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「黒」が醜悪とされる世界で、怪物と恐れられた皇帝の孤独な夜を、押し強めな辺境伯令嬢が丸ごと愛して夜明けに変えるまで  作者: みこち


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エピローグ:世界でいちばん、愛しい夜明け

前半ロクサーナ視点、後半ノクス視点です。

 賑やかな祝宴を終え、静まり返った皇帝の寝室。

 天蓋付きの大きなベッドの上で、私はノクス様と二人きりで向かい合っていた。


 ウェディングドレスを脱ぎ捨て、薄絹のナイトドレスを纏った私を、ノクス様は壊れ物を扱うかのように愛おしそうに抱き寄せる。


「……綺麗だ」

「……全部、ノクス様だけのものですわ」


 ノクス様の首元にそっと腕を回し甘く微笑むと、ノクス様は感無量といった風に深く息を吐き、私の額に優しく唇を寄せた。


「そなたと出会うまで、私の世界には深い闇と静寂しかなかった。『怪物』と怯えられ、ただ息をするだけの毎日だった。……あの日、夜会の庭園でそなたに出会った時から、きっとそなたに惹かれていた」

「ふふ、同じですわね。私もあの日出会った時から、その美しい漆黒も……ノクス様の孤独も、私は丸ごと全部、愛すると決めていましたもの」


 私が得意気に胸を張ると、ノクス様は愛おしそうに目を細め、「本当にそなたには敵わない」と囁いて、深々と熱い口づけを重ねてきた。


 解かれるドレスの帯。触れ合う肌の温もり。

 夜が深まるにつれ、ノクス様の眼差しにはただ私だけを求める一途で深い情熱が宿っていた。


「愛している、ロキシー。私の花嫁……」

「愛しています、ノクス様。私の旦那様……」


 幾重にも重ねられる愛の言葉と甘い熱に身を委ねながら、私たちは二人だけの特別な夜を慈しむように溶け合っていった。


ーーー


 挙式からしばらくが経ち、帝国には穏やかな時間が流れていた。


 未来の皇妃の命を自身の魔導具で救ったエレオノーラは、勇気ある行動と魔導知識の功績を正当に評価され、現在は帝国の魔導研究所にて、念願だった研究者としての第一歩を踏み出している。


 彼女の手によって生み出される革新的な魔導具は、新時代の象徴として早くも注目を集めていた。


 そして帝都の街並みには、これまで遠ざけられていた黒や、鮮やかな色彩をあしらった装いが増え、少しずつ色に対する常識は変わってきているようだった。


 朝の光がカーテンの隙間から差し込み、寝台を優しく照らす。

 私の腕の中には、愛する妻ーーロキシーが静かな寝息を立てている。


 差し込む光に目を覚ました彼女が、愛らしい瞬きをしながら私を見上げ、満開の花のように微笑む。


「おはようございます、ノクス様」

「ああ、おはよう。私の愛しいロキシー」


 そっと髪を撫で上げ、唇に小さな口づけを落とす。

 かつて怪物と嫌われ、暗闇の中で孤独に凍えていた私の夜は、もうどこにも存在しない。

 世界でいちばん強くて優しい彼女が、私の世界を丸ごと愛し、光で満たしてくれたのだから。


 澄み渡る朝日の中、私は愛する妻を強く抱きしめながら、眩しい未来への第一歩を踏み出すのだった。



(完)

これにて本編完結となります!

初投稿で苦戦したところも沢山ありましたが、なんとか完結できて良かったです。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました!!

今後は、不定期で番外編などを追加予定ですので、良かったらまた覗いていただけると嬉しいです。


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価(★★★★★)よろしくお願いします!

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