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王妃専属ガーデナー  作者: 瑛美(あきみ)


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24/53

ある侯爵令嬢の企み

本日は短めです。

今までの話の中に出てきた、依頼主の話です。

「いらっしゃいませ」

 目深にかぶったフードから見えるのは、真っ赤な唇だけ・・・。その、口角がわずかに上がる・・・。

 この女性魔術師は、何を考えているか分からなくて不気味だ・・・。

「どうでしたか?昨夜の夜会は?術は成功したはずですが・・・」

「・・・ええ、確かに成功していたわ。あの女、捻挫したらしいわ・・・」

 

 先日、この魔術師にあの女に怪我をさせるように依頼した。

 あの女が捻挫をしたことを知った時は嬉しかったのだけど・・・。


「術に関して、ご不満でも?」

「もっと強力な術は無いの?あの女が二度と夜会など、公の場に参加できなくなるような・・・?」

「有りますが、準備に時間が掛かります。そうですね・・・、最低でも半年は頂かないと・・・。それに、準備の間は、私も他の仕事が出来なくなりますので、お金もその分頂くことになりますが・・・」

 お金なら、お父様にお願いすればいいけれど・・・、半年はさすがに待てない。

「もっと、すぐに出来る方法は無いの?!」

 つい、怒鳴ってしまった。それだけ私はイライラしていた。

 早くしないと、エドワード様をあの女に取られてしまう。


「・・・人前に出られなくなれば宜しいのですね?それならば、出来るかもしれません・・・」

 しばらく考えて、魔術師が答えた。

「早く、教えなさい!!」

「顔に大きな痣を作るのはどうでしょうか・・・?」

「あら、それは名案ね。人前に出たくなくなるわね。でも、ちょっと生ぬるいわ。老婆のように皺だらけに出来るかしら?」

 痣なんて、化粧で誤魔化すことが出来るじゃない。

「可能ですが、私では実行できません。相手の顔を知りませんので・・・」

 魔術師の唇に、不気味な笑みが浮かぶ。


「貴女なら、実行できますよ・・・」


 真っ赤な唇が、より一層不気味になった。

「私に魔力は無いわ。それでも出来るの?」

「ええ。道具を使えば可能です・・・」

 魔術師は、水色の宝石のような物をだした。

「これは・・・?」

「魔力不足を補うために、予め、魔力を注入してある魔石です。このままでは、私しか使えませんが、貴女の血を数滴、この石に垂らす事で貴女が使用する事が出来るようになります」

「コレを使えば、どんな魔法も使えるの?」

 それならば、別にあの女に使う必要は無い。

「いいえ。人の心を操るような魔法は、逆に相手を死に至らしめます!」

 私の考えを見透かしたかのように、魔術師が強い口調で言った。

「どうされますか?貴女次第ですよ?」

 コレで、あの女がエドワード様の前からいなくなる・・・。


「ええ、お願いするわ・・・」


 魔術師が魔石の使い方を説明した。

「まず、必ず一人で行って下さい。途中、邪魔が入らないよう、人払いも忘れずに。魔石は繊細な物なので、他に人がいると、そちら影響を受けて失敗する確率が高くなります」

 私は頷く。

「石に血を数滴、垂らして下さい。石が青くなります。左手に握り締め、相手の顔を思い浮かべて下さい。そして、どの様な術をかけたいか強く願ってください。石が強く光れば、術が実行された証拠です」

 魔術師が説明したことを、頭の中で再現する。


「注意して頂きたいのは、この手の魔法は一部、自分に撥ね返ってくることです」

「どうして?」

「他人の不幸を望む術は、自分を犠牲にしないと効果が無いのです。私だって、この様に・・・」

 袖をまくり、包帯の巻かれた手首を見せてきた。

「先日の、貴女の依頼を実行した結果です。軽い捻挫で大したことありませんでしたが・・・。ですから、願いはほどほどに。もし、失敗すれば、すべて貴女に撥ね返ってきますから・・・」

 一応「分かったわ」と、返事をしておいた。

 



「お父様とお母様は?」

 屋敷に帰り着き、玄関に出迎えに来た執事に尋ねる。

「旦那様は、王宮へ行かれました。奥方様は、劇場です」

「そう。少し疲れたので、休みます。私が呼ぶまでは、誰も部屋に近づかないように」

「かしこまりました」

 

 自室に戻り、水色の石をテーブルの上に載せた。

 お父様もお母様も留守だし、誰も私の部屋に近付かないようにできた。

 魔術師に言われたとおり、石に私の血を垂らす。

 水色だった石が青に変化した。

 ふふふっ。どんな顔にしてあげようかしら?エドワード様に嫌われるといいんだわ。

 私の掌の中で、石が強く光った・・・。




****************



「実行されたか・・・」

「早かったですね」

 たった今、結界に反応があった。解析結果は予想どおり。

 今頃、撥ね返った術に呆然としていることだろう。

「一応、注意はしたんですよ。理解していなかったみたいですけど」

 魔術師役をやっていた、セイラが言った。

「親子揃って馬鹿という事か・・・。エドワード殿下たちの所へ行ってくる。後は宜しく頼む」

「了解しました。シオン長官。兵を派遣します」

 俺は頷き、部屋を出た。

 



 

今日も投稿できました。

アクセス数が、半日でいつもの倍以上の数になっていることに驚いています。

ありがとうございます。

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