文化祭にいい思い出はない
良かったら最後まで見て行ってください!
〜二日前〜
文化祭前日、帰りのホームルームが終わると俺はある選択を強いられていた。
「正直このままだと明日の文化祭までに間に合いません!」
文化祭実行委員の少女が現実を突きつける。
「放課後に残ってくれるひとー!?」
彼女の言葉に教室がざわめく。
「いいんじゃないかー、やらなきゃ始まらないだろ!」
クラスカースト第一位、石井 隆也が意気揚々と返す。
彼はクラスの中心人物でありサッカー部そしてイケメンと、完璧。誰も奴を止めるとこはできない。それどころか、このクラスには石井絶対主義が完成していしまっている。
「お前らもどーせ暇なんだろー?」
そう言って、男子生徒を何人か無理やり引き込んだ。「おいおい」とか「それはねーぜー」とか言っているわりには、なんかお前ら嬉しそうだな。どーせ狙いは女子だろーが、問題は女子が来るのか来ないのかだが。
「うちも残るよっ!」
一人の女子生徒が怒涛の残業宣言を示した。その勢いに乗ったのか、
「じゃぁ、私も!」
そう手を挙げた彼女を、俺はつい一瞥してしまう。
西嶋 結萌。
カワイイ系女子。黒髪でサイドーテールが良く似合う。すんっと澄んだ瞳が綺麗だ。性格もいいし、まつ毛長いし、肌白いし、スタイルは、ボッ、キュ、ボッって感じでボンまではいか無いがまたそこがいい!落ち着け、語彙力が…つまり彼女のためなら命を賭けられると言ってもいい。しかも、一部の男子からはその肌の白さと完璧な性格から天使と呼ばれている。もう、とにかく可愛いい。
その後も、西嶋を筆頭に次々と女子の参加が決まっていった。
うわー結構女子くるんだな。
「ごめん、私!部活行くな!」
そんな中、一人の少女が金髪のツインテールを靡かせ、慌てて教室を飛び出した。ドアからではなく窓から。
円谷 愛紗か、確かチアリーダー部だったな。少し小柄だが出るところはしっかり出ている。そんで、なんで窓からでんだよ。ドア使えよ。どんだけ抜けてるんだよ。
さて?そろそろ決めないとな。残業するか?しないか?究極の選択をぉぉ!?
俺は、考える余地も無く、教室の出口へ踵を返した。
「生駒くんも残れる?」
俺が気前よく帰ろうとしたところを西嶋に止められる。
ちょっと!?いつもはあまり話しかけてこないじゃん。ゔう…これが噂のからかい上手系女子ですか?可愛いからってお、俺は騙されない!?
「もちろん」
気づいた時には、俺は気前よく返事をしていた。
―――――――――――――――――――――――――
文化祭準備も佳境に入り、時刻は午後十七時を過ぎていた。結局残ったのはたった十一人だけだった。俺は西嶋に言われた通りの作業を終わらせ、休息をとっていた。
「ごめんね!生駒くんダンボール切っといてー」
実行委員の少女から文字が書かれたダンボールを二枚渡された。
「よぉ、生駒ぁこれも頼む」
すると、伊地知 槙人が彼女の約四倍のダンボールを積み上げた。こいつは、石井グループの一人だ。他に伏見 賢人、本多 来亜そしてリーダーの石井この四人で行動していることが多い。正直、こいつらとは気が合わないし、普通にウザイ。俺に仕事全部押し付けて遊んでいるとことかなぁ。
「なァ、生駒ァ、喉乾いちまった、飲みモン買って来いよ?」
本田が言うと待っていたかのように伊地知と伏見が俺の分も、とせがんできた。一方リーダーの石井は、と言うと黒板で作業していた女子グループに話し掛けていた。
「ねぇ、この後、暇?今日みんなでご飯食べに行かない?」
俺はため息をつき、荷物から財布などの貴重品を取り出し、教室を出ようとすると、後ろから「レモンティーな」やら「炭酸で」というヤジが飛んできていたが俺は、迷わず教室を出た。荷物は貴重品は持ったので置いていっても問題は無いだろう。
「バックれるか」
俺は迷わず帰宅を選んだ。荷物を置いてけばそうは気づかないだろう。
教室を後にした俺はその後、真っ直ぐ下駄箱に向かった。
「おっす!あれ、壮一郎帰るのか?」
「ねー帰るなら私もー」
彼の荷物を見るに、二人で買い出しにでも行っていたのだろう。荷物を持たされている方が、榊原 仁。運動神経抜群、将来、自衛隊を目指しているため体型は筋肉質で、運動面ではあの石井を軽く凌駕する。そのため石井絶対主義の射程外に属している希望の光だ。そしてもう一人、仁に荷物を持たせ、わーわー騒いでいるのが、蓮水 はづき、青のメシッシュがかったポニーテールが魅力的だが、スタイルは普通で、特にずば抜けたところもない。強いてゆうならアホだ。天然なのか、残念なところが多い。こいつらは俺の数少ない友人だ。
「すまん」
「えっ、なにかあったのか?」
「五人分の仕事を残してきた」
「おい」
仁が凄まじい勢いでツッコミを入れる。
やばい、このままじゃ帰えしてくれなそうだな。いや、仁なら見逃してくれるか?
「じゃ、そうゆうことでー」
俺は何事も無かったかのように下駄箱から靴を取りだした。すると、はづきに肩を掴まれる。
「ねぇ、ちょっと待ちなさいよ…私達今から教室に戻らないといけないの」
「そうだな」
「その仕事って誰かに頼んできたのよね?」
「大丈夫だ。元々あれは石井達の仕事だ。」
徐々にはづきの力が強くなる。
「あいつらがやると思うの?」
「それは無いな」
そう言い、俺は、はづきの馬鹿力から何とか逃れて昇降口を出た。
「ちょ…そういちろっ、その仕事絶対私達に回ってくるんですけど!やめてよっ、私だって帰りたいのにー」
「すまんっ、どっかで埋め合わせする!」
俺は、仁と葉月を、無理やり振り切り正門を突破し、家に向かった。
―――――――――――――――――――――――――
家に帰ると妹の紗良がソファーに仰向けでスマホを弄っていた。
「ただいま」
「あっ、やっと帰ってきた!」
瞬時にソファーから立ち上がり、作り置いておいた夕食を温め始めた。
「すまんっ、文化祭準備で遅れちまった」
「いいよっ!」
うちの妹は優しい。両親は稀にに仕事が長引いて帰るのが遅くなる。そんな時はいつも決まって妹が飯を作ってくれる。
「おっおう。ありがとな」
「その代わりー明日、兄貴の文化祭行ってもいい?」
そういや俺のクラス何やるんだっけ?あの段階で分からなって全然終わってないんじゃ…仕方ない妹のためだ、朝早く行って働くか。
「もちろん。兄貴はいつでもヴェルカムだ」
「何言ってるかわかんないけどありがとっ!」
その時、俺の視界が歪み膝を着く。
「なんだ?」
「兄貴!?」
キッチンに居た紗良が駆け寄ってきた。
視界が歪んでる、平衡感覚が保てな、い…やばい。
「あれなんか私も…」
バタンっ
紗良が俺の目の前で気を失ったかのように崩れ落ちる。
「さぁ…らぁ」
声がぁ…でなぃ…視界がぁ…ぇ…
俺は、シャットダウンでもされたかのように意識を失った。
最後まで見て頂きありがとうございます!
誤字、ご指摘がございましたらご報告して頂けると助かります!




