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金洛堂の戦い② 呪われし「魔召の壺」の威力

 豊原の願いが通じたのかどうかは分からないが、2つの大きな煙のなかから巨大な2つの影が現れた。煙が消えるにつれて、その影が実体を顕わにしてきた。それは、大きな「鬼」のものだった。

 一体は血の色をした赤い鬼で、もう一体は青黒い色をしていた。赤い鬼は三日月型に湾曲した偃月刀を持っており、青い鬼は大きな金棒を持っていた。

「よし!いいぞ!少し見栄えは悪いが強そうだ。こいつらを叩きのめしてしまえ!」

 豊原が大声で命じた。その声が届いたのかどうかは分からないが、2体の鬼は俺たちにゆっくりと向かってきた。それを見て、いずみはまっしぐらに赤い鬼へと向かって行った。

「いずみちゃんが、赤い方の鬼か。そしたら、柊太君は青い方の鬼を任せるよ。ここにいる髑髏兵は少ししんどいが私がなんとかしよう。

 兵力を分散させるのはあまりよくはないが、これ以上召喚されたらそうも言っていられないからな。できるだけ、手早く行こう。勿論、危なくなったら合流するんだよ。」

 寂明さんが髑髏兵と切り合いながら言った。その声は俺には届いたが、いずみには聞こえたかどうか・・・。

 いつからあんなに好戦的になったのか、いずみはすでに赤い鬼と刀を交えていた。それを見た俺も、青い鬼に向かっていった。

 俺は、青い鬼に刀を振り下ろした。当然、相手も簡単に切られるはずもなく、持っていた金棒で簡単に受け止めた。そのまま刀を横に流されそうになり、身体ごと持っていかれそうだったので、俺は力を入れて刀を引いた。また、俺と青い鬼が向かい合う形となった。

 今度は青い鬼が右手に金棒を持って俺を目がけて振り下ろしてきた。その動作が大きかったので俺は刀ではなく、素早く身体をずらして躱した。斬撃を躱された青い鬼は素早く金棒を戻して二撃目、三撃目と金棒を振り回す感じで俺に攻撃をしてきた。当たれば威力は相当だが、それほどスピードはないので俺は間合いに注意しながら刀で受け流していた。俺も、攻撃をしていかなくてはと思うが、いかんせん刀剣術の心得がないので縦か横に切りつけるぐらいしかできなかった。

 俺の単調な攻撃は、青い鬼にいとも簡単に受け止められた。この戦いは長引いてしまうなと俺は思った。早く決着をつけなければいけないが、ここは仕方がないので間合いを取って致命傷を食らわないように耐えていこうと思った。

 チラッと寂明さんの方を見ると、同じ判断をしたのか、周りを囲まれない立ち位置に立って、間合いをしっかり取り、一体ずつ相手にしている感じだった。

 いずみはというと、やみくもに赤鬼に突っ込んで行っている感じだった。ただ、いずみの攻撃も単調で、基本的に縦に振り下ろすか、横に薙ぎ払うかのどちらかになってしまうので赤鬼に受け止められていた。ただ、いずみは相手に反撃の隙を与えず間断なく攻撃している感じだった。赤鬼は攻撃できずにイライラしている感じで、たまに呻き声を上げていた。

 あのままではいずみのスタミナが持たないだろうと俺は思った。何とかしなくてはと思っても、青い鬼の相手をしている俺はこの場を離れることができない。実際にはそんなに長くは経っていないはずだが、そこにいる関係者にとっては永劫と思われるような膠着した時間が過ぎていった。

 しかし、ここにきて変化が見えてきた。いずみが、劣勢になってきたのだ。先程まで勢いに任せて攻め込んでいたいずみだったが、疲れが出てきたのか手数が減ってきた。それを見た赤鬼が攻勢に転じてきた。偃月刀を右に左に振り回していずみに襲い掛かってきた。これをいずみは何とか捌いていた。いずみの力というよりも、「惑刀 蒼炎」に宿った力なんだろうと思った。

 いずみも、ここままではやられると思ったのか、残りの力を振り絞るかのように攻勢に転じた。そのとき、いずみが足を滑らせた。前に踏み込んだ右足が滑ってしまい、そのまま右肩から倒れ込んだ。


「よし、赤鬼!その小娘を屠ってしまえ!」

豊原が大声で叫んだ。

 その声が届いているのかどうかは分からないが、赤鬼が偃月刀を両手に持って倒れたいずみに斬撃を放ってきた。


「きゃあー!助けて!」

刀を構えるのが間に合わなかったいずみが大声で叫んだ。


「いずみ!」

「いずみちゃん!」


 俺も目の前の青い鬼と切り結んでいるので助けに入れなかった。髑髏兵の相手をしている寂明さんもいずみには届きそうにもなかった。

 偃月刀の切っ先がいずみに届こうかという瞬間に白銀に輝く一陣の風が飛び込んできた。


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