↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/89

2

 あいつは一年生の担任。クラスは二つ。俺は一組、あいつは二組だ。ツカツカ突然目の前に現れ、俺の顔を両手で挟んだ。左右同時の平手打ちのようなものだったな。大人の大きな手は、俺の顔を挟んでも指がはみ出していた。パシンッと頬が揺れ、耳がキーンと鳴っていた。

 その一撃で俺は、半ベソをかいていた。けれどそれで終わりじゃない。あいつはそのまま俺を持ち上げたんだ。両手で顔を掴んだままな。

 俺は宙ぶらりん。あいつは俺をほんの少し高く投げ上げたんだ。落ちてくるタイミングに合わせてもう一度パシンッ。それを二度繰り返した。俺の頬が真っ赤に膨らんだ。二つの理由でな。痛みと怒りだ。

 俺はあいつを睨みつけた。当然だろ? 理由が分からなかったんだからな。必死に泣くのを堪えたよ。

 あいつも俺を睨んでいた。けれど何も言わずに立ち去った。他の生徒達が騒ぎ始めたからな。あいつの目を見ていた俺には分かる。あいつはえらく動揺していた。情けのない奴だ。意志の弱い男なんだよ。

 どんな意思でもいいんだ。例えそれが間違っていてもな。そこにあいつの拘り、その理由があればそれでいい。俺はそう思うね。

 けれどあいつには、それがなかった。何の拘りもなく、単純に生徒を虐めていただけだった。

 俺を引っ叩いた理由は、俺の言葉遣いが生意気だったから、だそうだ。俺は友達と話していただけ。あいつに対して生意気だったわけじゃない。子供同士、口が悪くて何が悪い? 責任があるとしたら、俺にだけじゃない。俺の親、保育園の先生、それにあいつら大人達にもある。だってそうだろ? ガキの言葉遣いなんてな、周りの物真似に過ぎない。

 あいつは何を考えたのか、俺の通っていた保育園を尋ねた。俺以外にも、その年の生徒はあいつの目には悪く映ったようだ。他の保育園には行かなかった理由は分からないがな。きっと、俺への嫌がらせだろ?

 あいつは俺に謝りもしなかったんだ。悪いのは俺であり、俺の親であり、保育園にあると思いたかったんだろうよ。ふざけた奴だ。

 俺はその事を親には話さなかった。そんな必要はない。そう思ったからだ。俺は怒りの矛先を理解していた。あいつ本人に直接向けずして何の意味がすある?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。