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いざ「霧の社」へ!

「ふう。いろいろ分かったよ。」

俺はいずみの方を向いて言った。

「カラスさんたちは何て言ってたの?」

俺は、先程カラスたちと話した内容をいずみに言った。

「そうなのね。豊原って奴は随分なワルね。これはこの先、かなり用心してかからないといけないわね。」

「そうだね。間違いなく、「術具」が使われていると思うし、遠くない先で対峙することになりそうだから、こちらも早めに「術」の教え合いや整理をしていこう。」

「あら、柊太にしてはすごくまともなことを言ったわね。その通りよ。」

だから、その一言が余計なんだよ・・。

「じゃあ、次はお昼ご飯にしましょう。」

そういって、いずみは通りを向いてタクシーを止めようとした。

「どこへ行くんだい?」

俺は、この近くで食べるものだと思っていたので驚いて聞いた。

「柊太の考えていることは分かるわ。この近くで食べると思ったんでしょ。私も、最初はそう思ったんだけど、昨日の東大路大学の近くの喫茶店に行きましょう。」

「どうしてなの?」

俺は、いずみになにか考えがあると思って聞いた。

「うん。さっき、由美さんに連絡をしたら反応がないのよ。まあ、気にしすぎかもしれないけど、何となく気になってね。」

「ああ、それで様子を窺いに行くわけだね。」

「その通りよ。」

ちょうど、タクシーが通りかかったので、いずみが手を挙げて止めた。

「お客さん、どちらまで?」

運転手が聞いてきた。

「東大路大学までお願い。」

後部座席に乗り込みながらいずみが言った。

 ここからは、そんなに遠くはないが近くもない。この先の流れを考えると、ここはお金の節約よりも、時間や体力を温存しておく方が大事かなと思った。でも、決済はいずみがしてくれるから面目ないと思う。さあ、落ち着いたら俺も稼ぐぞ!

「どうしたの柊太?なんか一人で気合入ってるけど?」

「いや、別に。」

さっきの思いが独語になっていなくて良かったと思った。ものの10分ほどしてタクシーは目的地に到着した。いずみが、スマホで料金を決済してくれて俺たちはタクシーを降りた。

そこから数分歩いて昨日の喫茶店に着いた。扉を開けて俺といずみは店内へと入った。

「いらっしゃいませ。」

カウンターの中からマスターの声がした。時間はそろそろお昼に差し掛かるころなので、店内は割と込み合っていた。

「カウンターいいかしら?」

いずみがマスターに尋ねた。

「どうぞ。ああ、君たちは昨日のお客さんだね。」

マスターは、昨日2回も利用した、俺といずみのことを覚えていたようだ。

「今日のランチは何かしら?」

「今日は、しっとりとした食感がおススメのドライカレーのセットか、昔ながらの味が楽しめるナポリタンセットだよ。サラダとスープと本日の一品が付いて税込みで1,200円だよ。ドリンク付きになると税込で1,350円ね。」

マスターがスラスラと教えてくれた。どちらも美味しそうだなと思った。

「そしたら私はドライカレーのセットをいただこうかしら。食後にアイスコーヒーをお願いね。柊太はどうする?」

いずみが、素早くオーダーを決めた。俺もちょうど同じものを頼もうと思っていたので、

「僕もそれでお願いします。」

と続いて言った。

「了解。日替わりドライカレーセット2つね。食後にアイスコーヒー2つと。ありがとうございます。少々お待ちを。」

マスターはオーダーされた品物を作り始めた。時間的なものもあり、店内は8割がた埋まっていた。満席になるのも時間の問題だなと思われた。

「忙しくしてるところごめんなさいね。マスターに聞きたいんだけど、今日、由美さんはこちらに見えられました?」

いずみが、調理中のマスターに申し訳なさそうに聞いた。

「そういえば、今日はまだ来てないね。忙しんじゃないかな。由美ちゃんも毎日必ず来るわけではないからね。何かあったの?」

「いいえ。そういう訳ではないんだけど、連絡して反応がなかったから少し気になっちゃって。」

「ははは。由美ちゃんもいい大人だし、大丈夫じゃないかな?今度来た時に、君たちが来たことを伝えておくよ。」

「ありがとう。」

マスターは全く心配していない様子だった。そりゃそうだろう。1週間以上も連絡がないならともかく、昨日の今日だから、これで心配していたらキリがない。

「はい、お待ちどうさま。」

オーダーしていたドライカレーのセットが目の前に置かれた。食欲をそそるスパイシーなカレーの香りが漂ってくる。

「いただきます。」

俺はドライカレーを口に運んだ。なるほど、定番の味の中にもスパイスがしっかりと効いた納得のいく味わいだった。確かにマスターの言う通りのしっとりとした食感だった。これは、何回でもリピートしたくなる美味しさだった。俺といずみは、朝が早かったせいもあり、無言で食べ進めていた。

「とても美味しかったわ。」

「ありがとう。じゃあ、これアイスコーヒーね。」

そう言ってマスターはカウンターの上に、二つアイスコーヒーを置いてくれた。

「さて、この後だな。」

俺は、席がカウンターということもあり、あまり具体的な固有名詞を出さずに言った。

「そうね。近くまではタクシーで戻りましょう。」

いずみも同じことを思っていたみたいで、こちらも具体的な名前を避けて言った。そこからは、なるべく当たり障りのない話をしながら、俺といずみは暫しの休息をとった。少し体も楽になったところで、俺といずみは立ち上がった。

「ありがとう。由美ちゃんが来たら君たちが来たことを言っとくよ。」

「よろしくお願いね。」

伝票を持ってレジに向かい、いずみが会計を済ませ、店を出た。

「ごちそうさまでした。」

俺はいずみにお礼を言った。

「いいわよ別に。私なりにこの成り行きを楽しんでるからね。」

いずみはそう言って笑った。何か皮肉の一つでも言われるのかなと思った俺は少し拍子抜けした。


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