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【題名変更しました】 『偽物』だと追放された元大聖女たちは、最強の相棒と運命の壁を乗り越える  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第四章 新たな地へと向かう聖女たち

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41、依頼開始

 翌朝、準備を終えた四人は、城へと向かい、そこから北に広がる森へと向かった。エーテルの森、と呼ばれるそこは、背丈が膝下ほどの雑草が生い茂っている。

 特に木々は所狭しと生えているため、あまり太陽の光が地面に届かず鬱蒼としている。歩き慣れていないミナとレアは足元に注意をしながら、ベルドの後ろについていく。


 時々魔物と思われる遠吠えや叫び声が遠くから聞こえている。現在歩いている道は最近辺境伯率いる部隊が、討伐をしたということで比較的魔物が少ない道らしい。

 確かに小型の魔物は何匹も現れたが、大型は現れていない。ミナとレアは街に向かって心の中で感謝を述べた。


 ただ、二人は知らない。ミナが魔法でちょちょいのちょい、と倒した魔物は小型ではあるが……緑級でも苦戦する魔物である、ということを。

 

 長い耳を持つキラー・ロップという魔物は、長く垂れた耳を持つ白い魔物なのだが、近づくと耳を鞭のようにしならせながら突撃してくるのだ。

 その上、物理に強い。ふわふわの羽毛のように見えるが、キラー・ロップが魔力を込めるとその羽毛がまるで鉄のように固くなるというおまけ付き。


 そのため普通は遠距離から魔法で討伐するのが一番なのだが……目にも留まらぬ速さで移動するため、最初はその速さについていけない冒険者もいるのが現状だ。


 ちなみにミナはもちろんのこと、レアもこのキラー・ロップを普通に討伐している。レアは遠距離で倒せるミナを「すごーい!」と称賛しているのだが、レア自身の活躍にも目を見張るものがあるのである。

 もちろん、本人たちはそのことに気がついていないが。


 ちなみにベルドとウルはその辺の感覚がわかっているけれど、そもそも二人が普通でないことを知っているので笑みをたたえるだけだ。


 しばらく歩くと、左側に小川が見えてくる。どうやら水源が近いらしい。ベルドが地図を確認した。


「うん、二人のおかげで順調に進んでいるね。もう少しでひとつ目の確認場所だ」

「確か、浄化を依頼されている泉は、今回行くところの中で一番標高が高い場所にあるんだったな」

「そうそう。あとのふたつは丁度通り道にあるから見ておくよって、僕が提案しただけだし」


 ウルもベルドの言葉に首を縦に振る。

 確かに通り道なら手間もかからない。もし泉ではなくそこに瘴気が溜まっていたら……という可能性もありえるのだから、確認するのは大事だろう。


「ああ、あったね。あれだ」


 ベルドが指差した方向を見ると、そこには池ほどの広さの水の溜まり場があった。奥側は土壁になっており、そこから水が染み出している。

 溜まっている水は透き通っており、水底も鮮明に見ることができた。ここはまだ瘴気には侵されていないようだ。

 空中にはところどころ瘴気は浮かんでいたが、ミナとレアが見る限りそこまで酷くはない。これならあの腕輪一個でも浄化できるだろう。

 

 ベルドが腕輪をかざすと、瘴気に反応したのか腕輪が白く光り輝いた。そして辺り一面を光で包み込むと……瘴気が霧散していく。

 浄化の腕輪って便利だな、とミナとレアは感心していた。

 これを王国でも前線で使用できれば、もう少し魔物討伐も楽になりそうだが……聖女が多いからと胡座をかいている彼らは使おうとしないだろうとも思う。


 光が消えていくと、少し澱んでいた空気も浄化されて綺麗になったように見える。水はまるで太陽の光を反射した時のように、キラキラと輝いている。浄化の光が水面にまだ残っているからだ。


「浄化の腕輪って凄いんだね!」


 効果に感動したレアが……まるで子どもが新しいおもちゃを見つけたように、はしゃいでいる。そんな彼女を見ているウルの口角が、先ほどよりも少し上がっているような気がするのは気のせいではないだろう。


「これぞ、帝国の叡智の結晶だろうな」


 聖女の少ない帝国がどのように瘴気を浄化しているのか知れたミナも、表情にはあまり出ていないが、感服していた。

 二人の言葉を聞いたベルドは、嬉しそうだ。

 

「そう言ってもらえると嬉しいよ。この腕輪は公爵家の先祖様が、苦心の末作り上げたものらしいからね」

「へぇ〜! ベルドさんの実家って凄いんだね!」


 レアの言葉に照れたのか、頭を掻いて笑うベルド。その姿は以前と比べて、彼の素が出ていルような気がする。

 ミナは少しだけ、そのことに胸を撫で下ろした。そんな三人を見て、ウルが口を開く。


「……次へ行きますか?」


 ウルの言葉に三人は頷き、次へと足を進めた。



 

 引き続き、小型魔物を討伐しながら歩いていく四人。

 特に何も問題なく二箇所目の泉……こちらもやはり池くらいの小ささだったが、そちらも浄化し、最後の場所へと歩みを進める。


 泉へと進むにつれ、瘴気が濃くなっていくのが感じられたミナとレア。しばらくすると、これは不味いと感じたミナの提案で防御魔法を四人の周囲に掛ける。

 ベルドは浄化の腕輪で瘴気を払いながら歩いていくのと同時に、ミナもこっそりと浄化を使用していく。少し嫌な予感が頭を過っていたからだ。


 そして泉に辿り着いたところで……ベルドは足を止めた。


「――隠れろっ!」


 小声で三人に告げるベルド。すぐに背を屈めて、低木の隙間から泉を見てみると……そこには大量の瘴気と、水を飲んでいる大型の魔物がいた。その魔物はこちらに背を向けているので、どうやら気づかれていないようだ。

 王国では見覚えのない後ろ姿だったため、レアとミナは不思議そうな表情でベルドたちを見る。すると、ベルドとウルは眉間に深い皺を刻んでいた。


「フェンリルじゃないか……何故こんな場所に?」

「わかりませんが……ここの瘴気が強くなったのは、このためでしょうか?」

「その可能性があるな」


 フェンリルとは、茶級冒険者が苦戦すると言われるほど強い魔物らしい。声をひそめたベルドが教えてくれたのだが、元々森の奥に広がる山脈内に暮らす魔物だそう。

 縄張り意識が強いため、滅多に山脈内から出てくることがない。それもあって、冒険者たちとも戦闘になることなど、ほとんどなかったのだが……。


「あの濃い瘴気から生み出された、と考えるのが自然だろうな」


 ミナの言葉にベルドとウルが目を見開く。彼女はフェンリルだけではなく、泉の上にある暗闇のような空間を睨みつけていた。

 

「なんでこの場所にこんな瘴気が生み出されたんだろう? ミナ、わかる?」

「わからない。ここにこんな瘴気が溜まったこと、過去にあったのか?」


 ミナが二人に訊ねると、ベルドもウルも「そんな話はなかった」と告げた。

 偶然か、必然なのか……運が悪かったのか。原因は掴めなかったが、そもそもこれを放置しておく、という選択肢はない。

 

「まずはその浄化の腕輪で瘴気を浄化するぞ」

「頑張ろう!」


 気合いを入れる二人。そんな彼女たちを見て、ベルドとウルも力強く首を振った。

 

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