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あいつはそうだな、俺より少し年上だ。四十過ぎか? 独身で無職、母親と二人暮し。母親ができた人間でな、なんだかよく知らねぇが、国の仕事をしていたとか、国会議員だったか、とにかく結構な年金を貰っていたらしい。そいつは俺なんかより断然にいい暮らしをしていた。
今まで出会った奴の中で、あいつが一番狂っている。あんな頭の構造をしている奴は初めてだ。どんな育ち方をすればあんな人間に育つ? 不思議でならない。ついあいつの生い立ちを聞いてしまったくらいだ。普段は別にそいつがどんな環境で育ったとか、そんな事を気になんてしない。初めてだよ、あんな気持ちになったのは。あいつの事は色々と気になったからな。
金持ち生まれ、一人っ子で甘えん坊。羨ましい限りだね。狂ってる奴ってのは、一人っ子が多いようだな。そうでもないか? 長男ってのは狂ってる。それは間違いない事実だ。長男の俺が言うんだから真実だよ。まぁ、二番目長男だけどな。
生まれた時からあいつは母親と二人暮しだ。父親が誰なのか、俺には言えないと言っていた。有名な政治家か、有名な歌舞伎役者、そのどちらからしい。あいつ自身は知っているとも言っていた。けれどそれ以上は教えられない。ワイドショーのネタにされるのは困る。なんて言っていたよ。どこまでが本当なのか、俺には分からない。金があるといっても、俺と出会った時は大金持ちとは呼べなかったな。だからこそ、あんな事を繰り返して小金を稼いでいた。
子供の頃は大金持ちだったってのも、あいつの言い分だ。母親の仕事もあいつの言い分に過ぎない。俺が知っているあいつの真実は、無職の大バカ野郎ってだけ。
あいつは嘘で自分を固めて生きてきた。あいつの話から分かった事はそれだけだ。金に不自由なく育ってきた。本当にそうなのか? 大物の父親がいる。誰だ? 何を聞いても詳しい事は教えてくれない。まぁ、話の途中であいつへの興味は薄れてしまったからな。無駄に突っ込んだりはしなかった。
つまりあいつは、狂った人生の中、当然のように狂ってしまったって訳だ。




