表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

第4.5部 東京/岩手 「広がってしまったもの」

この作品は、現代を舞台にしたフィクションです。

人の流れや空気、

「なんとなくそうなってしまうこと」をテーマにしています。

特別な能力があるようで、

どこか現実にもあるような話です。

ゆっくり読んでもらえたら嬉しいです。

東京に来てから。



---


違和感は、施設の中だけのものじゃなくなっていた。



---


最初は、小さなズレだった。



---


会話の流れ。

人の判断。



---


少しだけ偏る。



---


でも。



---


時間が経つほどに、それは広がっていった。



---


ニュースを見た。



---


地方の施設で、事故。



---


利用者同士のトラブル。



---


一方が死亡。



---


原因は不明。



---


「なんだこれ」



---


思わず呟く。



---


画面の下に、地名が出る。



---


岩手。



---


(……まさか)



---


目を離せない。



---


別の日。



---


またニュース。



---


男性が刺されて死亡。



---


犯人は知人。



---


動機は曖昧。



---


「なんとなくイラついた」



---


それだけだった。



---


(……なんだよ、それ)



---


違和感が、残る。



---


数日後。



---


連絡が来た。



---


岩手の知り合いから。



---


「三上、死んだ」



---


言葉が、止まる。



---


「……は?」



---


事故らしい。



---


巻き込まれた。



---


それだけ。



---


スマホを握る。



---


連絡先に、三上の名前が残っている。



---


「今、動いた方がいい」



---


あいつの声が、浮かぶ。



---


軽くて。

適当で。

バカで。



---


でも。



---


一度も外さなかった。



---


(……最後は、外したな)



---


思って。



---


すぐに否定する。



---


(違う)



---


外したのは。



---


俺だ。



---


画面が、暗くなる。



---


何も言えない。



---


帰り道。



---


郵便受けの前。



---


何も考えずに、手を入れる。



---


手紙が入っていた。



---


見覚えのない封筒。



---


名前だけ。



---


畠山。



---


(……なんだこれ)



---


開ける。



---


紙が一枚。



---


雑な字。



---


三上だった。



---


「お前なら、分かるだろ」



---


少しだけ、間。



---


「だから、やれ」



---


それだけ。



---


(……なんだよ、それ)



---


笑いそうになる。



---


でも。



---


止まる。



---


(三上は)



---


外さない。



---


手紙を握る。



---


あいつの声が浮かぶ。



---


「今、動いた方がいい」



---


軽い。



---


でも。



---


外れない。



---


(……ああ)



---


理解する。



---


止めるのは。



---


俺だ。



---


理由はない。



---


でも。



---


それでいい。



---


施設に戻る。



---


空気が、少し違う。



---


人の視線。

言葉の選び方。



---


何かが、揃っている。



---


ある職員が、利用者に言う。



---


「いい加減にしてください」



---


ただ、それだけだった。



---


でも。



---


別の職員が、急に怒鳴る。



---


「そんな言い方するなよ!」



---


さらに別の職員が割って入る。



---


空気が、一気に変わる。



---


数分後。



---


一人の利用者が倒れていた。



---


原因は分からない。



---


ただ。



---


その場にいた全員が。



---


「なんでこうなったか分からない」



---


そう言った。



---


(……おかしい)



---


繋がる。



---


点と点が。



---


三上。

岩手の施設。

この場所。



---


全部が。



---


同じ方向に動いている。



---


(……広がってる)



---


誰かがやっているわけじゃない。



---


でも。



---


確実に、広がっている。



---


嵯峨久美。



---


あいつは、何もしていない。



---


でも。



---


あいつがいるだけで。



---


人が動く。



---


感情が偏る。



---


結果が変わる。



---


(……止めないと)



---


初めて、そう思った。



---


理由は、一つじゃない。



---


正義でもない。

復讐でもない。



---


ただ。



---


このままだと。



---


取り返しがつかなくなる。



---


それだけだった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

この物語は、

「流れのままに生きること」と

「自分で選ぶこと」の間にある違和感から生まれました。

能力の話ではありますが、

本質は「どう生きるか」という話です。

完璧じゃなくても、

自分で選んだと思えること。

それだけで少し違う、

そんな感覚が伝わっていれば嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ