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切手を集めるのが俺の趣味だった。古いもの、新しいもの、何でもいいんだ。外国のでも、使用済みでもよかった。綺麗な絵だったり、スタンプの文字だったりを見るのが好きだった。なんとなくだけど、世界を旅している気分になれたんだ。
切手は世界を飛んでいる。世界の空気に触れられる。そんな感覚だ。
いいなぁ・・・・ これ欲しいな。
あいつが一枚の切手に見入っていた。赤い切手。外国の切手。地味な絵だったけど、俺も好きだった。ラーメンの器の模様? 俺にはそんな風にも見えていた。
それはダメだ。他のだったら一枚、あげてもいいよ。
えぇー、なんて言いながら、あいつは他の切手を物色した。ドラムスコは切手には興味がなかったようだ。ゲームに夢中だった。
あいつが選んだ切手は、この国の古い切手。女の人の背中と横顔が描かれた細長い切手だ。あまり綺麗じゃない女の人。俺は好きじゃなかった。父親から貰った切手。何にも知らずに、いいよとあいつにあげたんだ。
俺は父親に切手の事を話した。喜んで貰えると思ったんだ。けれど父親の反応は正反対。
あれは高価なんだぞ! 取り返して来い!
そんなの無理だよ。
一度あげた物を返してなんて言えない。けれど父親は、取り返して来いの一点張り。次の日あいつにお願いしたけれど、あいつは嫌だと言うばかり。
ふざけているのは俺の父親だ。高価な物? そんな物を子供に持たすのが悪い。それにな、後になって知ったけれど、それ程でもなかった。多少高い。その程度だ。オリジナルじゃなく、再発行版だったからな。
父親のつまらない言葉をきっかけに、俺はあいつを嫌うようになった。何故かって? あいつが返してくれなかったおかげで、俺は父親に殴られたんだ。




