部活
屋上に続く階段で、上の段と下の段でそれぞれ本を読む、恵理と柴山がいた。
「佐藤って部活入ってたか?」
「うん、ポジティ部」
「………」
何でもないように応える恵理に、柴山が呆れた目を向ける。
「何よ」
「真面目に答えろよ」
「何で答える必要があるのよ。急にどうしたの」
「いや、何となく思っただけだけどさ」
恵理に視線を向けられると、柴山は視線をそらした。
「じゃあ、いいじゃん」
「で、実際どうなんだよ」
「帰宅部。部活入ってないよ」
「何で」
「あんたはどうなのよ。何か部活入ってるの? っつーか、入ってないでしょ」
「まぁ、そうだけど」
「たぶん、私と同じ理由でしょ。あんたも」
「何だよ」
柴山は何となく癇に障ったのは、不機嫌に聞き返した。
「なんとなく浮いちゃうのよ。だから、だんだんその場にいるのが辛くなって、行きたくなくなるの。別にみんなといることが辛いわけでもないし、部活の活動が嫌なわけでもないのに」
「…………でも、スポーツ系は正直、めんどくせぇと思ってるってのもあるけどな」
「まぁね」
「それにしても、ポジティ部って何だよ、お前。まぁ、お前らしいが」
「ポジティ部とネガティ部ってのがあって、まぁ、内容はそのまんまだよ。前向きに生きる人の集まる部活と、悲観的に生きる人の部活。ネガティ部は基本内向的。外からの人をあまり受け付けない。兼部はダメ。特にポジティ部との。でも、ポジティ部はネガティ部と兼部OKなの。というか、他のもね。どんどんやっちゃってー、って感じ」
「そのやたらに細かい設定は、どこから来たんだ?」
「可奈子と話して」
恵理の答えに、柴山は呆れを含んだ苦笑いを浮かべた。
「お前ら、暇だよなー」
「想像力豊かなの」
恵理は低い声で訂正した。




