第7話 六王会戦 前編
side サルバドル&ヴィルヘムニア&ルキニア連合軍
「チュダックの様子はどうだ?」
ヴィルヘムニア王国国王キシリア=エル=ヴィルヘムニア3世は憂鬱な気持ちを隠そうともせずに部下に戦況を尋ねる
「ハッ、やはり国境の兵は我らの国を意識していたのか手薄であり
そもそもこちら側から攻めてくることをあまり考えていなかったのか対応も後手に回っています」
「そうだろうな」
キシリアの外見はまさに武人である
そもそも王家の二男として生まれ王位を継ぐのを期待していなく
自分は将軍として国を支えようと近衛騎士の3倍以上の訓練をこなし
国内でも彼に敵うのは精鋭部隊のドラグーンやビーストの隊長くらいのものだ
そんな彼の期待は尊敬、いや崇拝すらしていた兄の死によって裏切られた
兄は優しく気高く頭もよかったそれに国内の奴隷として家畜のような生活をしいられているドラグーンやビーストも積極的に待遇を改善していった
そんな最中に悲劇は起こった
毒殺だった、改革反対派の貴族による
その貴族連中はなんと言ったと思う?
あなたのために王座を持ってきましただとぬかしやがった!!
確かにキシリアは全然王家に近寄らずに精鋭部隊に苛烈な訓練を施した
まあ、それ以上に自分をイジメぬいたが
周りからは兄に愛想を尽かし王家をでた戦闘狂のバカ王子とでも映ったんだろう
真実はどうあれもちろんその場でバカどもは全員地獄に叩き落し
一族野党は子供だろうと怒りに任せ皆殺しにした
キシリアは軍で多くドラグーンやビースト達と多くの時間を過ごし友情を育んでいたし
そんな事はどうでもよくなるくらいには兄を信じていた
だから兄の夢、誰もが争はなくていい世界を作るため尽力をした
そもそも戦争などしたくないのだ、国民が傷つくし、なにより兄が嫌がる
ここだけの話、昨年の戦争も今の宗教戦争も乗り気ではないのだ
去年は、兵だけだしてほぼ戦わずに後ろをちょろちょろするだけだったが今回はそうはいかない
これでもサルバドル教が国教である
幸運なことにそもそも国民はサルバドル教にあんまり関心もなく、一部の粛清した特権階級のカス以外は特に他種族に差別意識なんてこれぽっちもないのだ
そんなことは関係なく、帝国やルキニアに多数信者を抱える教国が聖戦に参加しなければ異教徒とみなすだとさ
嬉しすぎてため息しかでんは
チクショウ!!
そんなわけで最高戦力の精鋭部隊までつれてきた
(いっそ、チュダック王国と同盟でも結ぶか?)
そんな甘い誘惑にかられる
隣の部下が急にだまってしまい困っているのでこの憤怒が悟られないように声をかける
「ごくろう仕事に戻っていいぞ」
「かしこまりました」
「あっ、それと目立たない程度に捕虜を保護しておけ」
真面目すぎるが能力は自分の知る限り一番の親友でもあり副官のビースト、アキハに思わず苦笑いがもれる
部下の成長を想い浮かべると少し気持ちが晴れた
「これは、これはキシリア様ご機嫌いかがですか」
豚がこちらに向かってくる
ルキニア王国宰相で第二王子派のクロー二=デクスというゴミだ
いつも貼り付けている兄を殺した貴族と同じ笑みを浮かべて近づいてくる
「このまま行けばこの国もすぐに我らの国となるでしょう
今からその景色が楽しみですな」
「そうですな」
あまり話したくないのでそっけなく返す
「ここを占領したあとはその手柄で我らが第二・・・」
民から絞り取るだけ搾り取った金や、汚職、ワイロなどで溜め込んだ金で無駄にブクブク太った腹をゆらしながら上機嫌に話す
おいおい誤解しないでくれよ?
オレはこいつのことが大好きだぞ
そう反吐がでるくらいにはな
屑の演説を聞き流しながらルキニアの国内情勢を思い出す
去年のチュダックとの戦争で先代の王は討ち死にした
この知らせを聞いたときはそりゃあ喜んだ
もう一週間はにやけを押さえようと逆に怖い顔で不機嫌だと思われ続けたほどだ
先代の王は強欲で無能だった
帝国の脅威があるのに同盟国の反発を顧みず戦争をおっぱじめた
その戦争で死んでりゃあせわないが
ルキニアには王子が2人と王女が1人いた
第一王子はものすごいバカだった
これはいい意味のバカという意味だ
不正を絶対に許さないのだ、罰則は貴族だろうがなんだろうが全員打ち首
オレはこいつが王になればいいなと期待していた
やり方は下手くそだが基本能力も高く、国民を大切にするのだ
それに我が国にはルキニアの王女が嫁いできているのだ
ものごとはそう簡単にはいかないわけで
予想できるかもしれないが当然貴族は猛反発
そりゃあ自分の力がそがれてうれしいやつがいるか?
理解できるのと納得するかは別だが
で担ぎだされたのが先代の王の性質をさらに悪化させて受け継いだ第二王子というわけだ
第二王子は国民に蛇蝎のごとく嫌われていた
でも、今回の戦争で大手柄を上げれば国民も納得、貴族も幸せ
あれ、これでみんな幸せなんじゃないか?
みたいな考えで第二王子派筆頭の豚みずから王子をひっさげ参戦したわけだ
(肝心の王子様はお楽しみの最中か・・・)
キシリアの憂鬱はこの程度ではすまない
「同士のみなさまこんな所にいらっしゃいましたか」
サルバドル教国国王ガーナード=ルクス
教皇は別にいることを一応記載しておく
「これは、これはガーナード様
お顔を拝見できて恐悦です」
「やめてください神の意志を遂行中はみな等しく神の僕です」
この戦争を起こした張本人の狂信者
理由はなんだったろうか
確か神の教えを説くとかわけのわからん理由でチュダックの王城に邪魔するものを殺害しながら侵入して捕まった信者の返還の要求を断ったとかそんなんだ
それを聞いた教皇や国王が神の意志を広める行為を妨げるだと?それはなんて悪いやつだ、よろしいならば聖戦だとかでこの戦争が起こった
「この光景は本当に絶景ですな」
「ええ、邪悪な異教徒どもにはお似合いでしょう」
目の前では畑がやかれ、子供の泣き叫ぶ前で女を犯し、男は数人の兵士にいたぶられていた
キシリアはその端正な顔をゆがめ思う
(こんなものを望むのが神なら神など消えてしまえばいい!!)
その光景を空を飛ぶ一匹の鷹がひどく冷めた目で見降ろしていた
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side チュダック
あいつは本当に人間なのか?
右手を奪われながらもゲイルは冷静に思考する
時は少し戻る
3日程かけて王都から駆け付けた先遣隊2万は休憩もそっちのけで戦闘を開始した
先端が開かれたのは国境付近の村から王都側におよそ4キロほど進んだ
代々王族のみに入ることが許される誓約の森付近のイロアス平原である
本当は渓谷や、山の麓、それに森などの大軍の展開に不向きで、地理をこちらの方がよく理解しているというアドバンテージを生かして奇襲をかけ相手を塞き止め本体の到着を待つ予定だった
「これは予想外だな」
しかし、相手の行進速度が予想外に早くこんな結果になってしまった
先遣隊のゲイルは特に動揺することなく作戦を変更する
遭遇時敵は真ん中にヴィルヘムニア、左右に教国とルキニアがいた
「オレに続け!!」
戦力差があり人数で負けているのに士気でも負けるわけにもいかず特に精鋭の5千騎を率い左から右にかするように一度威力偵察をした
反応は国によって全然違った
ヴィルヘムニアは明らかに戦いたくないのか適当にあしらい
サルバドルは死を恐れずにひたすら突っ込んでくる
ルキニアは前線の兵の練度は低く、後ろの貴族の魔法部隊の肉壁変わりで特に反撃はなかった
思わずゲイルから笑みがこぼれる
これはこちらに非常にいい状況だ
やる気のないヴィルヘムニアのせいで敵は特に連携をとれないのだ
敵の大軍の中に入れば囲まれる恐れもあるがこの2万は特に精鋭で一撃離脱などおてのもの
それにもうすぐ後続もすぐに到着するのだ
それだけ考え隊を3つに分ける
3軍の中で一番練度が低いルキニアに突撃をかまし一人でも多くの魔法部隊を殺すもの
やたら突出する教国の兵を引っ張りだしてここにくるもの
ひっぱてきた兵に魔法をあびせかけるもの
すぐに隊をわけゲイルはルキニアのところに突っ込む
農民を無理やり徴兵したのかだれ一人こちらの突撃に対処できていない
すぐ横にいた貴族を切り捨てて進む
残念だが人数が多く適当に武器を突きだしてこちらにも損害がでる
300人程の兵が脱落した
しかしこちらは魔法部隊を中心に2000人程も打ち取った
そのまま待ち伏せ部隊のところに向かう
気になりおびきよせた部隊を見ると
まんまと多くの兵が集団から突出した
見え見えの罠だが教国の兵は追うことをやめない
待ち伏せ部隊が魔法を浴びせかける
かなりの兵が削れたそれを見届けゲイルは敵から逃げ出す
敵の顔にはあいつら好き放題して逃げやがったという怒りがありありと浮かんでいた
敵は急いで逃げた敵を追う
敵は必死に攻撃されることをいとわずにひたすら逃げる
敵は自分が狩るものだと認識し余裕の雰囲気がでてくる
しかし、その余裕も長くは続かなかった
誓約の森を通過する瞬間
横から魔法の雨が降る
この森には宮廷魔術士筆頭のアーベント率いる魔法使い2500が潜んでいたのだ
これには敵もかなり動揺する
これだけに留まらずこの勢いを殺さずに反転してくる目の前の獲物
犠牲者を量産していく
ついでとばかりに本体も到着してさらに勢いをますチュダック側
戦線は膠着状態に陥る
このときヴィルヘムニアがもっと積極的に戦えば結果も違ったかもしれない
完全に優勢にたったのでゲイルも最前線で武器を振るう
その優勢は一人の男が来るまで続いた
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side 大海
残虐非道で最低で
凶悪、醜悪、不愉快な
世界の敵を探してた
オレはゲームの現実化に伴い強くなっただろうか?
かつて結論を出した疑問の本質が頭に浮かぶ
もちろん結論に変わりはない
では質問を変えよう
現実化でも変わらず辛いものはなにか?
やはり殺人への忌避感だろう
自分の欲望のためにすべての生き物の運命をもてあそぶ外道
楽しみのためにさんざん嬲ってから生き物を殺す下種
運命に敗北を約束され、殺されるためだけに悪逆非道な行為を行う存在
そういうわかりやすい悪役なら殺しても少なくとも自分を誤魔化すこともできる
意味のない行動に見えるがこう考える
あいつをオレが殺さないともっと多くの人が不幸になる
でも相手からすれば同じなのだ
遺体を大事に扱わないやつはクズで、遺体を大切にすれば礼儀ただしい
殺される側からするとふざけるなと叫びたくなる理屈だろう
どちらも生き物の命を奪うという異常者なのだ
だからといって襲い掛かってくる敵に大人しく殺されるつもりもないし
目的のために命を犠牲にすることも別におかしいとも思わない
でもなにか心にシコリが残る
殺した人にも家族がいるんだ
CFOの世界と同じようにこの人たちは生きているんだ
無理やり戦争にこさされたものもたくさんいたんだろうか?
出口のない闇に囚われないようにオレは戦闘を楽しむのか?
謝罪はしない
「おそかったか・・・・・・・・」
冷たくなった女性の死体の横でそれだけつぶやいた
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side ジルシーナ
「この薄汚い獣風情が」
男は拳を握りしめる
「絶対に報いを受けさせてやる!!」
ジルシーナ第一王子レオンハルト=ヨンガン=ジルシーナは叫んだ
彼らは白虎族の集団の追っていた
ことの発端はジルシーナの獣王連合国境付近の村が焼失したのだ
生き残りの証言によると白い獣人だったそうだ
重要なのはそいつが白虎族と名乗ったことだ
しかし、上層部は疑問に思う
確かに、白虎族は竜と互角に戦える獣人最強の一族である
しかし、かなり温厚で仲間思い、困っていれば異種族でも助けるお人よし
あまつさえ現族長は聖女などと呼ばれているのだ
とりあえず真相究明のため白虎族の里に使者を送った
ここで問題が起こった
使者が一人を残し皆殺しにされたのだ
このことが判明すると国中が激怒で彩られた
使者の生き残りの証言ではやはり白い獣人であり
白虎族を名乗り、決定的なことに白虎族全員が右手に巻いている赤い布が現場に残されていた
これだけの証拠がでればもう躊躇はしない
すぐさま白虎族を殲滅するための軍をだす
そもそも使者の中には王族もいて国のメンツを潰すような真似をしたのだ
この集団の責任者がレオンハルトだ
ジルシーナは白虎族の里を何重にも包囲し全員を血祭りに上げようとした
しかし、流石獣人最強
一人として犠牲者をだすこともなく包囲網を食い破ったのだ
数人はこの時、なんで死者が一人もいないのかやなぜ獣人連合側に逃げないのか、そもそもなんでなんの妨害もなく白虎族の里を包囲できたのか不自然に思った
レオンハルトは弟の仇を目の前に冷静さを失っていてそのことに気づかなかった
帝国の行動は迅速だった
すぐさま国内の白虎族の逃走進路に大量の罠と兵を配置したのだ
これも白虎族は一人も死者を出すことなく突破した
残念ながら生物の体力は有限
終わりの見えない逃避行と、ほとんど休みなく数日走り続けた疲労、途切れることのない猛攻
白虎族の限界はすぐそこだった
「殿下、白虎族の野営地と思わしき後を発見しました」
やはり1000人規模の生活跡は消せないかと心の中で納得する
「やはり殿下の予想どうりチュダックを目指しているようです」
自分の予測が当たり機嫌がさらに悪くなる
チュダック聖王国はウラノスを崇めている
獣人にも寛容でどんな種族でも住みやすい
それに他国からの干渉を極端に嫌うのだ
「まずいな」
正直、チュダック国内に入られれば手が出しづらい
それまでに必ず白虎族を捕まえる
決意をその胸に宿し思考を打ち切る
「おそらく奴らは誓約の森に向かっているのだろう
全員オレに続け!!」
復讐ににごった瞳でなにもない空間を睨みつける
「絶対に許さんぞ」
逃走劇は最終局面を迎えようとしていた
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side 白虎族
シイナは誰も答えてはくれないと知りながら言わずにはいられなかった
「誰がこんなことを」
数日前突然現れたジルシーナの軍隊が村を焼いたとか、王族の仇とか
まったく身に覚えのないことで攻めてきたのだ
相手は話しかけてもまったく反応をかえすこともなく
ただただ殺そうとしてきた
本当は気づいている
現獣王連合の長で銀狼族の族長でもあるあの男の仕業だと
シイナはとても美しい
平均的な身長ではあるがその大きな女性の象徴のふくらみ、処女雪のようなその白い髪、大人びた美しい顔立ちでありながらどこか幼さを残している
まさに神が自ら創造したかのように男ならすべてをかけて手に入れたくなる人には過ぎたる色香を放つ造形
その男もシイナに惚れた一人だった
そしてシイナを力づくで手に入れようとした
もちろん撃退した
そもそも白虎族の歴代最強ですらシイナには遠く及ぶわけもないし
戦いを知らない甘ったれのボンボンが勝てる道理などないのだ
あの時の自分に絡みつく気持ち悪い視線を今でも思い出す
あの男の逆恨みだろう
推測をやめ周囲を見渡す
疲れていない顔の者は一人もいなく
全員いまにも倒れそうだ
自分のせいでこんな状況を生んだと思うと申し分けなくて涙がでてくる
「シイナだいじょうぶ」
自分を姉のようにしたい、まだ5歳なのに自分が辛いのに他人を気遣うチハルの優しさに少し気がまぎれる
「大丈夫だよ、チハルは元気?」
質問をした後でなんて馬鹿な質問だと思う
大人でさえ弱音を吐きそうなのに子供が大丈夫なわけないのに
「うん、まだがんばれるよ」
あの男のせいで、男に若干苦手意識ができてしまったシイナであるが
チハルを見ていると子供が欲しいと思う
無理して笑う姿がとても愛おしく抱きしめる
「そっか、じゃあもう少しがんばろうね」
シイナはあきらめない
族長としてみんなを必ず生かすために
(元に戻るよね・・・)
みんなと笑っていられた日々を胸に抱きながら
CFOの知識辞典
今回で主要メンバーの装備についてはおしまい
サクヤ・・・ハルの大剣
CFO開始当初に配布される初期装備鉄の剣を強化を重ねて到達した武器の到達点の一つの形
主人公の反則的な力に耐える唯一の装備だった
CFOの武器はモンスターを倒せば倒すほどその魂を吸収して力をます
サクヤはあまりにも膨大な魂を吸収して自我を獲得した
その切っ掛けとなったクエストが「エキセントリックな神ゴット」という初めての神殺しのクエスト
ちなみにサクヤの柄は回収済みであり今後本編でサクヤの魂になにかあるかも
おまけ
大海のメンバーはフェンリルも含め全員専用の大剣を持っています
戦いの前に大剣を掲げるのは主人公の中二病?




