↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「黒」が醜悪とされる世界で、怪物と恐れられた皇帝の孤独な夜を、押し強めな辺境伯令嬢が丸ごと愛して夜明けに変えるまで  作者: みこち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/100

第96話:永遠の誓いと、新しき時代

前半ロクサーナ視点、後半ノクス視点です。

 雲ひとつない晴天に恵まれた、婚姻の儀の当日。

 大聖堂へと続く純白の絨毯を踏みしめながら、私は隣を歩くノクス様に手を添える。


 小粒のダイヤモンドが散りばめられた純白のウェディングドレスは、太陽の光を受けて眩しく煌めいている。


 そして私の隣に立つノクス様も、私とお揃いのデザインである純白の礼装を完璧に着こなしていた。 

 黒髪と対比を描くような純白の装いは、ノクス様の圧倒的な気品と美しさをより一層引き立てている。


(美しすぎて、目が眩みそうだわ……)


 世界で一番格好良くて愛しい人が私の夫になるのだと、飛び上がりたいほどの嬉しさに心が満たされていく。


 静まり返る聖堂内ーー参列した貴族や各国からの使節たちが、息をのんで私たちを見つめている。

 この世界において『黒』とは不吉や醜さの象徴であり、人々はノクス様の黒髪や漆黒の瞳に怯え、嫌悪していた。


 しかし今、その場にいる者たちの眼差しは、以前とは確実に違っていた。


 先の魔物のスタンピードにおける迅速な対応、自ら剣をとって前線で戦った姿勢や、帝都の結界をたった一人で維持し続けた力。

 そして、隣国の聖女を命懸けで守り和平を保った私の強さと慈悲。


 私たちの功績と、色に惑わされず互いを想い合う真実の愛を知った人々に、忌み嫌われていた『黒』が徐々に受け入れられ、全員とはいかないものの、恐怖や偏見は以前よりも和らいでいるのを感じた。


 ふと参列者に目を向けると、貴族たちの装いにも変化があることに気づく。


 『黒』を挿し色として取り入れたり、私が好んで身につける『鮮やかな色』をリボンや宝石にあしらった装いが、平民も含めた密かなトレンドとして広がっていたのだ。


(不吉だと遠ざけられてきたノクス様の孤独や痛みが、少しずつ報われていくみたいだわ。本当に、よかった……!)


 私が繋いだ手にキュッと力を込めると、ノクス様は私にだけわかるように優しく目を細めた。


ーーー


 大司教の前へと歩みを進め、ロキシーと向き合う。

 ステンドグラスから差し込む太陽光を浴びる彼女は、まさに天が遣わしてくれた奇跡そのものだった。


(かつて暗闇の中にいた私を見つけ、その愛と温もりで救い出してくれた私の光。そなたが私の妻になるこの日を、どれだけ待ち侘びたことか……)


「ーー病める時も健やかなる時も、富める時も貧しき時も、互いを愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」


 大司教の重々しい問いかけに、私はロキシーの手を取った。

 そして大聖堂の静寂の中、ロキシーの目を見ながら堂々と宣言する。


「ああ。私の魂を捧げ、永遠に愛すると誓う。そなたは、私の生涯唯一の伴侶だ」


 一切の迷いもない言葉に、ロキシーが胸を打たれたように頬を染め、嬉しそうに私を見上げた。


「私も誓いますわ、ノクス様。生涯、あなたのお側で共に生きることを」


 その瞳には溢れんばかりの愛しさと、まっすぐな覚悟が宿っている。

 ロキシーの柔らかい頬をそっと包み込む指先が、かすかに震えているのが自分でも分かった。


 彼女の体温と存在の全てを確かめるように重ねた誓いの口づけには、どんな未来が訪れようと生涯守り抜き、共に歩むという私の想いを込めた。


 誓いの口づけを交わした瞬間、大聖堂を包んでいた静寂が弾けた。

 割れんばかりの祝福の拍手が巻き起こり、聖堂の外からは帝都の民たちが上げる喜びの歓声が響き渡る。


 世界で一番幸せな妃にすると決めたかつての誓いのように、彼女を一生、私の愛で満たし続けるのだーー。


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価(★★★★★)で応援してもらえると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。