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何分くらい経ったか? 中から友達の一人が飛び出してきた。一番目はあいつじゃない。金を忘れた奴だよ。一番のろい奴だからな。始めに逃がす必要があったんだ。あいつは最後の予定になっていた。
俺はそいつの姿を見てすぐ、逃げ出した。そいつの後ろからゾロゾロとみんなが飛び出してくる。何度も振り返っては皆が揃うのを確認した。あいつがチャリンコに乗ったのが見えてからは、全速力で逃げた。皆必死にペダルを漕いでいた。
俺には聞こえなかったけれど、店員が叫びながら追いかけてきたそうだ。あいつが大笑いで教えてくれた。
公園に戻った俺はベンチに座り、タバコに火をつけた。一息つくにはタバコが一番だ。一服ってそういう意味だろ? 中学生くらいになると当然のようにタバコを吸うけれど、流石にファミレスでは無理だったな。ファミレスで堂々と吸えるようになったのは高校に行くようになってからだ。お前は女だから吸ってねぇかも知れないけどな、男なら誰だって一度は試しているものなんだよ。後であいつらにも聞いてみな。
それに当時は誰も文句を言わなかった。駅の売店でも制服のまま買えたからな。通学途中の学生が親の買い物じゃないのは誰にだって分かるだろ? それでも注意すらしねぇんだ。その場で火をつけても同じ。学生が学生服でホームの灰皿の前で平気でタバコを吸える時代だったんだ。
もっと早く合図を出せよな。
聞こえてきたのはあいつの声だった。頬に冷たさを感じる。ビクッと身体が震えた。
なんだよ・・・・ 合図っていってもどうすればいいのか決めなかっただろ? こっちも困ってたんだよ。
そいつは悪かったな。まぁこれでも飲もうぜ。
あいつが差し出したのはキンキンに冷えた缶ビールだった。汗をかいた後には嬉しいプレゼントだ。俺とあいつは二人で乾杯した。
他の皆は来なかった。逃げ場所はバラバラの方がいい。落ち合い場所を決めたのは何かがあった時の為でもある。誰か一人が捕まったとかだ。そうなったら皆が捕まる危険がある。助けるにしろ放っておくにしろ、手を打つ必要がある。勝手な行動はするなって事だ。まぁ全部あいつが考えたんだけどな。あいつのリーダーシップは抜群だった。当時は、な。
これは余談だけど、そのファミレスに俺は次の日も食べに行った。あいつらとじゃねぇよ。家族と一緒にだ。食い逃げなんて簡単なものだ。大した罪でもねぇしな。お前だって似たようなことくらいしてるんだろ? 嘘をつかなくてもいいんだよ。食べ放題のサラダや、飲み放題のジュース、誰か一人だけ頼んで皆で分け合った事くらいあるだろ? ないなんて言わせねぇからな。まぁ、店側だって分かってるんだよ。悪質じゃなければ黙認って事だ。俺達の食い逃げだって似たようなものだ。次の日にも同じ店員がいたけどな、俺の顔を見てちょっと睨んだだけだよ。俺が睨み返したらそれでお終いだ。何にもなく普通に食事を楽しめたよ。




