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NC-1801  作者: アル治


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第8話  怨恨の清算

いつも読んでいただきありがとうございます。

夜になるまで、ブランは男を見張っていた。


その頃、猫カフェでは珍しくクロウと真壁が口論していた。


「私も何か手伝いたいです」


真壁の言葉に、クロウは静かに視線を向ける。


「今回は……許せないんです」


「危険だ」


「判っています」


「でも……今回は私も行きます!」


真壁がここまで感情を表に出すのは珍しかった。


きっと、田辺の話に感情移入してしまったのだろう。


クロウはしばらく真壁を見つめていた。


そして、ゆっくりと目を閉じる。


再び目を開き、一言。


「判った」


真壁の顔が少し明るくなる。


「ありがとうございます」


「準備してきます」


―――


ブランと合流すると、ブランは呆れたように尻尾を振った。


「クロウさん、何してるのさ」


「真壁さんに何かあったらどうするの?」


真壁が微笑む。


「大丈夫です」


「相手は危険だよ?」


「ブランが守ってくれるでしょ?」


「そりゃ……守るよ」


「クロウさんも守ってくれます」


クロウは2人の会話に参加しない。


ただ静かに目を閉じていた。


―――


日が落ちる。


男が動き始めた。


未成年という立場を盾に、計画的に犯行を繰り返す。


ただのクズだった。


男の後を追う。


向かった先は駅。


「物色中だね」


ブランが呟く。


そして振り返る。


「あれ?」


「2人は?」


その時。


駅の構内から真壁が現れる。


バッグを肩に掛け、男の前を通り過ぎた。


男の視線が真壁を追う。


そして、そのまま後ろを歩き始めた。


ブランの目が細くなる。


「掛かった」


ブランは決して真壁から目を離さない。


いざとなれば、いつでも飛び出せる。


やがて真壁は公園へ入る。


人気のない場所まで来たところで、男が前に回り込んだ。


「ねぇちゃん、金ないんだ」


「恵んでくれよ」


真壁が一歩下がる。


「な、何ですか……」


「警察呼びますよ!」


男は笑いながらナイフを取り出した。


「呼べよ」


「もう1人殺してるし」


「未成年だしな」


真壁の顔が強張る。


男はニヤニヤしながら近付く。


「金出せよ」


「いいバッグ持ってるじゃん」


「それより、いい女だな」


「体も貰おうかな」


真壁は怯えたようにバッグを差し出した。


男は何の疑いもなく受け取る。


その瞬間。


真壁は走った。


ブランも同時に動く。


だが男は追い掛けない。


笑いながらバッグを地面に置いた。


「さて、何が入ってるかな」


バッグを開いた、その瞬間。


黒い影が飛び出した。


「なんだ?」


「何か飛び――」


最後まで言葉は続かなかった。


首元から鮮血が噴き出す。


男は喋ることも。


動くことも出来ない。


クロウは男を見ることすらしなかった。


ただ静かに着地すると、何事もなかったように夜の中へ消えていく。


その後を、ブランと真壁が追った。


―――


翌日。


田辺は新聞を見ながら泣いていた。


「ありがとう……」


「ありがとう……」


何度も。


何度も。


お礼の言葉を口にしながら。


―――


仏壇の前。


田辺は涙を流しながら、笑っていた。


「和子」


「仇は討ったよ」


「お前は怒るかもしれないな」


「優しいからな」


「怒られても、仕方ない」


田辺は小さく笑う。


「それとな」


「凄い話があるんだ」


「向こうで会ったら話すよ」


「きっとお前も驚くぞ」


「楽しみに待っててくれ」


病院の封筒が、静かに横に置かれている。


田辺は今まで見せたこともないような穏やかな笑顔で、仏壇の写真を見つめていた。



今後もよろしくお願いいたします。

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