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 切手も趣味の一つだったようだ。父親の部屋にはレコードがずらり、漫画や小説もずらりと並んでいた。貴重な物も多かった筈だ。当時の俺には分からなかったけれどな。勿体ない事をしてしまった。

 あいつに気付かれず、タバコを三本、マッチを一つ盗んだ。居酒屋なんかで置いてあるマッチだ。使い捨ての、十本くらいのマッチがくっついているやつ。ガキの頃の俺には木琴のように見えていた。小さな楽器。可愛いよな。別に悪い事じゃねぇ。あいつだって父親から盗んでいたんだ。

 春や秋、季節の変わり目にはおかしな奴が現れる。今も当時も変わらない現実だ。俺はテレビのニュースで見た。不審火事件。狭い範囲での連続放火魔。犯人は捕まっていないが、防犯カメラに人影が写っていた。そうい奴が立ち去った瞬間に、炎が立ち上がる。弱気な犯人は、何故だかゴミ置き場ばかりを狙っていた。何の為の犯行だ? ストレス解消? だったらもっと派手に解消すればいい。そんなにこぢんまりとしていたら、俺なら余計にストレスが溜っちまう。

 だから俺は、派手に解消する事にしたんだ。大きな炎を見れば、俺の心も静まる。嫉妬心が消えていく。そう考えた。

 夜中に家を抜け出し、タバコに火を点ける。少しだけ楽しみ、あいつの家の庭に投げ入れた。燃え上がる炎に包まれあいつの家。ざまぁみろだ。切手帳も何もかも、あいつの物は消えてなくなる。

 そうなる筈だった。

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