第二十八話 寝言
「っっっ!!! 」
俺は出かかった声をどうにか抑えた。 ……ちっ、近い……。 スゥ……スゥ……と寝息がかかるくらい。
……ああでも。
淡く月明かりが照らした真っ白な髪と整った顔、そして象徴的な1本の紅色のラインは……もうなんとも言えないくらい、美しかった。
はっ と我に返る。 そして、再び左を向いて考える。
……どうしようか。 ってかなんでいるんだ? 寝ぼけてきたのだろうか……。 でももしこの状況が朝にこのまま見つかったら俺は処刑だろうな……。
……俺が床で寝るしかないか。 そう思い至って、床のダンボールを少しずらして場所を確保する。 こんな感じでいいか。 さて と移動しようと体を動かす。
その時、キュッ っと服が引っ張られた。
「……! 」
……おい、なんでだよ? 頼むから、離してくれ……。 明日の俺の身を案じるなら。
俺は未来(明日の朝)の誤りを解くために手をはらおうとした。 その時、ソナが
「……ぃゃぁん……」
寝言を言ったのだ。 ……なんでそんな誤解を大歓迎のような言葉を出すんだよ。 破廉恥っ!
と、呆れるかもしれない。 だが俺はそうはならなかった。 ……泣いていたのだ。 ソナは。
「……お父……さん、お、……母さん……」
とぎれとぎれにそう言っていた。 ……そういえば、ソナの家族ってどうなっているのだろうか。 やはり、有安の時期姫候補だから簡単には会えない……とかなのだろうか。 俺はソナを起こさないためにも動かないことを選んだ。
時刻は真夜中。
その後、俺は夢を見なかった。
△△
チュンチュン、チュン……という小鳥のなく声が外からする。
「……ん……」
まだ重たい瞼を無理やり開ける。 そこには、目の前には、目が在った。 ……いや、目の前の目が合った、と言うべきだろうか。
「『あ』」
そう、ソナと顔合わせ会をしていたのだ。 ……距離はわずか2センチ程。
「き、きゃぁぁぁっっっ……!! 」
ソナの絶叫がこの家中に響き渡る。 や、やばい……! アスナに問答無用で殺される……!
ドタドタという足音が近づいてくる。 バタン! とドアが勢いよく開かれる。 あ、死んだ。 俺には地獄の門が開かれた感じだった。 終わった……。
「そ、ソナ……! ここにいるの!? ……って」
キョロキョロと辺りを見渡していたアスナの目が合う。
「……あ、お、おはようございま」
……アスナの顔がじわじわと怒りで満たされていく。
「この、変態がァァァ!!! 」
「グワッフっっっ……!!! 」
顔面にドロップキックをくらった。 強い衝撃を受けたにもかかわらず、何故だろうか俺の脳は眠るように再び停止をした。 取り敢えず、永い眠りではなかったので良かった。




