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俺はそいつの股間に蹴りを入れた。そいつは呻き、倒れ込んだ。俺の遊びはそこでお終い。それ以上は手を出さない。俺はな。
けれどあいつは違っていた。ちょっとした騒ぎを嗅ぎつけ、木刀を手に、そいつに叩きつけた。
俺はしばらく眺めていた。すぐには止めない。そんな事をすればこっちがとばっちりを受けちまう。一度火がついたあいつを収めるのは大変なんだ。少し燃焼させてからでないと、俺でも無理だ。
あいつの様子を、俺は真剣に眺めていた。そのタイミングを逃さないようにな。あいつを人殺しにはしたくなかった。
彼女は笑っていた。何がそんなに楽しんだ? あいつの暴行を喜んでいた。そいつが血を流す姿に笑い転げていた。
その辺にしとけよ。
俺が止めに入るとあいつは大人しく従った。毎度の事、慣れたもんだよ。
よく覚えとけよ! 今度その顔見たらこんなんじゃすまないからな。
彼女はそう言い、そいつを踏みつけた。
その日の朝、俺は彼女のケツに乗った。俺よりも彼女の方が興奮していたな。凄かったよ。初めてだったな。あんなに狂ってる女とするのは。気持ちいいだけじゃなく、楽しいって感じた。俺が好きモノになったのは彼女がきっかけだ。
彼女とは毎日楽しんでいた。俺が何処かに行く時、必ず付いてくる。ツーリングだけじゃなく、学校にも、バンドの練習にも。美容院にいない時間の殆どは俺と一緒だった。それなのに、何故だ? いつそんな事をしていたのか、俺には不思議でたまらなかった。
俺達のバンドは三人組。俺とあいつ、そしてドラムスコ。ドラムスコは俺の小学校からの友達だ。コジキを殺したあいつの仲間にも入っていた。親父さんが趣味でドラムを叩いていた。セミプロ? 本人はそう言っていた。年に何度かライヴで演奏していたそうだ。その息子だからドラムスコだ。金持ちの悪ガキ。そんな意味も含んでいたけれどな。俺とはよく行動を共にしていた。夜のツーリングには参加していなかった。ドラムスコはバイクには乗れなかったんだ。
ドラムスコの事は俺よりお前の方が詳しいんじゃないか? こんな仕事してるんだ。当然だな。あいつはいつも笑顔でドラムを叩く気のいい奴だった。あんな些細な事をきっかけに、あんな事をするなんてな。長い付き合いの俺だってビックリだよ。
俺達のバンドはそこそこの評判だった。ライヴを重ね、ファンも出来た。友達や知り合い以外の純粋なファンだ。嬉しかったね。俺達のスケジュールを調べて、誘ってもないのに来てくれる。
ライヴにも彼女は顔を出す。酷いもんだったな。俺達のファンに対してよく悪態をついていたよ。俺は少し、彼女に嫌気を感じ始めていた。
そんな時だよ。俺は見てしまった。彼女があいつと楽しんでいるその姿をな。ライヴ後の事だよ。ライヴハウスの便所で、いい声出していた。
便所に行った俺はたまたまその声を聞いたんだ。まさかあいつと彼女の声だとは思わなかった。
お楽しみ中悪いな!
俺はそう言い、その声の聞こえる個室のドアを蹴飛ばした。
あぅ!
三人が同時に同じ言葉だ。
俺と彼女の関係はそこでお終い。けれど信じられない事に、あいつと彼女の関係は続いた。バカな野郎だと感じたね。




