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彼女の涙の理由は分かっている。翌日俺は、ごめんの言葉を零した。彼女は無表情で頷いた。その日から、下校は三人に戻った。あいつは、何かあったのか? 彼女に聞いてみるよ。そんな空気の読めない事ばかり言う。俺はお願いだから余計な事はしないでくれと、あいつの胸座を掴んだ。
あいつは俺が何に対して怒っているのか理解していなかった。そういう奴なんだ。あいつは一人っ子。自分が世界の中心だと思っている。自分がしている事に間違いがないと思っている。あいつの考えは、全てが正しい。自分の為じゃなく、他人の為を考えている。あいつがいかに恵まれているかって事だな。
俺は決意を固めた。あいつなんて消えればいい。それしか頭の中に感情がなかった。あいつへの嫉妬心を抑えられなくなったんだ。
あいつの家に行った時、俺達はよくタバコを吹かして遊んでいた。ほんの遊びだ。口に含んで吐き捨てる。肺には吸い込まないようにしていた。
初めて試した時、三人共が肺まで吸い込み苦しんだ。咽かえるだけなら問題はない。頭が真っ白になり、気分が悪くその日は一日頭が働かず、何を食べてもすぐに吐き出した。それでも諦めず大人への挑戦を続け、吹かす事を覚えた。
あいつは父親からタバコとマッチをくすねて隠していた。タバコに一番の興味を持っていたのはあいつだ。父親が多趣味な人だったからな。その影響だ。
タバコは趣味というより習慣だな。世界中のタバコが家にあったけれど、趣味にしていたのは葉巻だ。けれど流石に、葉巻はくすねられない。一本なくなっただけですぐにバレるからな。
あいつは父親からタバコと葉巻の違いを聞いていた。大きな違いはその時間を楽しむか潰すかだと言っていた。意味が分からないよな。葉巻の香は好きだけれど、買ってまで吸う気にはなれない。俺にはまだ余裕が無いって事か? 楽しむ気にはなれない。




