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仕事場にあいつがいた。俺の姿を見てあいつがなんて言ったと思う? 想像もつかないよな。あいつは俺に、この会社に来てもいい事ないぞ。そう言った。それからこうも言った。ここで仕事を覚えたらすぐ辞めちまえよ。どこ行ってもここよりいい条件で働けるぞ。
そんな奴が働いている会社に行きたいとは思わなかった。
社長の息子も狂っていた。社長が俺に、何に興味がある? そう聞いた時、俺は近くのコンピューターみたいな物を使ってみたいと言った。当時の俺にはそれが何なのかさっぱり分からなかった。興味を惹かれたというより、それが一番に目についたんだ。
そんな俺の言葉を、社長の息子は、鼻で笑っていた。社長はよかったら触ってみるかという。俺は嬉しかったね。けれど息子は、そんな物覚えなくていいよ。そう言って、触れずじまいだ。
その後分かったんだけど、確かに覚える必要もない程に簡単な機械だった。けれど息子の態度は酷かった。その時だけじゃない。面接中ずっとガムをクチャクチャ、俺の顔を睨みつけて観察していた。殆ど無口で、たまに発する言葉は嫌味ばかり。
どうしてそんな会社に就職したのか、理由は一つだよ。就職活動が面倒だった。それだけだ。スーツを着るのが嫌いなんだよ。
就職してからは後悔の毎日だ。俺の性格が捻じ曲がっていく。苛々する毎日の始まりだった。俺はさ、カメレオンなんだ。その意味は分かるだろ? その場の景色に染まってしまうって事だ。しかも、それに加えてミラーマンでもある。こっちは知らないか? まぁそうだろうな。俺の造語だからな。ミラーマンってのはな、鏡男ってことだ。その位は分かるか? まぁそうだな。つまりは嫌な奴の前では嫌な奴になるって事だ。いい奴の前だと当然いい奴になる。まぁ、俺はいい奴には滅多に出会えないから、大抵は嫌な奴になる。ここにいればいつでもそうだ。嫌な奴だらけだ。けれどあんたといる時だけは少し違う。不思議と俺の心が暖かくなる。おいおい、何を照れてるんだよ。




