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 あいつの話でいいのか? これはつまらないぞ。何にもないからな。あいつは自分の事しか考えていないだけだ。死に損ないのジジイで、何を考えているのか必死に自分の仕事を守っていた。俺はそのジジイの後釜として就職した。けれどジジイは俺に、何の仕事も教えない。それだけなら我慢出来る。教わらなくても仕事は出来るからな。けれど違っていた。ジジイは俺に別の仕事をさせた。始めはそれでも我慢が出来た。入ってすぐだ。色々な仕事を覚えるのも大事な事だ。どんな職場でもそうだろ? 始めは雑用でも仕方がない。俺はちゃんと我慢したさ。けれどな、数ヶ月いるうちに、俺は知った。あのジジイはいつもそうだって事をな。それまでにも何度も後釜がやって来た。あいつは何も教えない。自分の仕事を守り抜く。定年過ぎのジジイのクセにだ。いつくたばるとも分からねぇのにだ。

 俺が悪いって? 仕事が出来なかったって言いたいのか? それは違うな。あのジジイは大した仕事をしていなかった。それはあのジジイ以外誰もが知っていたよ。

 他の上司や社長にも相談をした。皆があのジジイには困っていた。クビに出来ない理由は一つだ。ジジイは先代の社長と仲がよかった。

 俺は他の仕事をいいように任された。上司たちは口ではいい事を言っていたな。ジジイにはちゃんと話をするとか、ジジイをクビにしてもいいと言っていた。最終的にいつも言う言葉は、もう少し我慢してくれだ。ふざけている。俺は我慢出来ずに辞めたって訳だ。

 それだけの話だ。満足か? 退屈にも程のある話だ。そうだろ? 本当に嫌な奴の話が聞きたいって? ジジイだってじゅうぶんに嫌な奴だったがな。いいだろう。一度思い出したついでだ。本当に本当の嫌な奴の話をしてやるよ。

 あいつは以前に話した潰れた会社にいた。覚えてないか? そうだよ。あの話以前に勤めていた会社の事だ。

 今思うといい会社だったのかもな。人間的には最悪だったが、仕事は楽だった。金払いもよかった。いまだにあの会社での年収を越える稼ぎはない。潰れたってのにその前の月のボーナスも出たし、退職金も出た。結構な貯金を与えてくれたよ。

 どんな仕事かって? そんなの聞いてどうする? これは俺の身の上話じゃない。知りたければ調べればいい。っていうかもう知ってるんだろ? それならそれでいいじゃねぇか。必要なら俺の判断で話をする。つまらない口出しは遠慮して欲しいね。

 あいつは出会った時から狂っていた。俺はその会社に入ろうと面接を受けたんだ。何処でもよかった。ある程度の金が稼げて、家から近い。それだけが条件だ。面接をしたのは社長とその息子。俺の経歴を聞いて、世間話を少し。それだけだ。俺は気に入られたようだった。その後仕事場を案内され、翌週からの採用をその場で伝えられた。

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