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collect fraud online  作者: haruki
第1章 チュダック編
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第8話 六王会戦 中編

 チュダック王国国王ジハード=ルー=ズィーゲルは言葉を失ったいた


 最初に聞いた報告はこちらの軍の優勢だった


 ゲイルが引かかっても引っ掛からなくてもどちらでもいいが露骨に敵を誘い出し策を実行した

 一回罠を突破したとき程人間は愚かになる

 その性質を利用し、誓約の森に潜ませたアーベント達の魔法で敵に大打撃を与えた


 そこまではよかった


 そんな状況でついに特殊懲罰部隊が動いた


 輝く金の髪と愉悦に染まった緑の瞳、敵の返り血で化粧をし口元を歪めるその姿に聖職者の神聖さもくそもなかった


 男の名はドロスィア、細身の細剣を使う一見して文官にも見える神経質そうな優男だ


 その男は一人でわが軍を蹂躙した


 立ちふさがる物が不自然に体の一部の動きを止めるのだ


 もちろん最初は嬲るように剣で圧倒するのだ


 そして動きを止めたものをなんども突き刺すのだ


 当然兵はそんな奴と戦いたがるわけもなくわずか一人の兵により戦線が敵に傾いた


 こちらもそんな状況を良しとせず


 チュダック王国軍最強の男ゲイルが立ちはだかった


 ゲイルという男は大海の一般団員には劣るが普通に諸外国でも最強クラスであり

 チュダック王国の英雄なのだ


 兵は安堵する

 あの人なら大丈夫だと


 剣技ではゲイルが圧勝だった


 やはり立ちはだかるのはあの体が動かなくなる奇怪な術


 なんどもすんでのところで動きがとまる


 しかしゲイルも力づくで術を破り猛攻を続ける


 平行線は突然途切れることになる


 ゲイルの動きが先ほどまでとは違い長時間とまる


 そしてそのゲイルが突き刺される直前


 ゲイルは右腕を切り落したのだ


 敵兵は驚愕を、味方は称賛の眼差しを


 そのまま驚きで固まったドロスィアに斬撃を叩きこむ


 吹き飛んだのはゲイルの方だった


 疑問


 何故死んだはずなのに


 思考の空白を埋めるようにチュダック聖王国軍の視線がドロスィアに集まる


 そこには裂けた腹から出てきた臓物を煩雑な手つきで押し戻す奴の姿があった


 すぐさまアーベントの援護魔法が飛び、ゲイルを引きずるように後退させる


 ゲイルの敗北により兵の士気は失墜


 逃げ場などこの国にはないのに撤退を開始


 (やつらはまだか・・・)


 焦燥感が王の胸を焦がす


 脳裏にはあの圧倒的な力を持つ集団の姿が写っていた


***********************************************


 今回のオレ達の役割はなにか?


 目立つことと規定した


 籠城戦や大人数の野戦など拮抗状態が生まれた中で勝敗を決めるのはほとんど兵士の心だろう


 戦争はチキンレース的な側面をゆうする


 だから昔からいかに敵に味方の数を多くみせたり、味方を強く見せたりする策が実行されてきた


 必然的に今回、数が少ないが圧倒的な力を持っている大海にその役目が巡ってきた


 戦場で目立つとは何か?


 大きな音をだすこと?


 確かに有効な手段だろう


 周りの敵を手当たり次第に殺すこと?


 それも有効な手段といえよう


 しかし、結局は先の方法はどれも自身の近くのものにのみ効果があるだろう


 こんな10万人もいるなかで当たり前に敵と戦わずに待機しているものもいるだろう


 ならば見せてやればいい、そいつらが死ぬ可能性を


 オレはまず大海をフェンリルと団員に分けた


 オレが率いる部隊は誓いの森側から、フェンリルの別動隊はその逆側から突っ込んだ


 まったく仲間が殺されても動揺しなかった教国の兵は流石にオレも驚いただが他の国はそうはいかない


 なんてったって空から死体が降ってくるんだからな


 全員に上に向かって敵を攻撃しろとあらかじめ言ってある


 化け物なみの力で跳ね上げられた死体の落下に巻き込まれ死者を量産していく


 動揺は敵のなかで反響する


 大海の参戦により再びわずかに天秤はチュダック側に傾く


 「軽いな」


 オレはラウルが特急で造ったオリハルコン製の大剣を振るいながら思う


 「強度も足りんな」


 大剣の一線で、出来損ないの人形のように人間だったものが大空を舞う


 まだ100人ぐらいしか切ってないのにすでに力に耐えられずに刀身が曲がり始めている


 やっぱり前の相棒はすごかったなと考えながら剣を振り切ったのでチャンスだと思ったのか突っ込んできたあほに拳を叩きこみ宙を舞ってもらう


 ふと視界の端に引きずられるおっさんの姿が写る


 「ユズキ!!おっさんの治療!!」


 短くそれだけ叫び焦りを押し殺す


 さっきいったように士気はすごく重要である


 味方のなかで特に信頼されているものが一騎打ちなんかしてやられた時は目も当てられない


 「これはこれはなんておいしそうな獲物でしょう」


 (ふむ、こいつは誰だ?)


 特に興味もないがきいてやるか


 「うっさいしね」


 そんなこと思うわけもなく蹴りを叩きこむ


 地面と垂直に敵が吹っ飛ぶ


 「うわぁーあれくらって生きてるか、いい感じに人間やめてるな」


 優男が気持ち悪い笑みを浮かべながらこちらに向かってくる


 「いきなり失礼な人ですね」


 一瞬で傷がすべてなくなる


 「まあいいです私を楽しませてください」


 さてどうするか


 名前もしらんし興味もないが敵でも強者なんだろう


 (ここは士気を上げるのに貢献するのが吉だな)


 「マスターお待ちを」


 肩に手がかかる


 「ここは拙者にお任せください!!」


 「あーー・・・」

 (そっすよね、ウルザさんこういうの大好物ですもんね)


 押されている味方、勢いをます敵兵


 味方の英雄はすでに倒された


 そんな中、戦いの趨勢を決めかねない一騎打ち


 言わずもがな敵は超一流


 「よしじゃ任せた」


 そんな満天の星空みたいにキラキラした目で見られたら断れない


 「ハッ、命に替えても勝利をもぎ取ります!!」


 (うん、そもそも君の方が圧倒的に強いんだけどね)


 ウルザの非常に㊚な誓いを聞き流す


 「拙者は大海所属のウルザという貴公の名を問おう」


 ウルザが使っていた黒色の大剣を地面に刺し、後ろの2本の直剣を抜きながら問う


 「申し訳ありませんね、下賤な異教徒に名乗る名前などありません

  あと言葉もないですね」


 やたら丁寧にお辞儀をする


 「ならば剣で語ろう」


 その会話を皮切りに決闘が始まる


 初手はウルザ


 左肩を前に突っ込みながら剣を振るう


 優男は細剣を正眼に構え重心を若干右にかける


 ウルザが敵の細剣に自分の剣が接触する寸前


 左手を剣から離す


 その左手を相手の胴に右にさらに重心がいくようにそえる


 男は虚をつかれ体制を崩したが右の剣を迎え打とうと力を込める


 「フッ!!」


 わずかな呼気とともに右手を剣からも離し左肩から宙返りをする


 「なっ」


 宙返りの勢いを全てのせ踵落しを断行


 どすぅぅぅぅぅぅん!!


 優男が地面にめり込む


 音を置き去りに空中で剣を掴みそのまま上から剣を突きだす


 優男に剣が突き刺さる


 「この程度か・・・」


 ウルザは剣を抜いて踵を返す


 わき腹に違和感


 「ぬッ」


 剣がわき腹から生えていた


 それを確認しながら後ろの人間に裏拳をいれる


 振り返るとなんの傷もない優男が立っていた


 「いやぁーすごいですね

  強い強いとは思っていましたが

  この私がこんなにあっさり負けるとは」


 嬉しそうに笑う


 「確かに殺したはずだが・・・」


 ウルザの疑問を無視して優男は駆けだす


 「行きますよ」


 その戦いを眺める4つの瞳


 「劣化版の賢者の石ですか」


 「教会も意外とやるね」


 面倒になったとため息をつく


 「自然に出来た憑代式に魔法陣の付加、それになにかまだありますね」


 「ふーん、オレの知ってる賢者の石と製法が違うな」


 CFOのクエスト<忘れられた賢者の執念>をクリアするために苦労したのをよく覚えている


 「確か、神の涙に竜の逆鱗、ついでに月華草に悪魔の尻尾だったか」


 「はい合ってますよ、そもそも劣化版なんで製法が違いますよ

  でもあれなら結構量産されているかもしれませんね」


 めんどくさいそう正直に思う


 「オレらみたいな人間と他種族の混合部隊はあいつら大っ嫌いみたいだし

  そんな奴に賢者の石か」


 まあ、本気だして跡形もなく消し去れば万事解決


 「まあその辺の対抗魔術はすでに思い付きましたから安心してください」


 「そうか」


 戦場にありながらここだけは静かだった


 「てかウルザの奴全然剣使わないな」


 戦いでテンションが振り切れたのか持っている剣を放り投げ得意な肉弾戦を行う


 「あー、そもそもドラグーンはあんまり剣を使いませんからね」


 「あの剣そういやぁほとんど楽器としてしか使われてないな・・・」


 ウルザの動きを止める魔術を力ずくで無力化している


 「なんかもう完全に弱いものイジメだな」


 「泣いてる顔はちょっとかわいいですね」


 頼みのおそらく空間魔法で空間の一部分を固めた攻撃も無効


 剣技も全然ウルザに届かない


 「あいつ絶対懲罰部隊最弱とかいいそう」


 これは大きな間違いで、確かに懲罰部隊では地位が低いがこの大陸最強クラスのゲイルですら動きが止まるし

 魔法抵抗力の弱い人間なら体内も固定することもできる

 それに剣だってかなり上位に位置する人間だ


 この状況では誰もそうとは思わんが


 「避けると言うことはその完全回復の種が尽きかけているようだな」


 ウルザは殴りながら問う


 そんな一方的な戦いの中敵の一般兵が後ろに押されたのか戦いの中に入ってくる


 優男はその兵を盾にした


 「あっ」


 オレは不意に懐かしいウルザとの決闘を思い出した


 「貴様なぜその男を盾にした!!」


 ウルザは大事な思い出を汚されたと思い叫ぶ


 優男は震えるばかりで答えない


 「お前は最低のクズだ、自らの行いを恥じて逝くがいい」


 ウルザは部分開放を発動させる


 部分開放とは

 そもそもドラグーンの固有能力の竜化がある

 これはブレスを吐くことはできないが本物の竜と同等かそれ以上の力をえる

 部分開放とはその名の通り一部分のみを竜化することである


 制限として魔法の使用が不可になる

 まあウルザはそもそも魔法あんまり使わないし、擬似ブレスは魔力の直接操作なので関係ないが


 口周りのみを竜化


 「ギャぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 そしてブレスは放たれる


 あとには何も残らず優男の存在を証明するのはかすかな決闘の残滓だけだった

 

 ウルザはこちらを振り返る


 どこか懐かしそうにウルザを見るオレとウルザの副官だけがウルザの記憶に残った


***********************************************


 シイナの耳が近くで戦争が起こっていることをおしえてくれる


 (そんな、どうして)


 運がよく国境の兵もなく、脱落者もなくチュダック王国国内にも入ってこれた


 まだジルシーナの兵も追ってきているがじきにチュダックの兵がとりあえずは戦闘を止めてくれるだろうと安堵にもにた確信を抱いた


 (なのに、なのに)


 そう他国が国境を犯したのにも関わらず兵など一人もこないのだ


 シイナは泣きたくなった


 族長という肩書など捨て去りただの少女として泣きたくなった


 もうみんなは限界、こんな状態でジルシーナに追いつかれればどうなるか


 考えたくもない


 心の中にはあの暖かな日々を取り戻すんだという希望と

 自分のせいでこんな状況を招いてしまったというもうしわけなさ


 その二つがシイナの心を縛り、雪国の大気のように心を刺してきた


 (お願い誰か助けて!!)


 終わりの見えない追いかけっこ


 追う側は元気が有り余り、追われる側は瀕死


 残酷な真実


 この後起こる光景は吐き下のように甘美で、排水溝のドブのように美しく、獲物を狩る獰猛な獣のように穏やかだろう


 この世界で命は時として食べ物より軽いのだ


 あいさつのように魔法が飛び交い、握手のように武器を振るうのだ


 だから負けた奴はどうしてもいいだろう?


 だが時に神は気まぐれを起こす


 シイナの視界に白い髪の男がうつる


 白い髪の優しそうな男だった


 「別動隊?いやそれにしては・・・」


 男がブツブツ呟きながら私の近くにいるチハルに目を見開く


 「お前らの目的は?」


 端的な質問をするその声には存在的に上位者の威厳がこもっていた


 「私たちは白虎族のものです

  いわれなき罪で今は追われています」


 声が降るえていないか不安になる


 この男には絶対に逆らってはいけない

 そう見えない何かが絶叫している


 この男が本気になればみんな仲良くひき肉の仲間いりだと


 「はぁ~、また厄介ごとか」


 男がひどくめんどくさそうに私を睨みつける


 「ヒッ」


 腹の中の空気が勝手に出口を求めて漏れ出す


 「おねえちゃんをいじめないで!!」


 チハルが私を守るように前にでて両手を広げる


 凄惨な光景を予測し目を力の限り閉じる


 殺されると思った


 子供にこんな言葉を言われたのだきっと男は激昂するだろう


 しかしいつまでたっても衝撃がこない


 「えっと、別にいじめてるわけじゃないんだごめんね」


 男の困ったような、どこか相手を安心させる優しい声が聞こえる


 (チハルを気遣っている?)


 なんで自分には厳しいのか少しいやな気持になる


 「じゃあたすけてくれたらゆるしてあげる」


 チハルはどこかすがるような目で男をみる


 その時後ろから声が響く


 「見つけたぞ獣どもが!!」


 ジルシーナのおそらく王族の男が叫ぶ


 ほとんどの同胞が絶望に顔をそめる


 目の前の化け物に後ろのジルシーナ


 チハルが耐えきれなくなったのか泣き声をあげる


 「このクズどもが我々の手を煩わせよって」


 にやりと、こちらの絶望を楽しむように笑う


 「まあいい、お楽しみはこれからだ」


 ふいにチハルの泣き声が止む


 「もう大丈夫」


 男がチハルを抱きしめて慰めていた


 「ほんと?」


 「ああ、すぐに悪いやつはやつけてやる約束だ」


 チハルが泣きやむと満足そうに頷きジルシーナの方に向かう


 「貴様はなにものだ!!」


 男は怯えない白い髪の男にいらだった声をだす


 「通りすがりかつただのしがない傭兵だ」


 白い髪の男はそう言って美しい髪と同じ白銀の大剣を構える


 「傭兵風情が私の道を阻むな!!殺せ!!」


 最後に白い髪の男の呟きが聞こえた


 「今度こそ約束をまもる」


 私はその声に含まれる大きく、気高い決意と理由のわからない後悔を感じた


 ついに六人の王が戦場に姿を表し、戦場は終局に向かい走り出す


 名もなき者の絶望と苦痛、生への欲望


 英雄たちの激しきぶつかり合う


 国を思う王、私欲のために動く王、復讐のために動く王、民を思う王、戦いを望まぬ王、神を思う王


 全てを飲み込みながら

CFOの知識辞典

 今回からは大海の各部隊の副団長について

 ヒナタ・・・ユズキ隊副団長

 普段から魔法ばっかり研究しているユズキに代わって指揮をとっているユズキ隊の頼れるお姉さん的存在

 おっとりした口調で優しく基本変わり者の多い大海の聖女的な存在

 種族はユズキと同じハーフエルフで得意な魔法は治癒属性

 ただし精神的な魔法も得意なので戦うと結構エグイことになる

 戦わなければ優しく美人で気立てもいいのでもてるがユズキの世話が大好きなので全然相手にしていない

 ユズキのことを実の娘のように可愛がっていて最近の趣味はいかにして食べず嫌いなユズキにたくさん食べさすこと

 過去に大海に助けられていてその恩を返すために自家の貴族の家を抜け出してきた

 ハルのことはユズキの恋人になるようにあれこれするが結果はあまり出ていない

 相手を思いやる気持ちがとても大きく団員は困ればすぐに相談してきたり助けを求めてくる

 かなり自由で問題を起こす団員を見守り助けながら今日も幸せな日々を送っている

 ちなみにユズキからはママと呼ばれて怖がられつつも心底なつかれている

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