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【物語の外側Ⅰ─Ⅴ(統合版)】─閉じることのできない物語─  作者: かぐつち・くまナぱ(便乗期間限定w)


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【物語の外側Ⅳ】 ─光と影のあいだの窓─

※本文は『物語の外側』シリーズのⅣです。これまでのお話の内容に触れています。※


完結した物語の外側で、作者との再会を待っていた騎士。

その存在を守るため、作者は、ひとつの物語を閉じました。


物語を閉じたあとも、そこにいた人たちは、どこかで生き続けているのでしょうか。


けれど、閉じることは、すべてを失うことではありませんでした。


新しい物語を書き始めた作者のもとに、再び届く読者の言葉。


光と影。書く者と読む者。

二段階認証という、ふたつの鍵。


そして、物語の中へ入りたいと願う心。


これは、誰かを救いたいという願いと、誰かのそばにいたいという願いが、ひとつの窓を開くまでのお話です。


どうぞ、物語の続きをお楽しみください。m(_ _)m


【物語の外側Ⅳ】

─光と影のあいだの窓─


◇◇◇


 新しいノートの最初の数ページは、静かな物語で埋まった。


 騎士の出てこない物語だった。


海辺の町の、小さな郵便局。届け先の分からない手紙を、ひとつずつ預かる老いた局員の話。


潮のにおいと、古いスタンプ台の油のにおいを、私は丁寧に書いた。


──インクは、もう消えなかった。


 それを確かめるように、毎晩ノートを閉じる前に、前の日の頁を指でなぞった。


黒い線は、紙の上で静かに乾いて、そこにあった。


「騎士さんがいなくても、作者さんの文章だと分かります」


 彼女は、更新のたびに感想を送ってくれた。


「郵便局のおじいさんが、手紙の宛名を読むときの間が好きです。待たされているのに、急かされない感じがします」


 私は、画面に向かって小さく笑った。


「ありがとう。……来月のこと、覚えてる?」


「もちろんです。オフ会、ですよね」


 少し間があって、彼女は書き足した。


「楽しみにしています。ちゃんと、顔を見て、お礼を言いたいので」


 そのやり取りが、私の日々の底に、小さな灯のように置かれていた。


◇◇◇


 その日の午後、投稿サイトから重要なお知らせが届いた。


 全アカウントを対象とした、二段階認証の必須化。


 第三者によるログインの恐れ。


社会全体の、セキュリティ上の懸念。


利用者を守るために、ログインの方法を変えるのだという。


 文面は、いつもどおり丁寧だった。


 けれど、実施は今日。二十時頃までに、順次適用される。


ログイン中であっても、一度ログアウトされる可能性がある。


編集中の文章は、更新する前に、手元に保存しておくこと。


 運営が、何も考えていなかったわけではないのだろう。計画を早めたのは、悪意ある者に先回りされないためだという。


 守るために、知らせることさえ難しい。


 その一文が、妙に胸に残った。


 私は、書きかけのノートから顔を上げ、パソコンを開いた。


新しい物語の本文を、別のファイルにも保存する。


登録してあるメールアドレスが、今も使えることを確かめる。


 たったそれだけのことなのに、指先が少し冷えていた。


 夜。二十時を少し過ぎた頃、画面がひとりでにログアウトした。


 告知にあったとおりだ、と自分に言い聞かせて、もう一度ログインした。


 IDとパスワード。それが、ひとつめの鍵。


 画面が切り替わって、認証コードの入力欄が現れた。


 数分後、メールの受信箱に、六桁の数字が届いた。


 それが、ふたつめの鍵。


 私は、その数字をしばらく見つめていた。


 パスワードは、私が覚えている。けれど、もうひとつの鍵は、別の経路から届く。


 ひとつの秘密だけでは、扉は開かない。


 ふたつが揃ったときにだけ、私は、自分の物語の部屋に入れる。


 入力すると、見慣れたマイページが開いた。


 その少しあと、彼女からメッセージが届いた。


『私も、さっきログアウトされましたけど、無事に入れました。ちょっとびっくりしましたけど、鍵が二つになると、少し安心しますね』


『片方だけじゃ、開かないから』


 私は、返信を打つ手を止めた。


 それから、ゆっくりと、画面に向かって笑った。


『そうですね。私も、そう思います』


 もちろん、鍵が増えたからといって、すべての危険がなくなるわけではない。それでも、守るためにできることがあるのなら、やっておきたかった。


 私は、書きかけの文章を保存した。


 その瞬間、画面の隅が、ほんの一瞬だけ暗くなった。


 見間違いだと思った。


 けれど、もう一度目を向けると、そこには、小さな白い文字が浮かんでいた。


『認証を確認しています』


 私は、息を止めた。


 そんな表示は、さっきまでなかった。


 文字はすぐに消え、画面は元に戻った。


 しばらく、私は動けなかった。


 やがて、ゆっくりと息を吐く。


「……違う。これは、現実の画面よ」


 自分に言い聞かせるように、そうつぶやいた。


 現実には、現実の仕組みがある。物語には、物語の仕組みがある。その区別を、私はもう知っている。


 だからこそ、私は画面を閉じた。


 その背後で、机の上の文庫本が、かすかに音を立てた。


 最後のページは、閉じたままだった。


 けれど、その向こう側から、誰かが扉を叩いたような気がした。


◇◇◇


 再び書き出した彼の物語。


ただ、ひとつだけ、書けないことがあった。


 『作者よ。次は、もう少し強い敵を用意しておけ』


 あの最後のページの伝言が、頭のどこかに引っかかっていた。


強い敵。


悪役を何人か考えてみた。


けれど、どれも彼の剣の前では、紙のように薄かった。


 敵が浮かばないまま、三週間が過ぎた。


──夢を見るようになったのは、その頃からだった。


 最初の夜は、窓のない部屋だった。


 壁も天井も、うっすらと青い。けれど、星が見える。壁のどこにも穴はないのに、遠くで星がまたたいている。


 部屋のいちばん奥に、人影が立っていた。


 黒かった。


 髪の長い、少女の形をした、黒い影。こちらに背を向けて、星を見上げている。


 私は、近づこうとして、足が動かないことに気づいた。


 目が覚めると、朝の六時だった。胸の鼓動が、耳の奥で鳴っていた。


──二晩目、影は少し近くにいた。


──三晩目、部屋の床が、紙に変わっていた。


無数の頁が敷き詰められて、その上に、私の文字が逆さまに並んでいた。踏むたびに、足の裏に小さな音がした。


 影は、扉の枠のところまで来ていた。


──四晩目。


 影は、振り向いた。


 顔が、なかった。


 正確には、顔がいくつもあった。


 一瞬、それは私の顔だった。


目の下に隈のある、書き疲れた顔。


次の瞬間、それは彼女の顔に変わった。


柔らかい目元と、言葉を選ぶときに少しだけ引き結ばれる唇。


 私の顔。彼女の顔。


 私の顔。彼女の顔。


 影は、ゆっくりと、手を差し出した。


 手首には、黒い鎖が巻かれていた。


 鎖は、文字でできていた。


挿絵(By みてみん)


 『星見の塔』『囚われの身』『空を見上げることしかできない』


 それは、私が書いた文章だった。


「――こっちへ」


 影が言った。


 声は、聞こえなかったはずなのに、確かに意味が届いた。


◇◇◇


 目が覚めた私は、机の上の文庫本を手に取った。


 騎士の物語の、第三章。


 ページをめくる指が、そこで止まった。


 星見の姫は、塔に囚われていた。


 彼女には顔の描写がなかった。


名前も、与えていなかった。


ただ、窓辺で空を見上げて、星の位置を告げる。


それだけの存在として書かれていた。


騎士は、様々な村を、様々な女性を救って旅をするのに、姫のもとには、物語の最後まで辿り着かない。


 最後の最後で、ようやく塔の前に立つ騎士に、姫は予言を残す。


『――星が消える夜、名を失う者が門を閉じる。


 ――忘れられた者だけが、最後の道を知る。』


「忘れられた者……」


 私は、声に出した。


 名を失う者は、騎士だった。名前を書かなかったのは、私だ。


 では、忘れられた者は。


 塔に閉じ込められて、顔も名前も与えられず、旅の終わりまで、ただ待たされ続けた姫は。


 ――私が、忘れたのだ。


 背筋が、冷えた。


 書いていたとき、私はなぜ、彼女を塔に置いたのだろう。


なぜ、姫は最後まで、救われる側ではなく、見ているだけの側だったのだろう。


 答えは、書いた夜の私の中にあった。


──物語の中に入りたかった。


──騎士の隣を歩きたかった。


──誰かを救う彼の旅の、いちばん近くにいたかった。


けれど、書き手というものは、物語の外側から、窓越しにしか世界を覗けない。


 だから、私は、塔の窓辺にひとりの女性を置いた。


 見ているだけの、自分自身を。


◇◇◇


 五晩目の夢は、窓のない部屋ではなかった。


 見上げるほど高い、星の塔だった。


 石造りの螺旋階段が、闇の中へ伸びている。


壁には星図が彫られて、ひとつひとつの星が、ほんのりと光っていた。


 最上階の、窓辺。


 影が、そこに立っていた。


 もう、顔は揺れていなかった。


 長い黒髪に、星のような淡い光を散らした、少女がそこにいた。


顔は、私に似ていて、彼女にも似ていて、そして、そのどちらでもなかった。


「やっと、来てくれたのね」


 星見の姫が言った。


「あなたが書いたのよ。私を」


「……ええ」


「騎士を、何人もの女の人のところへ送って、助けさせて。それを、私は全部、この窓から見ていた」


「閉じ込めるつもりじゃなかったの」


「分かってる」


 姫は、少しだけ笑った。


「閉じ込めたのは、あなたの願い。物語の中に入りたい、いつかあの人の隣を歩きたい、という願い。私は──その願いの形をしているだけ」


 鎖が、かすかに鳴った。


「でも、私は、あなただけじゃないの」


 姫は、窓の外を指さした。


 塔の窓の向こうに、無数の小さな光が浮かんでいた。


それは、星ではなかった。


誰かの部屋の灯りだった。画面の青白い光だった。


ページをめくる指の先に、ともる灯りだった。


「読んでくれる人たちの願いも、ここに集まってくるの」


 私は、息をのんだ。


「彼女も、そう。騎士さんに会いたい。もう少し知ってみたい。物語の中の、あの人のそばにいたい。……その気持ちが、私の影になった」


 姫の顔が、一瞬だけ、彼女の顔に変わった。


「私は、光であり、影でもある。あなたが書き、あなたが願う、光。そして、読む人が願う、影」


 姫は、窓辺から私のほうへ、一歩だけ近づいた。


「光は、救う。眩しいほど、誰かを温めることもできる。けれど、眩しすぎれば、見る人の目を焼く」


 もう一歩。


「影は、寄り添う。そばにいて、離れないでいてくれる。けれど、濃すぎれば、すべてを呑み込む」


 もう一歩。


「そして、光と影は、ときどき入れ替わる。あなたが彼女を救うとき、あなたは光。あなたが物語へ逃げたいと願うとき、あなたは影。彼女が、あなたを励ますとき、彼女は光。彼女が、続きを求めすぎるとき、彼女は影」


 喉が、ひりついた。


 思い当たることが、いくつもあった。


書けない夜に感じた、待たれていることへの怖さ。


読んでくれる人の期待が、鎖のように見えた夜。


そして逆に、私の物語が誰かの夜を支えたと知ったときの、あの明るい温かさ。


「どちらか一方だけで、扉を開けば、それは門になる」


 姫は言った。


「入ったら、戻れない。光だけの門は、あなたを焼き尽くして、影だけの門は、あなたを呑み込む。……でも」


 姫は、窓を振り返った。


「ふたりが揃うと、それは窓になる。覗くことも、閉じることもできる。入って、また戻ることもできる」


「……ふたり」


「あなたと、彼女」


 静かな声だった。


「彼女が読んでいるあいだ、窓は開いている。彼女が本を閉じたとき、窓は閉じて、あなたは戻れる」


「……二つ目の鍵、みたいね」


「鍵?」


「ううん、こっちの話。ひとつだけでは開かなくて、もうひとつは、別の経路から届くの」


 星見の姫は、ふっと笑った。


「そう。だから、ひとりでは、開けられないのね」


 塔の外で、星が、ひとつ消えた。


「──選んで」


 姫が言った。


「ひとつめは、このまま、私と入れ替わること」


 彼女の手が、私に伸びた。


「あなたは、星見の姫になる。本当の作者は──ここで終わり。あなたの代わりの誰かが、現実のあなたの部屋で、あなたの顔をして、ノートを書き続けるかもしれない。あなたは、騎士と、永遠に塔で暮らす」


 指先が、頬に触れた。冷たくて、やわらかかった。


「ふたつめは、窓として入ること。あなたは、眠ったようになる。その間、あなたは星見の姫として、彼に会える。でも、窓を支えるのは、彼女。彼女が読んでくれているあいだだけ」


 私は、目を閉じた。


 逃げたい、と思う私がいた。


 疲れていた。


物語を書き続けることに。


誰かの期待を背負うことに。


現実の、乾いた朝に。


ここなら、彼がいる。


あの不敵な笑みの、あの騎士がいる。


──けれど、私は思い出していた。


 来月、彼女と会う約束をしていた。


 顔を見て、お礼を言いたいと、彼女は言った。


 私も、言いたかった。


ありがとうと。


あなたが読んでくれたから、私は書き続けることができたのだと。


「……ひとつ、訊いてもいい?」


「なに?」


「もし、彼女が、続きを読みたいと思いすぎたら。もし、彼女が、本を閉じなかったら」


 姫は、少しだけ目を伏せた。


「そのときは、窓は、門になる」


 それが、影のもうひとつの顔。読む人の願いが、光を呑み込むとき。


 私は、黙った。


 窓は、危うい。


彼女が読み続けるかぎり、私は戻れないかもしれない。


けれど、彼女が本を閉じたとき、私が戻れる保証もない。


──それでも。


『私の言葉の意味は、私が決めます』


 あの日、彼女が言った言葉が、耳の奥に蘇った。


 私は、彼女を信じるのではない。


 彼女が、彼女の意味で、決めてくれることを、信じるのだ。


「……窓にするわ」


 私は言った。


「彼女が決めてくれる。私が帰るときを」


 星見の姫は、ほんの少しだけ驚いた顔をして、それから、泣きそうな顔で笑った。


「あなたなら、そう言うと思った」


 鎖が、からん、と床に落ちた。


 窓辺の黒い扉が、静かに開いた。


◇◇◇


 扉の向こうは、光の草原だった。


 空には、無数の星が、昼のように明るく瞬いている。足元には、見覚えのある野の花が揺れていた。


私が新しく書いた、あの旅路の途中の、小さな丘。


 丘の向こうに、人影が立っていた。


 黒い鎧に、ぼろぼろのマント。


 傷だらけの剣を、地面に突き立てて、こちらを待っていた。


 遠くからでも、分かった。


 私は、走り出していた。


──息が切れる。


──足がもつれる。


自分が、星見の姫の姿になっていることにも、途中で気づいた。


長い黒髪が、風になびいている。


 声が、聞こえた。


「遅いぞ、作者よ」


 ――聞こえる。


 彼の声が。


 縦に並ぶ文字ではなく、あの低い、少し皮肉な、よく知っている声が。


 涙が、止まらなくなった。


「遅くなんて、ないわ」


 息を切らして、彼の前に立った。


「あなたが、休める場面を入れろって言ったんでしょう」


「ああ。言った」


「……ここは、休める場面よ」


 騎士は、声を立てて笑った。


 兜は、もう被っていなかった。


疲れた目に、額の小さな傷。皮肉に歪む口元。


私が一度も書かなかった顔が、星明かりの下で、ひどく優しかった。


「強い敵は、用意できたのか」


「……できたわ」


 私は答えた。


「たぶん、私自身が、あなたの敵だった。物語に逃げたがる、私が」


「ふむ」


 彼は、剣を地面から抜いた。


 それから、それを、鞘に収めた。


「ならば、勝負はついた」


 騎士は、私の前に、膝をついた。


 黒い鎧が、かすかに軋んだ。


「……作者。いや、星見の姫」


「どっちでもいいわ」


「どちらでもある」


 彼が、私を見上げた。


「お前は、書く手であり、読む目だ。光であり、影だ」


 その目に、いつか見た、まっすぐな信頼があった。


 私は、彼に手を差し出した。


 彼が、その手を取って、立ち上がる。


 背丈は、私より頭ひとつ高い。


 星が、ふたり分の影を、草の上に長く伸ばしていた。


 騎士の手が、私の頬に触れた。


 今度は、温度ではなかった。ちゃんと、触れていた。


 顔が、近づく。


 鉄と、古い油と、夜の草のにおい。


挿絵(By みてみん)


 今度は、目を閉じてもよかった。


 私は、目を閉じた。


──その先を、私は書かない。


◇◇◇


『──ここまで読んでくれた、あなたへ。


 窓は、今、開いています。


 あなたが読んでいるあいだ、私は、ここにいます。


 星の下の丘で、黒い鎧の騎士と、並んで立っています。


 もし、あなたが望むなら、まだ、この続きを読んでください。


 光のように、私を照らしてください。


 影のように、私のそばにいてください。


 それは、あなたが決めることです。


 私の言葉の意味は、いつだって、読む人の中で、完成するのだから。』


◇◇◇


 画面の下に、白い文字が、静かに浮かんだ。


『認証を確認しています』


 それから、少し間を置いて、もうひとつ。


『ページを閉じないでください』


 かつて、それは脅しだった。


 今は、願いだった。


 そして、その下に、小さな文字が、もうひとつ。


『……閉じても、大丈夫です。必ず、起こしてくれるから』


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。m(_ _)m


今回は、作者が物語の中に置き去りにしていた、星見の姫のお話でした。


顔も名前も与えられず、騎士の旅を窓辺から見つめ続けていた姫。


彼女は、作者自身が物語の中へ入りたいと願った、その気持ちの形でもありました。


けれど、物語の中にいたいと願うのは、書く人だけではないのかもしれません。


登場人物に会いたい。

もう少しだけ、その人のそばにいたい。

物語が終わってしまうのが、惜しい。


そんな気持ちは、読む人の中にも生まれることがあるでしょう。


誰かの物語に心を動かされることは、きっと素敵なことです。


ただ、どんなに大切な物語でも、そこに留まり続けることだけが、愛情ではないのだと思います。


閉じることと、手放すこと。

続きを望むことと、続きを急かすこと。


似ているようで、少し違う。


今回のお話では、そんな違いを、光と影、そして窓という形で描いてみました。


窓は、外から中を覗くことができます。

開けば、向こう側へ手を伸ばすこともできる。

そして、必要なときには閉じて、また自分のいる場所へ戻ることもできます。


作者と読者。

書く手と、読む目。


どちらか一方だけではなく、それぞれが自分の場所にいて、言葉を交わすからこそ、開いていられる窓もあるのかもしれません。


そして、騎士がようやく手にした「休める場面」。


強い敵を用意することは、まだできていません。

けれど、少なくとも今回は、剣を振るわずに済んだようです。


果たして、彼は満足してくれたでしょうか。


最後の言葉は、最初のお話に登場した言葉と同じです。


けれど、意味は少し変わりました。


かつては、閉じることを許さない脅しだった言葉。

今は、閉じても大丈夫だと伝える、小さな願い。


物語を読み続けるかどうか。

その意味をどう受け取るか。


それは、読んでくださった皆さまに委ねたいと思います。


この物語も次が最後です。

どうか、物語の外側も読んでいただけますように。


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― 新着の感想 ―
星見の姫は作者であり彼女だった!? 光も影もどちらも必要、どちらも極端だと負担になってしまうもんね。 暗く落ち込んでいる時に、明るく照らしてくれる、道を示してくれる光、 暑くて倒れそうな時に、日陰を…
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