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僕はあくまで従者です。  作者: 瀬本秋
14/15

その12 迷宮のボス(?)

本当にお久しぶりです。


あと一話(エピローグ)で完結の予定。


 ダンジョンに出てくるモンスターは治癒魔法や光魔法を当てると先程までの苦労が嘘のようにサラサラと光になって消えていった。

 該当の魔法が使えれば雑魚のようなモンスターなのである。


 結果、ユアナ、ユウジ、ミラ、エルナはすることがなくなった。

 アサギが光魔法で洞窟を照らすついでにすべて浄化してしまったのだ。


 そして、その勢いのまま一行はダンジョンの攻略を始めた。

この世界の“ダンジョン攻略”は迷路のゴールを探し、ゴールの前にいるダンジョンボスを倒す。と言うのが主流だ。たまに、脇道にある宝箱などを漁る物もいるが、売れない物が多く、またモンスターを倒して売った方が良い収入になるためあまりやる者はいない。




  ✡✡✡




 「あっ!!」


 ダンジョンを散歩するように進み、ついに「ダンジョンボスの部屋こっち」と言う看板を見つけた一行。


「そこは普通部屋がすぐあるんじゃないか…?またはこの看板の先に落とし穴とか……」



恐る恐る五人が看板の通りにいくと。




「「「「「あ」」」」」




大きな大きな落とし穴にはまり、一気に地下に飛んだ。



 そこは周りと違い、小綺麗な部屋だった。

 他の場所と違い、綺麗な壁があって、中央の玉座には黒で統一されている高級感のある服を着た青年が一人、どっかりと腰を下ろしている。


「ようこそ。ボクのお城へ」


 一斉に臨戦態勢をとる5人。そして、戦いが始まった。


 青年がまず何匹かのゾンビや吸血鬼(ヴァンパイア)を3体ずつ召喚する。

 その後にアサギとユアナに黒い鎖のようなものが巻きつく。


「ち。向こうの3人は邪魔されたか…二人も効果が減少している」

「やられた…やるわね。」


 悔しそうにするミラが鎖になにかしたらしい。

 そしてなにかにとりつかれたようにゾンビにオーバーキルの攻撃をして、倒れないゾンビをさらに攻撃するユアナ。

 そこにいた吸血鬼を執拗に痛めつけるアサギ。

 アンデットを浄化するミラ、引きつった顔で召喚されたアンデット以外のモンスターを相手にするエルナ。

 ユウジは自分がどこに攻撃するか迷っていた。

 アサギやユアナは正直ハイレベルすぎて手が出せない。ヘタをすると彼らを傷つけてしまう。

 かといって他のものは二人がなんとかしてくれているため大丈夫そうだ。


(と、言うことは俺の相手は必然的に…)

 青年へ目を向けるユウジ。怪しく光る目と視線が交差する。


「さあ、ボクと楽しもう?」





  ✡✡✡





 戦いは一方的だった。


 開戦と共に「ほい」と言いながら青年が手を振るとユウジはその方向に吹き飛ばされ、壁にぶつかった。

 そこからは反撃の隙も与えずその繰り返し。

 始まって1分ほど経った頃には、ユウジはボロボロになって立つ気力もなく床に転がっていた。


「楽しむ隙もない…しょうがないね。サヨナラ」


(ああ…俺、死ぬのか)


 走馬灯の流れることもなく、また青年が手を振る。そしてユウジは壁に…ぶつからなかった。


「…?しっぽ…?」


 壁の代わりに映ったのは狐の尻尾。揺れるその九本の尾は初雪のように白く、輝きを放っていた。


「生命力を代償に無理矢理のドーピング…キミ、死ぬよ?」


 問いかける青年に答えたのは先ほどまでの少年姿とは違い、20歳ほどに成長し、直衣(のうし)のような服(※四話、アサギの挿絵)を着、白銀の髪を流した青年がだった。


 ユウジが気絶し、ユアナやミラ、エルナがモンスターの相手をそれぞれしている中、立会人も無しに勝負が始まった。


「構わないよ。僕は神の眷属だから…ここは神気が少ないけど、力を使い果たしたら眠るだけ。そして今更だけど、僕の名は浅葱。それじゃあ、死んで」


 悪役のような台詞を言いつつ、手に朱塗りの刀を持って居合の構えをとる。


「うーん、死ぬ気はないよ?ちなみにボクは魔王軍第五軍軍団長のショク。アサギ、キミが死ねば?」


 そう言うが早いか、手を振って浅葱もユウジと同じように飛ばそうとするショク。

 それに対して浅葱が電光石火の居合術で抜刀。


 ショクは手を振ったまま止まり、浅葱は元の構えに戻る。両者は最初の位置から動かなかった。



 そのまま数秒。


 ショクが手を戻すとその腕が斬れる。

 ツウ、と血の線が腕をくるりと囲い、音を立てて肘から先が落ちた。


「……………やるね」

「喋る暇はないよ。狐火」


 再生しようとしていたショクの腕が火に包まれ、再生する先から燃えていく。


「炎で再生を妨害!?」


 ショクが気づくともう片方の腕も切断されて炎に包まれていた。


「くそっ!くそっ!この野郎!ボクは魔王軍の軍団長なんだぞ!なんなんだよ、なんなんだよお前ぇ!」


 手を切られたことで魔法もつかえず、剣も使えずに叫ぶショク。それを嘲笑うかのように刀が閃き、足も封じられた。

 トン、と浅葱がショクの後ろに降り立ち、涼やかな声が耳元で囁かれる。


「ひ」

「僕かい?冥土の土産に教えてあげる。僕は僕を認めてくれた第二の人…勇司に従う者。僕はあくまで従者さ。じゃあ、今度こそ…さようなら」



 一閃。




(ん?何事もないじゃないか。口ほどにもない…手も足も封じられて止めを刺さないなんて甘い奴…まあいいや。魔王様に報告しな、い……、と………)




 チン。と刀を納め、浅葱はアサギに戻る。刀ももう手にない。

 ショクの首は皮一枚を残して切られていた。再生によって止まっていた炎が彼の体を蝕み、燃やしていく。

 

 ショクが事切れたことで周りのモンスターも消える。アサギとユウジの周りにユアナ、ミラ、エルナがあつまった。



 アサギは3人に小さな巾着袋と手紙を渡す。


 3人はアサギの隣に、浅葱に似た黒髪の青年が共に立っているように見えた。



 そして、その二人は――――――――

最後は結構真面目な感じで……



読んでいただき誠にありがとうございました。


よかったら評価やブックマーク(もう終わるけど……)していただけると幸いです。


感想や意見もお待ちしております。


エピローグ、お楽しみに!

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