失った青春は取り戻せない
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俺は紗良に殴られたあと自室に戻っていた。
まず、状況を整理しよう。文化祭準備から帰ってきて意識を失い、ヒキニートになっていた。以上。もう、どうしたらいいか分かりません。これ詰んでね。だが、しかし運がいいことに、今日は文化祭だ。そのおかげで、ヒキニートの俺でも高校に入れる。そう、ヒキニートの…連絡先と写真が消えていたことから調べたいことも沢山あるしな。このチャンスを逃せない。
私服に着替えるべく、クローゼットに向かった。
「はぁ…それにしても病気かぁ四年前の俺に何があったんだ。紗良も大変そうだったな」
俺はクローゼットを開き、私服を探す。しかしそこにあったのは私服とは呼べるものではなかった。
「おい…病気ってまさか、病は病でも、中二病じゃねェかァァァ!?」
クローゼットを見ると、掛かっていたのは、黒の厨二っぽいロングコートと黒のロングTシャツと黒のジーンズ、さらに、致命的な証拠に眼帯と包帯、指ぬきレザーグローブにガスマスク、その他、厨二アイテムがご丁寧に飾ってあった。
「中二病こじらせて不登校って何があったんだよ。もしかしなくても、この世界の俺バカなのか?ってか着てく服がねーよ。私服痛すぎんだろぉ!?」
俺はマシそうな黒のロングTシャツを手に取る。
「これ普通のロンTだ」
しかし、裏返すと服の中央に白のプリントで文字が入っていた。
「 “中二病です “って自覚してるぅ!?中二病が中二病を認めてんじゃねーよ!?」
怒りに任せて中二病です 稀に右眼が疼きますTシャツを叩きつけた。
「なんだよこれ!?疼くならしっかり疼けよ!なんで稀になんだよ。多分それガチなやつだ。眼科行ってこい!」
混乱しているのか、Tシャツに怒号を浴びせた。
流石に中二病です 右眼が疼きますTシャツは高校に来てけないな。でも、これしかないしな。
「いや、ロングコートで隠すか」
俺は、今着ている寝巻きで行くと言う手段を選ばず、恥を恥で隠す荒業を選んだ。
何故なら、俺の中の何かが疼いてしまったからだ。
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この厨二衣装で外に出るのは堪えたが、何とか高校までたどり着くことが出来た。
俺の考えでは、厨二衣装も校舎に入れば文化祭のコスプレ扱いで目立たなくなるじゃないかと考えていたが、どうやらその通りのようだ。思ったより、浴衣姿やメイド服姿など、色々なコスプレしている奴が多かったので人混みに紛れて自分のクラスの前までたどり着いた。
「お化け屋敷だったのかうちのクラス」
俺がボソっと独り言を言うと、同じクラスの女子に話しかけられた。正確には元だが、
「どうですかオススメですよ!」
「あっ、じゃあ行きます。あの…俺の事誰だか分かります?」
「すみません。何処かで会いましたか?」
「いや、なんでもないです。忘れてください…」
やっぱり覚えていないな。ヒキニート確定なのか?
「では!一名様ご案内です!」
受付の子に懐中電灯のようなものを渡され、直後、お化け屋敷に放り込まれる。
「 思ったより明るい」
薄暗くて雰囲気はあるが人の顔が分かるくらいだった。
俺は作り物に驚く程やわでは無い。作成者には申し訳ないが、仁や葉月達を探すのが目的だからな。
トラップらしきものを無視して進んでいると後ろから声をかけられた。血のりの着いたメイドさんに
「ねぇ、私はだぁれぇー」
ゾンビメイド?が呻き声を挙げながら近づいてくる。
しかし、俺は真摯に彼女の肩を掴み、
「お前は誰だァ?」
「いやこれ演出ですって」
「お前は誰だァァァ!?」
「いやぁぁぁぁぁ!?」
ゾンビメイドは悲鳴をあげて立ち去ってしまった。
あいつ、クラスメイトじゃないな。俺の代わりにこの高校にでも入ってきたのか?
しかし、その後も何人か脅かしてくる奴がいたがほとんどクラスメイトでは無い知らない奴だった。
何が起こってるんだ。俺がヒキニートになるだけでそんなに世界が変わるのか?
ゴールまで来たが、結局あいつらは見つからなかった。 仕方ないので、しばらくあいつらを探しに、周りの目を気にしながら校内を巡回していると校内放送が流れた。
「午前十一時半よりチアリーダー部による発表会が行われます。ぜひ体育館まで足をお運びください。」
チア部か、もしかしたらあいつらも見に行ってるかもな。
俺は半分興味本位で体育館に向かった。
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体育館には着いたが、人が多すぎて進めなかった。
こりゃ見つけても身動き取れないな。
俺は一度列を抜け、終わったとこを狙う作成に変更した。すると…
「何でですか!?私は今日のために頑張ってきたんです。」
体育館裏からふと、声が聞こえてきた。
なんだ口論か?
体育館裏に行くとそこには恐らくチア部の先輩であろう人物二人と遍知院学園の制服の少女が揉めていた。
「いやだってあなた別の高校の人でしょ」
「忘ちゃったんですか?私です。円谷愛紗です!」
ん?円谷?何であいつ遍知院学園の制服着てんだ。まぁ俺も人の事言えんが。
「いやだから誰よ、ごめんウチらもうすぐ本番だから」
「ちょ、待ってください」
円谷が先輩の腕を掴む
「離してくれる」
やばいな先輩キレてるよな、止めるか?
「私、楽しかったんです。先輩やみんなとチアやるの」
「意味わかんない」
先輩は円谷の手を振り払い体育館の中へ消えてしまった。一方、円谷は自分の袖で涙を拭っていた。
やばい、すんごい話し掛けずらい。だが、俺は確信していた。こいつは、円谷愛紗は、俺と同じ状況にいる。
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