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第四話

ミーティアに連れられ、屋敷に戻った俺は手際よく料理を完成させた。

この屋敷には料理器具がなく、聞いてみたが、

「え?あの包丁?捨てたよ。邪魔だったし」


と言われてしまった。

しかし、そんなことでへこたれるような男ではない。

俺はすぐさまにハンバーグとアップルパイを焼き上げた。

材料費の支給…は無理だろな…


「どうだ?うまいだろ?」


「まぁ…やるじゃん。」


ミーティアはそう言って、がつがつと、食べている。

作った料理をそんなに食べてもらえるとはこちらとしてもかなりうれしい。


「ところでミーティアとお爺さ…クライスさんはどんな関係なんだ?」

俺は今まで思っていた疑問を投げつける。


「知りたい?長くなるけど」


「うん」

そういうと、ミーティアは何かを思い出すように目を閉じて、話し始めた。


私はある資産家の家に生まれた。

けれど、物心つく前から両親は亡くなったと聞かされていて、

両親は写真でしか見たことがなかった。

だから、幼いころからおじいちゃんと執事やメイドさんたちに支えられて、過ごしてきた。

みんなはとてもやさしくて、私にいろいろなことを教えてくれた。


世界のこと。空の先のこと。

そして、夢を持った。いつか、勉強に取り組んで学者になる夢を。

両親がいなくたって、寂しくはならなかった。みんなとずっと、生活していくんだ。そう思ってた。

でも、現実はそうやさしくはなかった。


ある日、おじいちゃんが病気で倒れた。メイド長がずっと、おじいちゃんに付き添ってくれてた。

でも、おじいちゃんは寿命がたくさんあるから大丈夫。そう思ってた。


この世界で寿命は便利なもの。

その人が存在できる時間だから。寿命を譲渡できる前まではお金がその人のすごさを表すものだった。

今でもお金を持つ人もいるけど、寿命は盗まれないしいつでもどこでもその価値を発揮できる。


次第に寿命が主流な通貨となっていった。

たくさん持っていたら、それは裕福な人として、尊敬や妬みの眼差しを向けられる。

もし、それを怪我で痛そうにしている人に渡したら、一瞬で傷は癒え、感謝される。

でも、そんなことに使うより、寿命をお金に換えて、薬を買ったほうが安いけど。

そんな寿命でも手の施しようのないものがある。


病気だ。

どんな高価な薬でも治らないのであれば、それはいくら寿命を使ったって無意味だ。

おじいちゃんはそれを悟ったのか、何もしなかった。

執事とメイドさんたちに寿命を払って、

「この子を頼む」

おじいゃんは病気で死んだ。雨が冷たかった。何もかも冷たかった。


おじいちゃんが持っていた遺産と寿命はすべて、私が引き継ぐことになった。

けれど、おばあちゃんが亡くなってから私の寿命目当てに犯罪者が私を襲った。

幸い、メイドさんたちが必死になって、守ってくれたけど、私だけが生き残った。


最後まで生き残った執事は銃で撃たれ、死ぬ寸前の私の傷を癒すために、寿命を全部使い込んだ。

私が目を開けるときには、執事は体か光となって、だんだんと、消えていっていた。

私は執事に聞いた。

「なんで…私を助けたの?」

「お嬢様を助けなかったら死んでいった彼女らに顔向けできません。

 私が消えても'あなたの記憶'に私は残ります。

 この世界にあと、少しいさせてもらえるのです。

 むしろ、私がお礼を言うべきでしょう。」

私は泣き崩れた。

「では、行ってまいります」

光が空に昇っていく。ゆっくりと。夜空にきらめいていた星に向かって。



私はそこから、勉強に励んだ。

いつしか天才少女と呼ばれるほどに。

そんなとき、ある一人の老人が私の元を尋ねに来た。名をクライスと語った。


私は老人を見て、なぜか懐かしさを感じた。初めて、見たはずなのに。

老人も私を見て、なにかを感じらしい。その感情は嬉しさ、悲しさ、懐かしさが混ざった複雑な気持ちだった。

「なにか御用ですか?」

「君に寿命を譲渡したい」

「…なぜ…ですか?」

「罪滅ぼし…だな」

老人はそう言った。


「私じゃなくてもいいんじゃないですか?」


「昔、遠い昔だ。私は罪を犯した。私だけが助かり、彼女は死んでしまった。彼女と君は…おっと。長話をしてしまったな…どうだい?受け取ってもらえんか。」


「そうですか。わかりました」

私は老人の話を聞いていたたまれない気持ちになった。、

「ありがとう。ところでお腹は減ってないか?」

「まぁ…」

「なら、食べにこう。私のおごりだ」

「いいんですか?ありがとうございます」


店に着いた。外からでもわかるほどいい匂いがする。

店は程よくすいており、窓際の席へと座った・

「じゃんじゃん頼みなさい」

「じゃあ、遠慮なく…」

老人は心なしか嬉しそうだ。

食べ終わり、契約時間と場所の話をした。これは驚くほどスムーズだった。


そいうものなのか、と思いつつ、

「ありがとう。懐かしい気持ちになれたよ。」

「それはよかったです。」

そして、老人と別れる。

一週間後、私のもとにある一人の若い男が現れた。どうやら、仲裁官のようだ。

背は高く、顔も…なかなかに良いと思った。


「後のことは分かるよね…?」


「はい、すいません…」

でも、一つうれしかったことがある。

そう、俺をほめてくれたことだ。

初めて、ほめられたと思う。

俺は口元が緩む。

「私の下着姿でも想像して、にやけてるの?変態…」


「こ、これは違うんだ!決して、そういう意味は含んでない!」



「じゃあ、なんでにやけてたの?」


「ひっ、秘密だ」


「フーーン」

ジト目でこっちを見てくる。

これは信じてないな…けど、これもこれで悪く、ないかもしれない。


「ぇ、気持ち悪…」

俺の顔を見て、そう小声で話す。

少し、傷ついた…


「おうちかえる…」


「あ、ま、待って」


「なに…」


「まっまだ、話したいことがあるの!メグルに話しておきたいの!お願い…話を…」


「どうしたんだい?ミーティアちゃぁん!」キリッ

しょうがない、女の子の頼みだ…

「キモッ」


「なんか言った?」


「ううん」


ミーティアは深呼吸し、表情を変える。

俺も空気を読んで気持ちを切り替える。

ミーティアは少し、悩んでこう話す。


「私、旅に出ようと思う」


「へっ?なんて?」


「だから、旅に出ようと思うの」


「そうなんだな、俺は応援してるよ!」


「実は老人…クライスの過去を見たとき…」

俺のことはお構いなしか、だが、クライスか。あの時見た未来を思い出す。

辺りは血だらけ、ミーティアによく似た…いやほとんどミーティアだろう…

その女性は血だらけで死ぬ間際だった。起きてほしくない未来だ。


「あの人の過去に…私の…お母さんによく似た人がいたの。その記憶でははっきりとは映ってなかったけど…写真でしかみたことはないけど…優しそうだった。」


「それは本当か?」

ミーティアはうなずく。


「もし、それが正しいなら…ミーティアのお母さんの可能性は十分あり得る。しかし、それで何も旅することなど…」


「記憶ではお母さんと考えてる人と旅をしていたの。私はそこで見た記憶を頼りにお母さんがたどった旅を私も…たどりたい。


「なるほど…で、なんだ、その期待する目は?」


「いや、その…私、あなたについてきてほしくて…ダメ…かな?」

こやつ、卑怯め…上目遣いに見てきた…


「理由を聞いても?」

ほんのわずかに期待をよせる


「料理がおいしいから!」

満面の純粋な笑みを浮かべる。

玉砕だ…


「俺も仕事があるしな…」


「旅でやれば、よくない?」


「そんなことできないって…」

一応、仲裁官は才能がいることなどからかなり収入はいい。

しかも、簡単に終わる。これ以上、ほかにいい仕事なんてなかなか見つからないだろう…

だがぁ!美少女と二人きりでデート!

落ち着け、俺。相手がいくら美少女だが、旅をするだけだ。そう…デートだな…


「わかったよ。上司に明日相談するよ…」

欲に負けた…けれど、なぜだか、楽しい旅になるという、そんな感じがした。


「ほ、本当!?」

ミーティアは目を輝かせている。

「あぁ!任せろ!」


翌日、俺は職場に行った。すぐに上司の部屋へと足を進める。


「お邪魔します」


「おっちょうどいいな。今からメグル、お前を呼ぶところだったんだ」


「偶然ですね」

ちょっとこい。そんな合図をする。上司、エナさんの後をついていく。

「お連れしました。バルト総裁。」

「うむ。ご苦労。君は下がりなさい。」

「承知しました。」


総裁…?あの、総裁だと。

これまた、すごい人だ。

てか、見た目がすごく怖い。ムキムキ、眼帯、強面…総裁より軍人って感じな人だ。

「あの…総裁がなにか…?」

「君が仲裁官のメグルだね?」

「はい」

「改めて、自己紹介をエイルド統括機構の総裁 バルト・エイルフェルだ」

「初めまして。」

「私を前に緊張もしていないのか、やるではないか。ぜひ、君と鍛錬を行いたいものだ。」

「恐縮です」

なぜだか、まったく緊張しない。てか、この人、本当に総裁なのだろうか。

偏見で勝手にスーツをびしっと着こなしていそうなイメージだった。


「我々、仲裁官はなんの職務があるかね?」

突然だな。

「それは…寿命を渡すのをスムーズに行うためです」

「そう。我々、仲裁官はクロノジェム、別名時の結晶を操る際に凡人ではできない操作をするために存在している。だが、それは表向きだ。わかるよな?」

心臓が跳ね上がる。いや、違うなんなんだろうこの感情は。


「これを」


隣に控えていた秘書から書類を渡される。

俺は絶句したその契約書に書かれている内容を見て


「…なんですか、これ…」

そこには’オペレーション《作戦名》 ルミナス・リクレイヴ《光を取り戻す》

概要 ミーティア・ルクス・セレスティア の監視または暗殺

と書かれていた。

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