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お前はつまらないな。
あいつが俺にそう言った。俺は確かにつまらなそうな顔をしてあいつの話を聞いていたよ。だから俺はこう言った。
そうですね。
そうだよな。お前は悪口を言わないからな。
冗談言うなってんだ。俺だって他人の悪口くらい言う。お前の悪口を世界中でバラ撒いているよ。なんて言葉は口には出さなかったがな。俺は面倒は嫌いだ。黙ってただの愛想笑いだ。
その後は二度とその場には顔を出さなかった。あいつからの教育も終わりだ。あいつの言い分では、俺は使い物にならない。教える気にもならないからクビにしてくれ。社長にそう言ったそうだ。けれどクビにはならなかった。俺の仕事振りは息子がよく分かっていたからな。って言うか、あいつより使い物にならない奴なんて、この世界にはいねぇよ。
俺はあいつが嫌いだった。あいつにだって俺の感情は伝わっている筈だ。それなのにあいつはしつこく俺に付き纏う。理由はなんだ? 初めは理解が出来なかった。
あいつは俺の前でよく、社長の悪口を言っていた。息子の悪口もな。全てが大嘘。あいつの言葉は薄っぺらだ。
俺の前では悪口ばかり、けれどおかしなもんだ。社長や息子の前では調子のいい言葉ばかり。聞いているだけで首筋が痒くなってくる。下手糞な漫画のように、取って付けたような言葉だった。
初めはそんな感じだった。けれど次第に、あいつは暴走を始める。その理由は分からない。狂った男の思考なんて誰が理解出来るかってんだ。
あいつの息子に対する虐めが始まった。精神的な虐め。酷いもんだった。陰口の応酬。息子に聞こえるように、聞こえていない振りで悪口を言う。
態度でも虐めていた。具体的には話したくない。思い出すだけで、俺の性格も歪んでいく。想像はつくだろ? どんな人生を送っていても、必ず一度は虐めの現場を経験している筈だ。直接的であれ、間接的であれだ。被害者なのか加害者なのかも関係ない。虐めってのは、そういうもんだろ?
あいつの言動と態度に、息子は次第に気を滅入らせていった。可哀想だと思ったよ。息子は日に日におかしくなっていた。目が虚ろで、俺が何を話しかけても、まず御免なさいを言う。見ているだけで腹が立った。息子にじゃない。あいつに対してだ。
あいつはただ自分の利益の為に虐めをしている。馬鹿げた利益の為にだ。




