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王妃専属ガーデナー  作者: 瑛美(あきみ)


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46/53

閑話~臨時休業の『デイジー』にて

『本日、商品入れ替えの為、臨時休業致します。

                  デイジー』

 ドアに休業の案内の張り紙を貼り、店内に戻ろうとしたところ、声をかけられた。


「おはようございます。あら?今日はお店をお休みにするんですか?」

「メアリさん!いらっしゃいませ。メアリさんこそ、お忙しいんじゃないですか?」

 わたしに声をかけてきたのは、王宮で侍女をしているメアリさんだった。

「いいえ。王宮は普段どおりですよ。今日は、街の様子を見にと、忙しいようでしたらデイジー(こちら)を手伝うように言われてきました。何か、お手伝いすることは?」

 メアリさんが救世主に見えた。

「ありがとうございます。父は地区の商店主の会合で、母は婦人会、祖母は公爵家に行ってしまったので、正直、助かります。そろそろ、もう一人来るとは思うんですが・・・」

  

「クララ!今日の『王国新聞 特別号』見せて!」

 やって来たのはテレサ。思ったとおり。

「どこも人が多くて見ることが出来ないの!」

 王国新聞は、王宮が週に一回発行している新聞で、王国内の色々な情報が掲載されている。

 民間で購読しているのは経営者や学者など少数のため、多くの人は役所や図書館などの公共施設に掲示されている物で情報を得ている。

「見せてあげてもいいけど、その後、お店を手伝ってよ」

「手伝う!手伝うから、お願い!早く見せて!」

「しょうがないなぁ」


 新聞の見出しには、『エドワード王太子殿下 祝!御婚約記念号』と、書かれている。


 昨日、エドワード様が御婚約されたと、国民に発表された。

 今回の新聞は特別号で、通常の発効日ではない今日、内容もエドワード様の御婚約のことを中心に書かれている。


「残念、お相手の方の絵姿は載っていないのね」

 新聞にはエドワード様の絵姿だけ載っている。

「3月の『春の祭典』までの我慢よ。その時のパレードにご一緒されるらしいわよ」

「ええ~!あと、一ヶ月以上も我慢しなければいけないの?ううっ、残念。ええ~っと、相手の方のお名前は、ローズマリー・フローレンス・ヴェニディウム嬢。伯爵家のご令嬢ですって。へぇ、ローズマリーって名前、結構いるのね」


 その方、あなたの知っているローズマリーさんですよ。


「王立大学を去年ご卒業って、すごい才女なのね!そして、大学の特別講師。ええ~、じゃあ、王立大学の学生達って、ローズマリー様のことご存知なんだ。羨ましい」


 いやいや、あなたのほうがもっと“ご存知”だって。


「講師のほかには、王宮の薬草園の管理助手や、王妃様のプライベート庭園を改修する際その設計をされているんだ。それで、エドワード様との馴れ初めは・・・」

 テレサが真剣に読み出した。多分、小説のネタにしようとしているのだろう。


「ところで、あの新聞記事、本当のことなんですか?」

 テレサに聞かれないようにメアリさんに小声で尋ねた。

「大筋では合っています。少々脚色されてはいますが、ほんのわずかな違いですし、王妃様監修なので・・・」


 エドワード様とローズマリー様の出会いは幼少期。

 王妃様とローズマリー様のお母様が親友だったこともあって、エドワード様と同じ年のローズマリー様のお兄様が初等科に入学されるまでは、ご一緒に遊ばれていたそうだ。

 再会は、ローズマリー様が大学を卒業して、最初に参加された夜会。【その前にお会いしています。メアリさん情報】

 その後、薬草園や庭園のお仕事でローズマリー様が王宮にいらっしゃる度に、忙しい王妃様に代わりエドワード様が応対されていた。【王宮の一角に住んでいますし、ほぼ、毎日エドワード様がお会いにいらっしゃってました】

 ご自分のお仕事に誇りを持ち、真剣に取り組んでいらっしゃるローズマリー様にエドワード様は次第に惹かれて行った。【次第ではなく、再会した当初からだと思います】

 エドワード様がローズマリー様にプロポーズされたのは年が明けてからしばらくたってからのこと。

 完成した王妃様の庭園の屋内庭園で、ローズマリー様のお好きな物語のプロポーズを再現されたそうだ。【クララさんには以前お話しましたよね。エドワード様が勢いでプロポーズしたこと。新聞に書かれているのは、エドワード様が当初予定していた“正式”なプロポーズで、アンナ様から受け取った品が関係しています】


 プロポーズの部分は、確かに「あれ?」って思ったけど、真実を書くわけにはいかないよね~。サイラス様のことなんて一言も書かれていないし。


 だけど、テレサはかなり感動したようで、

「すてき、ステキ、素敵!!!わたしも人が真似したくなるようなプロポーズの話を書きたい!」

興奮している。


「こんにちは・・・。あら?テレサ、あなたも来ていたの?」

「あ、ロゼッタさん。いらっしゃい」

「ああ、クララちゃん。お願いされた物、持ってきたわよ」

 ロゼッタさんにお願いしていたのは、ロゼッタさんのところで出版している本だ。

 それから、エドワード様がプロポーズに利用した物語も、今ではロゼッタさんのところで出版しているとのことだったので、それを多めにお願いした。

 新聞に屋内庭園って書いてあったからね。ローズマリー様から庭園の話は聞いていたし。


「ねえ、クララちゃん。まさかとは思うけど・・・」

 ロゼッタさんがヴェニディウム伯爵領産の品を並べているメアリさんに気付いて尋ねてきた。もちろん、テレサには聞こえない様に。


「ふふ。『春の祭典』までは秘密ですからね」

 

更新が遅くなってしまいました。

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