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2-10下 柔らかい猫人――息絶えるファンタジー

読者様に幸あれ。


文章が壊滅的に酷い……

また直すかもしれません。


「――んだば、神様はお休みやけぇ、猫の子ら呼ぶけぇなぁ」


 言葉を発しない貝の神様は眠った事にして、中で待機中の猫人を分体で呼び出す。

 すると、移動家屋の前方下部が口のように開き出し、着ぐるみ猫人がゆったりとした足運びで、背丈の小さい者から順に並び出る。


「柔らかい……猫人?」


「んだなぁ。前にも伝えちょったけぇが、『柔らけぇ猫人』やけぇ」


 どうやら、着ぐるみ猫人を、猫人とは別の種族として認識させるつもりらしい。

 能力を用いれば容易なのであろうが、精神への影響がライには受け入れ難いため、自然な誘導により『柔らかい猫人』という新しいカテゴリーを生み出したようだ。


「ん、思ったより落ち着いてるね」


「うむ。貝の神様から出てきたのも、思ったより効果的だったのかもにゃ」


 その後は、事前に練習していたジェスチャーや、鼠人独自の慣用句を多用して、やや過剰に思えるほど友好的なふるまいを強調。

 その多くが若いどころか、まだ小さな者達ばかりであった。

 そのため、子供同士の交友を通じて、保護者同士多少ぎこちないものの、穏やかな雰囲気で軽く挨拶を交わす。


 しばらく後、ある程度落ち着いた段階で、黒い神が交易交渉に入る。


「――という感じで、ドリルを使って光る石を集めたら、同じくらいの大きさのおイモと交換してもらえます。おイモが足りなければ、お肉と交換してもらえます」


 前回は、ライに任せきりになってしまったため、今回は黒い神が率先して説明を行っていた。

 心穏やかな鼠人が相手なら、『感触』も落ち着いているようで、余裕を持ってスムーズに話しやすいようだ。


「承知しました、使者様。こちらでもイモが十分に育つようであれば、代わりの肉については柔らかい猫人達と相談致します」


「はい。猫さん達も、誠実に対応してくれるでしょう。相談のついでに出来るだけ仲良くしてもらえたら、神様も喜ぶと思いますし」


「んだなぁ。ウチの分け身もおるけぇ、心配は要らねぇでなぁ」


 交渉自体は、これと言って特に問題も無く、順調なものであった。

 同席した着ぐるみ猫人達も、相変わらず適応力高く、淡々と相槌を打ちつつも、時に柔らかい笑顔すら向けて安心感を与え、理想的な物流従事者を演じきっていた。


「――他に交易について、何か質問や希望など、ありませんか? 後から気になった事は、白姐の分体に聞いてもらっても構いませんが……」


「いえ、もう十分です。神様と使者様のお陰で、これからも無事に暮らせます」


 貝の神もその使者も、実際には存在しないものの、これから鼠人の暮らしがさらに安定してゆく事に違いは無い。


「んだば、ウチらは石掘りするとこを、ちぃと整えて来るけぇ」


「一層目はお試しって事で掘りやすくして、徐々に難易度あげていこっか。その代わり、たくさん取れるみたいな」


 採掘訓練のような意味合いであろうか。

 ドリルの扱いに慣れさせると共に、栄養不足で弱ってしまった体を、リハビリ代わりに鍛えさせるつもりであろう。


「あのモンスター共も、落盤対策用の処理系一式に内外を換装するのにゃ。化け物から坑道管理者に昇格だにゃ」


 採掘現場をうろつくモンスターは、仕様変更されるらしい。

 今のところ危険な挙動は見られないが、見た目がよろしくない上に、その巨体と鋭さを持った外装も邪魔になってしまうのであろう。


「ん……皆の事は忘れない。ファンタジーは永遠だよ」


「永遠に未実装のまま、幻想の中で生き続けたら良いのにゃ」


 その後、モンスター達の背には、丸々としたデフォルメシリコン巻貝が装着され、鋭い外装形状も全て丸められる事になった。

 さらに内部機構も、坑道管理に適した物に更新されるだけでなく、サブシステムとしてライの分体まで埋め込まれたようだ。

 最後に、自爆機能に関するロジックを念入りに抹消された時、ついに黒い神的ファンタジーロマンの象徴は、その息を静かに引き取った。


「おやすみなさい……次は、人型ネクロマンサーとアンデッド飛こ――」


「オヤツやけぇ」


「ん……ナニコレ。ちょー美味しい。新しい味だね」


 悍ましさ漂う楽園への宣誓は、その口に差し込まれた新作オヤツによって、阻止されていた。


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