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ヴァルキリーと魔王の異世界生活  作者: 熱き友情で頑張る一般人
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30.5章 ギルドマスターの過去と、失態

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【ワルキュー・アイナ視点】


私は、ただの少女だった。だが、家の家訓で冒険者になった。小人族だった私は周囲からからかわれた。背が小さいなど、子供は来るなとか………。ただ、当時のギルドマスターは私を孫のように接してくれた。家では余り家族と上手くいってなかった私にはそれが幸せだった。


そうして、私は毎日のようにクエストを受けていた。たまに、ギルドマスターから直接の依頼もあったがなんなくこなしているうちに当時冒険者の中で最強と言われるようになった。


◇◇◇◇


「まったく、アイナちゃんはいつ見ても可愛いの!」


「アイナちゃんはやめてくれ…。ワルキューと呼べと言っているだろうが」


「アイナちゃーん!!」


ギルドマスターに頬をすりすりされる。髭が擦れて痛い。今日はなんか大事なようがあるらしく、私を呼んだらしい。まあ、ギルドマスターのことだし大丈夫だと思うが…


「今日はな!!なんと、勇者様が来るらしくてな。お主を紹介しようと思ってな」


勇者。最近王国が勇者を召喚したとは聞いていた。だか余りいい噂を耳にしない。勇者は、気に入った女がいたらなりふり構わず奴隷にしたり、王様に何も言わずエルフや獣人の国を攻めたとか、前者の場合多分私は大丈夫だろう。こんな土臭い女なんて奴隷にしたくはないだろうし。


「もし、勇者様がアイナちゃんを奴隷にしようとしたら勇者殺すから!!お爺ちゃんに任せて安心するんじゃ!!」


ギルドマスターがそう明言した。


「ふっ…。困ったお爺ちゃんだな」


他愛のない話をしていると、扉が力強く開かれた。


「ふーん、ここが冒険者ギルドか…」


入ってきたのは黒髪の青年だった。その青年から異様な力を感じる。勇者の脇には女奴隷がたっている。どうやら、噂の勇者が来たようだ。


「お前がギルドマスターか…、ぷっ、老けすぎだろっ。大丈夫かぁ?」


いきなり、ギルドマスターの悪口をいい始めた。血は繋がってなくとも家族同然の人だ。


「おい、貴様────」


私は、勇者に文句を言おうとしたが、ギルドマスターに口を塞がれた。


「いや、すまんの。いい後継者がなかなか見つからなくてのぅ」


「そうかそうか…。じゃあ、俺を次のギルドマスターにしろ」


傲慢にもほどがあるだろう。さすがに私はこれは無視出来なかった。


「おい、────」


「いや、大丈夫じゃ。次のギルドマスターは、アイナちゃんって決めておるでの。」


今ギルドマスターは、なんて言ったのだ?私をギルドマスターにだと、


「おいっ!糞ジジイ。俺の…。この勇者様の言うことが聞けないのか!!」


「ギルドマスター!!私は、そんなの聞いてないぞっ!!」


私は、ギルドマスターが狂ったのではないかと思った。私のような小娘に任せるとは、勇者は、私がそのアイナだとわかるといやらしい笑みを浮かべた。


「お前、アイナって言うんだよな…。よし、お前を俺の奴隷にしてやる。だから、俺にギルドマスターの座を譲れ」


いくら、ギルドマスターの座が欲しいからといってもそんな暴利は認められない。だが、勇者はそんなことを平気ですることは噂で聞いている。ギルドマスターの顔が歪んだ。いつもの優しい顔ではなく、鬼のような顔になった。


「おい、若造。勇者かなんだが知らねぇが……アイナちゃんに手を出したら殺すからな」


「はっ!俺がお前を殺してやるよ。ついでに、アイナとギルドマスターの座を貰うわ」


「抜かせっ!!若造」


ギルドマスターと、勇者がそれぞれ武器を構える。両者とも鉄の剣を使用していた。武器の持ち方が素人そのものだった。勇者が武器を振るってきたがギルドマスターは軽々と避ける。普通の人からすれば早いのだろうが私とギルドマスターにとっては遅く見える。


(これは、決まったな)


「くっ、ここまでとはな…。いいだろう、俺の勇者の力を見せてやる。〝聖なる剣よ、ここに君臨せよっ!!〟」


そう言うと、勇者の近くの空気が歪んだ。そこから、ひとつの剣が出てきた。あれは、勇者伝記に描いてあった伝説の装備に似ている。


「ふんっ!!」


勇者が一度剣を振ると衝撃波が起きる。さすが、伝説の武器。当たったら、相当なダメージが入るだろう。当たったらな…


「なぜだ!?なぜ、当たらん」


「お主の腕前が悪いんじゃよ。ほれ、伝説の武器が泣いておるぞ」


「くそがぁぁぁぁ!!…、ちっ、もったいねぇが使うか。」


勇者の聖剣が、光だした。その先っぽをアイナに向けた。


「!?アイナあァァァァア─────」


ギルドマスターが、私に覆い被さる。


パンッ


乾いた音が周囲に響き渡る。


「ギルドマ、スター?」


問い掛けたがギルドマスターからは返事が返ってこなかった。


「よしっ!上手くいったぜ、しかも、クリティカルショット。」


私の頬に水滴が垂れてきた。それは、赤かった。………嘘だ!!

あの、ギルドマスターが死ぬなんて。そんな、はずはない


「おいっ、返事をしろっ!こんな奴に殺されるなよっ、私をを置いてくな………一人にしないでくれ」


揺すっても、声を掛けても微動だにしない。勇者の訳のわからない攻撃で死んだ。


「貴様ぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


私の心は勇者への怒りで支配された。勇者に突貫する。


「なんだぁ!?」


勇者は、私が突っ込んできたことに一瞬驚いたがすぐに聖剣を構えた。


「てゃあ!」


私は、速さだけならギルドマスターよりも、上だ。勇者のがむしゃらな攻撃を掻い潜って首もとに剣を定めた。私は、そこに刺す。


カキィンー


剣が折れた、私は一瞬驚愕し動きが鈍った。そこに、勇者の剣がくる。


「かはっ?!」


顔の右部分を切られた。右目が真っ赤で見えなくなった。これでは、勇者を視認しにくい。


「いってぇぇぇえ??!!!」


勇者も、ダメージを受けているらしく涙目になっていた。


「お前、今度会ったら絶対俺の奴隷にしてやる。みんなの前でむごたらしく犯してやる。泣いても許さないからなっ!!」


勇者は、帰り際にそう言い放ちながら出ていった。部屋には、血まみれの私と冷たくなったギルドマスターの体だけが残った。




◇◇◇◇◇◇



前ギルドマスター亡き後は私がギルドマスターになった。勇者が、魔族の国に独断で行っているお陰で、冒険者ギルドは平和だ。だが、勇者みたいに勝手ワガママな冒険者が増えて対処に困っていた。さっきも、一人しばいたばかりだ。



私は、ゴブリン退治にいった。残っていたクエストを消費するために……。

門から出ようとすると、王国騎士団長がいた。たまに衛兵みたいな事をしているのを何度も見掛けている。


「ん?アイナちゃんじゃないか!!どうしたんだ?」


「だから、ちゃん付けはやめろと言っているだろうが。……ゴブリンを狩りにな」


「それなら、さっき沢山のゴブリンを換金しにいくやついたぜ」


「そればかりか本当か!」


「ああ、今頃冒険者ギルドにいるんじゃねぇか?」


ゴブリン狩りなんて危険だし、やつら知性があるので誰も余りやりたがらないのに沢山狩ったその冒険者が気になった。


「教えてくれて感謝するっ!」


急いで、帰る。



◇◇◇◇◇



裏口から入って、ギルド内を覗き込むとさっきしばいた冒険者と


「(ギルドマスター!?どうして、確かに死んだはずなのに…)」


ギルドマスターがいた。姿を見れば見るほどそっくりだ。だが、ギルドマスターは死んだ。多分姿を変えているのだろう。では、誰なのだろうか?もしや、魔族の連中だろうか?勇者に国を滅ぼされたから復讐しにきたのか……


取り敢えず、二人に声を掛ける。しばいた男は驚愕し、逃げていった。


ギルドマスターの姿に変装しているやつの本当の姿を見たかった。本当の姿を見られたくないのか、抵抗が激しかった。途中で、可愛らしい幼女の姿に変わったがこれも違うだろうと、今度はやつの服の下に手を伸ばす。触れば解ることだ。



………だが、いくらまさぐってもなにもなかった。なんだか、指先がぬるぬるしてきた。幼女の顔が赤くなり涙を流し始めた。私は、一つの確信にいたった。


(本当の姿が幼女だったとは………。しかも、この手から伝わってくる暖かさ…。もしや、)


考えていく内に心が気まずくなる。私は、幼女にしてしまったことを謝罪しながら彼女の気がすむまで土下座をした。


誤字脱字があったら教えてください。

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