表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/31

東王路大学①及び接触再び!

 喫茶店を出た俺といずみは東王路大学へ向かって歩き出した。本当に目と鼻の先の距離だ。ほどなくして、東王路大学の正門に辿り着いた。特に誰に誰何されることもなく俺といずみは正門をくぐった。

正門をくぐってしばらく進んでいくとビラやパンフレットを撒く学生がチラホラと見られた。先を急ぐのである程度無視して進んでいたが、一人だけしつこく絡んでくる学生がいた。

「すみません。目を通していただくだけでいいので、このパンフレットを受け取ってくれませんか?ウチの歴史サークルの案内です。興味があったら是非お願いします。」

半ば押し付けるように俺にパンフレットが入った封筒を押し付けてきた。

「わかったよ。見ておくよ。」

その圧におされて俺は受け取った。

「ありがとうございます。」

 その学生はうつむき加減でそう言って足早に去って行った。次のターゲットでも探すのだろうか?俺といずみは少し興味を惹かれたので、そのパンフレットを見てみることにした。封筒を開けてパンフレットを取り出したら、それは友好的なサークル案内のパンフレットなどではなかった。そこには血のような赤い文字でこう書かれていた。


 『今すぐにこの件から手を引け!さもなくば後悔することになるぞ!』


俺といずみは目を見合わせた。

 今回の件が始まってここまで露骨な敵意を示されたのはこれが初めてだった。いずみの車のドアミラーの件があったが、婉曲なやり方だったのでそこまで気に留めなかったが、これはストレートな敵意むき出しのメッセージだった。ただ、今は陽も高く、周りに人がたくさんいる状況なので紙に書かれている文字ほどの恐怖心は感じられなかった。

「どうする?いずみ?」

俺は困惑しながらいずみに聞いた。

「どうするもこうするもないでしょ。私たちは何も悪いことをしていないのだから受けて立ちましょうよ。」

 いずみは憤然とした表情で言った。こういったときのいずみは、決して怯まないで立ち向かっていくタイプなので俺としては安心できる。俺がもっとしっかりしなければいけないなと思いながらも、いずみについつい甘えてしまう自分が情けなく思ってしまう。

「分かった。とりあえずは予定通り、教授さんのところに行こうか。」

俺努めて冷静に言った。

「そうね。今、気にしてもしょうがないからそうしましょう。それにしても命拾いしたわね。さっきのヤツがいたら、ボロクソに言ってやったのに。」

 いずみが心底残念そうに言った。俺はさっきのヤツに少しだけ同情した。

(君、早く逃げて正解だったぞ。今頃、ここが君の墓場になっていただろうから・・・。)

「柊太、なんか言った?」

いずみが訝しそうに言った。

「いやいや。早く行かないといけないなと思って。」

俺は慌ててその場を取り繕った。

「そうね。はやく行きましょう。」


 俺といずみは少し早足になり、歴史学部の研究棟へと向かった。ほどなくして、目的地にたどり着いた。そこの扉には「常磐研究室」と書かれた札が掛かっていた。俺はどうしたものかと迷っていると、いずみが何の躊躇もなく扉をノックした。

「常磐先生おられますか?私は蒼ノ京いずみと申します。」

このあたりの思い切りの良さは見習いたいなと思った。

「ああ、入りたまえ。君たちのことは、蘇芳さんから聞いているよ。」

中から思ったよりも軽い口調の返事があった。

「失礼します。」

俺といずみは扉を開けて研究室の中に入った。

「直接のお約束なしに失礼いたします。私は蒼ノ京いずみと申します。こちらは、紫王院柊太といいます。蘇芳様よりご連絡が届いていたかと思います。今、お時間をいただいても大丈夫でしょうか?」

いずみが、どこでかぶってきたのか猫を10匹ぐらいかぶった声で言った。

「おお、これはご丁寧にどうも。蘇芳さんより連絡をもらった時点で予定は開けておいたよ。時間は大丈夫だよ。若き祈仙術の継承者のお二人。どうぞ掛けてくれたまえ。」

常磐教授はそう言って、研究室内の椅子を勧めてくれた。

「ありがとうございます。失礼します。」

俺といずみはありがたく椅子に座らせていただいた。

「ここしばらく祈仙術は平穏だった、悪く言うと衰退する一途だったのに、ここにきて一気に波乱万丈になってきたね。」

常磐教授がどこか他人事のように言った。

「先生はそのように思われているのですね。それでは、私たちはどのようにすればよいのでしょうか?若輩非才の身に道標をお示しいただけませんでしょうか?」

これまたいずみがどこで習ったのか素晴らしい返しをした。その時、チラッといずみが俺の方を見た。

(あんたがもっと喋りなさいよ!この貸しは高くつくわよ!)

そう言っているようだった。

「そうだな。今、祈仙術界の中でいざこざが起こっているのは紛れもない事実になっているね。ただ私は、どちらの色にも属さない存在だから何とも言えない。祈仙術の戒律上、どちらにも与しえない立場なのだよ。どちらがどんなに悪いとしてもだよ。」

常磐教授が少し首を振りながら言った。

「それは、どういうことですか?」

これには俺もかなり不思議に思っていずみより先に聞いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ