終了です!!

 タイトル六王会戦なのに今回の戦後が一番熱い戦いかも

 タイトル詐欺かもしれませんがどうかご容赦を

 戦争から三日、毎日戦後処理に駆り出されて久しぶりに真面目に団員一同が働いた

 まあ基本自由だが目につく範囲の不幸はすぐに叩き潰す気のいい奴らなので順当と言えば順当


 ここではラウル隊が大活躍


 持ち前の生産技術を惜しげもなく使い

 一気に避難民の建物を立て直し焼き払われた畑を整備

 ついでとばかりに街道も整備して交通のべんを良くしてかなり感謝された


 その陰に隠れる形でユズキ隊も頑張っていた


 蘇生魔法はこの世界の住人をキャラクターと認識できないという警告で使用不可能だったが

 霊を呼び出して家族に最後の別れなどを手伝っていた

 それと並行して高レベルの回復魔法や現代医学すらミックスしたファンタジーポーションの効果は絶大で戦争前より元気になった人もけっこうたくさんいた


 ではオレの仕事について


 肉体労働とか戦場跡荒らしの撃退や村の警備、後救援物資の搬送とか


 ちなみにこの大陸はあまりモンスターが多くない

 これがこの大陸の人たちのレベルが低い原因である

 他大陸はかなりモンスターの被害が多く魔王や勇者的な存在も確認されている

 そのレベル差のせいでたびたび侵略を受けているわけだが

 他大陸に比べ特に対人戦の能力が高いので結局侵略は何回も退けられている


 話がそれたがチュダック王国は驚異的な速さで復興している


 この際あまり全力でやらないようにした


 なぜならもしこの国にたくさんの新しく画期的な技術を広げて他国にいらんちょっかいをかけられないためだ


 そんなせわしない作業も何年のかかる所だけ大海が請負

 全て完了して今は王都で行われる式典に出席するために一路王都に向かう予定だ


 だがその前にオレはある所に向かっていた


 復興した村から歩いて5分ほどの小さな丘の上

 それがオレの目的地


 まるで体が鉛のようだ

 この表現がとてもよく精神状態を端的に表している


 騒がしい村から一転静かな外に行くとよくわからない感情が目立つ


 人間はきっと落差があればある程何かを理解する

 例えば毎日優しい両親と幸せに暮らしていて満ち足りた日々を送っていたとしよう

 例えば朝は優しく母に起こされ朝日が抱きしめてくれるとしよう

 例えばお母さんは優しくて小さなことでも困っているとなんとなく気づいて助けてくれるとしよう

 例えばお父さんは賢くて知らない世界を教えてくれるとしよう

 例えばお友達は元気で大人にはダメって言われることもみんなと一緒にやって怒られてでも最後は笑ってるとしよう

 例えば町はずれのおばあさんはおおらかで誰にも言えない独り言を何も言わずに聞いてくれるとしよう


 あの光景はなんだったろう


 疑問を持つことは答えを求めているのかあるいは反射的な自己防衛か

 考えている間は少なくともいい

 意味のない問いは出口のない迷宮でもくもくと奥に奥に人を誘い最後は


 小さなお墓の前で少女の背中が見える


 大きさ


 人は太古から大きな物に神秘性や畏怖そして何かの吉兆を見出してきた

 太陽からより良き未来を掬い取ろうとしたように


 小さい、とても小さい、すごく小さい子供はまったく動かない


 どれぐらいしただろうか女の子は人がいたことに気づいてたのか気づいていなかったのか

 こちらに振り返ってもなんの反応も示さなかった


 その眼には何が写っているのか


 「お母さんは私はいらない子なんだって」


 「・・・」


 「生まれた時から嫌いなんだって」


 「・・・」


 「わたしもきらいだからいいの」


 「・・・」


 「そうきらいきらいきらいなはずなのに!!」


 雲が日の光を遮る


 「おかしいよ!!なんで、なんでお母さんは死んだのなんで、どうしてもっとはやくきてくれなかったの!!」


 少女は力の限り殴りかかってくる


 「嘘つき嘘つき嘘つき!!まかせろっていったのになんで・・・」


 泣きながらひたすらガムシャラに暴れる


 まるで自分を置き去りにした世界を

 飲み込めないし吐き出せない何かを

 自分を傷つけ続ける見えない何かを


 女の子は戦っているのだ自分とも


 10分程で少し落ち着く


 「ごめんなさい」


 「いや「ほんとはわかってたのかってだってたすけてもらったことも」


 「まって!!」


 「たすけてくれてありがとう」


 それだけ言うと女の子は走り去っていった


 残された丘はいつまでも雲に覆われたように感じた


***********************************************


 「マスター元気ないですね」


 ユズキは不安そうに右の瞼を撫でていた


 「おおかたあの子供と戦争のことだろうな」


 ラウルは特に興味がなさそうに吐き捨てた


 すでに大海は撤収を終えてフェンリルに乗って王都を目指している


 「まったくめんどくさい野郎だな」


 「何がですか?」


 「あいつは戦うの好きで楽しむくせにそのあと落ち込むし

  それにおそらくあの遺体の感じからして子供が来たときにはすでに手遅れだ

  別にマスターに責任はねぇのに」


 「そういうことじゃないと思いますけど」


 「いーやそういうことだ

  結局、納得できないだけだなありゃあ」


 冷たくそう切り捨てる


 「ラウルは結構冷たいんですね」


 口は悪いがなんだかんだ世話を焼くのがラウルだと思ってたユズキはなんとなくその態度に違和感を感じる


 「まあなとにかく絶対に手を貸すんじゃねえぞ

  多分サクヤのことと・・・」


 ユズキはなんとなくラウルが一番心配してることに気づいて苦笑いを浮かべてしまう


 「なんにせよ今が一番マスターにとって大事な時期なんだろうよ」


 「そうですか」


 マスターは強がりで確かに戦争した後や今回のように誰かを助けられなくてもみんなに心配させないために元気な演技をして見せる

 今は本当にいっぱいいっぱいで苦しそうだ


 マスターと一番長い付き合いなのは自分だがなんとなくラウルとレンが一番マスターのことを理解してそうなのでここはその言葉に従う


 (がんばって)


 心の中のごく短い激励多くは語らないところが信頼の証なのだろう


***********************************************


 剣を振るう最速に


 剣を振るう最適に


 剣閃は自己最高に昇華される


 しかしいまだ未熟


 改善点など探さなくても見つかる


 腰の捻りはどうか?手首の返しはどうか?剣の軌跡はどうか?


 深く鋭く剣に拘泥する


 底など見えない深淵を一人散策する


 王都についてから式典まで時間があったので鍛錬を行っている


 道中考えごとに嫌気がさしたので何も考えたくない


 限界までゆっくり数少ない型をなぞる


 違う、全然


 多少曲がった剣は重心も大きさも


 あの時ああしておけば

 雑念が全身を包み込む


 CFO最後の戦いで亡くしたもののこと

 最後まで満足に気持を伝えなかったこと

 残酷な約束で傷つけたこと


 次第に動きは鈍くなり繊細さに見放される


 自分に言い聞かせる

 都合の悪いことは重なって起きてしまうのはしょうがない

 そう運次第なのだ


 足が体を支えることを放棄して青空と真正面から向かい合う


 手を伸ばせば届きそう

 誰が言ったのだろう?


 本当に残酷だ


 近いようで限りなく遠く

 手に入りそうで絶対に手に入らない

 努力次第でできそうでほとんどできない


 これがオレの悩みの本質だろうな


 自嘲気味にため息をはく


 「無様ですな」


 唐突な声に億劫ながら首を向ける


 「負け犬のようですな」


 ウルザが感情の見えない瞳でこちらを眺めながら

 鼻でばかにしたように笑う


 いつもならこの程度流せるが今はそんな余裕がない


 「うるせぇ」


 静かな声に明確な怒りを込める

 

 安い挑発にどうでもいい悪口


 それを受け取るオレが一番小物かな


 「最低ですなだから失敗する」


 もうなんでもい


 矜持のため?正義のため?誰かのため?


 (知るかぼけ!!)


 むかつくからぶん殴る


 相手の目的なんて知ったことか


 地面を足蹴に超加速


 大地を踏みしめ全身を加速あまさず力を増幅して右拳を前に突き刺す


 武術もなにもないただの鉄拳


 本能が警告


 相手は左の腕をこちらの腕に添えつつ腕を開かすと左半身を前に腰を落とし腰だめに右拳を構え

 その突きでこちらは沈む無様に


 このままでは先の未来の青写真が現実になる


 勘で掴んだ未来を覆すため行動を開始


 空いている左の手の平をウルザの左腰に添える


 ウルザが動き出す瞬間に腰の回転をゼロにする


 残念ながら腹に激痛がはしる


 だがここであえて前に踏み出す


 反射的に体を引くという人体の命令を食い千切り

 

 その間に手の平を高速でスライド

 ウルザの体の芯、すなわち重心のある右寄りの腹筋に添える


 (なめんな!!)


 お互いに気も魔力も使わない完全に生身の殴り合い

 やはり体術のみだとウルザがわずかに勝っている

 しかし付け入る先などないなら作ればいい


 戦闘においてもっとも隙ができるのは攻撃を潰されたもしくは予想と違う妨害をされたとき


 ウルザは神がかり的な身体能力でバックステップを開始


 しかし一歩及ばずそれは来る


 押すのではない抜くのだ


 ここで大海の武術について説明をしたい

 

 大海の知識の量はどれほどか?

 それはなんとほぼCFOの時代においてある知識を網羅している

 なぜなら、その知識を科学的に使うことは運営に禁止されているが知識をホームに課金で設置できる図書館においてのみデータとして置くことができる

 オレは面白半分でその時代のあらゆる学術書や専門書、はては大学入試の問題すらも全て揃えた

 まあ特に役に立つこともないだろうと思っていたが現実は違った

 あいつらのスペックは全員おかしいので本は一回読めば覚えるし読むスピードは神速

 その能力を生かして全員で分担してほぼすべての本を暗記して見せた


 ではなぜこの話をしたのか

 この後、化学じゃないなら知識を使ってもいいのか?っと団員達が、主にユズキが暴走して魔術的にコンピューターもどきを完成したそれにより念密なシミレーションや演算が可能になった

 まあこの技術は流石に運営もやばいとホーム内でのみ使い存在を明るみに出せば即アカバンだと注意を受けたしリアルの世界の大学の教授からユズキや他数名の団員達を研究室の助手にしたいなんて話もでるくらいだった


 そして予想できるかもしれないが大海の武術は本来生身だけでも理論上恐ろしく強くなれる人体的に最適な動きと心理的に相手が騙されやすい動きなどの科学的な有用なすべての知識、適当に動いただけで化け物のような威力が期待できる気で強化された肉体によって生み出される総合武術


 これだけならあれ別に皆やってるんじゃね?と言われそうだが

 仮に魔法的なパソコンをマギコンと呼ばせてもらうが

 これはNPCのみだが完全にその理想的な動きを習得させることができるのだ


 人間がやるとやはりどこかで不合理な動きが出てしまう

 このマギコンは大海が最強と言われた一つの要素である


 まあそれでもオレが大剣と体術を使って同等の能力ででケンカして一回も負けたことないけどね


 そのことはいいとして

 ではこのCFO内で大海流なる呼び方をされている武術の一番の脅威は何か?


 やはり理不尽な威力ではないか


 どのタイミングで気や魔力を込めるのか?

 多少理不尽な動きかつ被弾しても相手の動きすら利用できないか?

 もっとも効率のよい体の加速させ方はなにか?


 一撃神殺をコンセプトにこの狂った方針で各武器に合わせた武術が開発された

 ちなみに団員は全員が体術+武器から2つ選択を習得している

 オレなら大剣と刀である

 一番多く習得しているのがレン隊の副団長でユイだ


 では抜くとは何か?重心をである


 いくつか大海流でも考案されたが個々の特性を最大限に生かさないと取得できないような威力のみを追求した個人でしか習得できない技が結構ある


 そりゃあ気とか魔力なんてあるんだから3次元的動きやリアルにほぼ同時に2回攻撃みたいな現実では実現できない動きが可能なのだ

 なら理不尽な技なんて腐る程ある


 ではオレのもっとも大きな特性は何か?


 それはこれまでに戦闘においてほぼ的中率100%をほこる勘だろう

 観測はいつしか予測に、予測はついには予知えと至る

 理論無き証明

 欲する答えを瞬時に言い当てる


 今回欲する答えは重心のド真ん中


 「ハ!!」


 ぶち抜く感触が手の平から感覚を占領


 あまりに最高の一撃ができてひそかにほくそ笑む


 ガシッ!!


 しかし相手はドラグーンであり何の強化もされていない身体能力ではこれが限界


 ゴス!!


 右の頬をどつかれる


 もうそこからは今度こそケンカ


 殴られたら殴り返し、蹴られれば蹴り返す


 無計画に無軌道にしかし怒りを込めてぶん殴りあう


 ウルザの方が身体能力的に勝っているがそんなことはどうでもいい


 ただ一点腕力なら負けん!!


 熱く熱く存在をかけて相手を痛めつける


 気に食わないむかつくうっとうしいやかましい・・・


 負の感情を相手に叩きつける


 すでに両方腕が折れ足が曲がり顔面もぼこぼこ

 折れた骨は痛みの信号で頭をかち割ろうとする


 でもお互いはまったく気にしない

 こんな魔法で一瞬で治る傷はどうでもいい


 当初の目的など忘れお互いの思うところは一つ


 (オレが勝つ!!)

 (拙者が勝つ!!)


 肉体の限界はもうまじか精神の限界ももうまじか


 ついに最終局面


 向かい合って攻撃を止めたりはしない


 ウルザは蹴り技主体を拳主体に

 ハルもさらに拳のみで戦う


 ドスドスドスドスメキャドスメキャドス!!!!!!!


 歪に不気味に粉々に肉を骨を相手の心までも砕く


 グシャ!!!!


 拳同士が接触し骨が耐えきれずに2つが一つになる

 骨の間に骨が挟まりもはや肉は削ぎおち一個の骨団子


 だが二人はとまらない


 無事な方の手でひたすら相手の顔を殴る


 歯も顎も鼻も目もほとんど原型などない


 しかしただ、唯一勝利のために存在を駆ける


 文字通り掛け金は命


 景品は勝利


 ((十分だ!!))


 2匹の獣が覇を競う

 理性など投げ捨て生物の始まりの姿えと戻っていく

 本能のみで前に踏み出す


 体をとにかく動かすたとえそれにより壊れても


 そして時は訪れる


 「「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァああァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」」


 咆哮に乗せるものは何か?


 全身全霊魂の搾りカスさえぶちこんだ限界突破の拳


 ドスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!


 星の息吹きにすら匹敵する一撃


 それがこの戦いの幕を引いた


 戦いの残滓は今も空間を焼き切らんばかりに熱い


 周りの風景は森からいつしか草原もどきになっていた


***********************************************


 「いってぇーー!?」


 あの後すぐに大海のメンバーが総出で駆け付けて周りの環境の修繕と治療を施した

 知らないうちに見物客までいてかなり盛り上がっていたそうだ


 見た目は完全に治っておるが中身が直るまでにはあと三日ぐらい必要なのにラウルには2人とも拳骨をいただきレンは光の消えた目でたんたんと説教、ステラは大泣きに泣いて鼻水まみれにされユズキには治療中何度もあえて痛い方法を取られた


 他の団員達にも笑われたり怒ったり今度は自分とやろうなんて誘いも受けた


 でも一様にみんながオレとウルザを心配して二日間程常に全員が周りにいて身動きが取れなかった


 それでやっと解放されて今は一人王都の外の夜の草原に寝転がっている


 右拳が激痛を発する


 「まあこの程度で済んだと思えばいいか」


 オレの右拳とウルザの左拳は完全に一つになってしまって引きはがすのが一苦労だったらしい

 そのせいで今もここだけは外見は手の出来損ないみたいになっているし完治まで1ヵ月もかかるらしい


 手の平(仮)のことを考察していると誰かがやってくる足音が聞こえる


 案の定ウルザがこちらに向かってきていた


 おもむろに隣に腰を下ろす


 どれくらい経ったか静寂は破られる


 「申し訳ありません」


 血反吐を吐くように苦しみながら声を出す


 ウルザは基本的にオレを主として崇拝してくれているので今回一番辛いのはウルザかもしれない


 あんな規模程ではないがまあ結構ケンカなんて頻繁に起こって殴り合いなんて大海では全然気にしないのが普通だし納得するまで殴り合えとかいう作った覚えのない規則があるくらいだしそもそももう気にしていないのにめっちゃ後悔してるウルザに意味もなく苦笑いが漏れる


 「ですが許せなかったのです」


 「何がだ?」


 まあウルザがオレに対してケンカなんかするってことはよっぽど大事な事なんだろう


 「何故一人で考え込むのですか?拙者達はそんなに頼りありませんか?それとも信用できないし役に立ちませんか?もしくは家族とは思ってくれないのですか?」


 言葉に込められた思いの大きさをオレは図ることができない


 普段から家族家族仲間仲間とみんなのことを考えているくせに最後で頼ることができない


 「我らは皆あなたに命を居場所を未来をもらいましただから辛ければ困っていれば頼ってくだされ」


 人間は相対的である程物事をよく理解する


 オレはどこかでまだぼっちだったんだろう

 拒まれることを怖がり頼ることをしない、しなかった


 一人で悩んでも解決しないなら誰かの手を取る

 辛いならだれかに吐き出せばいい


 CFOが現実化するまでどこかリアルでは冷めていたんだと思う

 薄気味悪い世界が嫌いだったのかもしれない


 なんだかんだうだうだ言ってもオレは寂しかったのかもしれない


 切っ掛けはあの子が自分と似て伝えられない思いを持っていたこと


 でもこの痛みはサクヤに対する想いが一番大きい


 ずっと一人で苦めていたのに最後は仲間となり家族となり分かり合えた

 そして伝えたいことが洪水を起こした

 でもそれは行き場を失いいつしか後悔の雨雲に変わった

 降ることもできずに行き場をなくした思いの雲はやがて心を黒く染めた


 「そうか」


 何に対して納得したのかは自分にはわからない


 納得してもこの痛みはきっと無くならないし無くすつもりもない


 だがいまはこの痛みさえも愛おしい


 家族がいた証明なのだこの痛みは


 一欠けらも残さないように痛みを心の箱にしまう


 だがオレは決して家族に頼りはしない

 強がりではない嫌悪からくる答えでもない


 今はまだ整理がつかない感情がある


 いつかこの感情に整理をつけて仲間に頼れるだろうか?


 <マスターなら大丈夫だよ>


 10年を共にして相手はオレをオレ以上に理解してくれていた

 もう会えない相棒の声が聞こえたような気がした


 もう二度とその声は聞こえなかった


 いつしか痛みは消えて心が落ち着いた


 近くに、とても近くに家族を感じられた


 遠くを眺めると雲一つない満天の星空

 きっと明日は晴れる


 聞こえた声は風に乗って天を舞いいつまでも一人の人間を守っていた

CFOの知識辞典

 今回は人妻の紹介

 ユイ・・・レン隊副団長

 種族はレンと同じデーモンで大海唯一の既婚者

 夫のレンとは仲が良く結構嫉妬深いかも

 戦闘スタイルはアイテムボックスにひたすら軽くて丈夫さを追求した武器を突っ込んで戦っている最中に何度も武器を変更しまくる

 だから得意武器は全部って感じ

 副団長だけあって常識人で仕事はしっかりこなすしっかりもの

 大海内では結婚をしたい女性団員のサポートをしていることが多い

 まあでも基本ヒャッハーな団員が成功するかは・・・

 団員どうしでくっつく人が出てきたのはユイのお手柄かも

 夫のレンは冷たく真面目すぎるので適度にいじり回す

 そのおかげで団員にも親しみを持たれて円滑に運営が進んでいる

 彼女は大海の潤滑剤的な存在で大海のみんなが心地よくなるように環境を整えてくれる

 最近の趣味は仕事大好きな夫の疲れを癒す為に勉強し始めたアロマセラピーと魔法の融合したマギセラピーなるものの改良

 ユイの作ったこのマギセラピーは大海内の女性団員の密かなブームになりつつある

 戦いが結構好きでレンと二人でよく狩りに出かける

 二人の愛称は抜群でその実力は大剣以外の装備のハルを倒せるほど

 そろそろ赤ちゃんが欲しいかな?

 そういうと真っ赤になる奥手な旦那にあきれ半分愛しさ半分を感じながら

 レン隊こと大海の頭脳をひっぱて

 今日も愛する夫と共に大海の運営を担う

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