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潜入!悪の巣「金洛堂」へ

「では、ここは一旦手打ちにしてお互いの武運を祈ることにしようか。」

 ここにいる総員は手早く三手に分かれて行動を開始した。

 俺といずみは寂明さんの車で金洛堂本社に急行することになっている。黒焔院たち4人はすでに場を撤収している。なんという、素早い行動なんだろう。後、残されたのは俺たち三人とヒロさんと山吹さんの5人だ。

「ヒロさん、由美さんのことよろしくお願いね。」

いずみが祈るようにヒロさんに言った。

「いずみちゃん、それは任せて。私と、この山吹さんで必ず助け出すから、安心して金洛堂に向かってね。くれぐれも、無理しないでおくれよ。」

ヒロさんが心配そうに言った。

「そうだよ。無理は禁物だよ。あの女の子は必ず助け出して、その後にわしらもそっちに向かうからな。それまでは、間合いを取って粘ることだよ。」

山吹老人もヒロさんに同意するように言った。

「分かりました。頑張ってみます。」

いずみがしおらしく言った。

「さて、我々も行くとしようか。」

寂明さんが、俺といずみを促すように言った。俺たちも素早く雑木林を抜けて、車に戻った。

「いずみ、大丈夫か?」

「何がよ?」

「何がって、さっきあれだけ激しい戦いをしたところじゃないか。」

「ああ、そうね。そう言われてみれば、少し体が疲れている感じがするわ。でも、まだまだ大丈夫よ。」

いずみが気丈に言った。

「そうは言っても、身体は相当疲れていると思うよ。さっきは「術」の効果があったから大丈夫だったと思うけど、少し疲れてきているってことは、「術」の効果が切れてきているということだよ。」

寂明さんが運転しながら冷静に指摘した。

「また後で、「術」をかけていただきますようにお願いします。」

いずみが寂明さんに言った。

「うーん。私は少し迷っているのだよ。今度は、まだ戦っていない私と柊太君が前面に立とうと思っているのだが、どうかな。いずみちゃんは少し休みながら状況を見て参戦というわけにはいかないかな?」

「俺も、そう思うよ。」

「そんなのイヤです!ここまできたら、次も先陣で戦わせてください!」

いずみは、それは絶対に受け入れられないという感じで強く言った。

「やはり、そう言うと思ったよ。そしたら、ここは私が後方から支援をしよう。しかし、危ないと分かったら必ず私と替わるんだよ。」

寂明さんがいずみに言い聞かせるように言った。

「ありがとうございます。無茶はしません。」

 いずみが嬉しそうに言った。俺は別に戦いたくないんだが、そうも言っていられない雰囲気である。ここは腹を括って頑張ることとしよう。そう言っているうちに車は金洛堂近くのコインパーキングに到着した。時間は21時を過ぎたあたりだった。

「さて、少し狭いが、車の中で戦いの準備を整えておくとしよう。」

俺たちはお互いに必要な「術」を掛けあった。先程と同じ「術」である。

「柊太君には夕方教えた『破錠(はじょう)の術』をつかってもらわなければいけないかもしれない。」

「分かりました。」

 この「術」は文字通り、錠やロックを外したり、封印を解く「術」であり、黒と紫の継承者にしか使えない「術」である。悪用禁止の最たるものであるなと俺は思った。

 俺たちは、車から降りて金洛堂本社ビルへと向かった。ここから見て、3階のフロアのエリアだけが明かりが点いていた。おそらく、そこに豊原が待ち構えていると思われた。ビルの入り口に到着した。試しに自動ドアの入り口に立ってみると、なんと!ドアが開くではないか!

「たいした自信みたいね。」

いずみが憎らしそうに言った。

「そうだな。くれぐれも油断せずに行くとしよう。ここは、小さめの明かりで少しずつ近づいていくとしようか。もちろん、エレベーターは使わない。階段を探して少しずつ上がっていこう。」

 寂明さんがそう言って『蜻蛉の火影』を灯した。辺りがうっすらと明るくなった。遠くまでは見通せないが、周囲や足元は十分に確認できる明るさだ。

 俺たちは少しずつ進み、フロアの端の方に階段があるのを見つけた。非常灯は点いており、その明かりも微かではあるが足しにはなった。そこから少しずつ階段を上がっていき2階に辿り着いた。このフロアは真っ暗なので、素通りして3階への階段を上り始めた。そこに、豊原がいるかと思うと少しずつ緊張してきた。ゆっくりと階段を上がり、3階に辿り着いた。外から見た通り、この階の奥のフロアは煌々としていた。

 3階に入ったところで、一呼吸おいて装備の確認をして、俺たちは明かりの元へと向かって行った。遂に、明かりの部屋の扉の前まで来た。そこは、「大会議室」という札がかかっていた。扉は締まっていた。いずみが、扉に手をかけようとしたが、俺はそれを制して扉に手をかけ、思い切りよく開いた。

 すると、中から野太い声がした。


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