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NC-1801  作者: アル治


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第6話  逆恨み

いつも読んでいただきありがとうございます。

朝早く。


まだ猫カフェの開店前。


ブランが裏口へ向かっていた。


真壁が見送る。


「ブランさん、気を付けてくださいね」


ブランは振り返り、いつものように笑う。


「大丈夫だよ♪」


「今回、情報が少ないからね。」


「気を付けてくださいね」


「私はハッキングを試してみます」


「バレない程度にですけど」


「そっちこそね」


「任せたよ」


クロウは何も言わない。


ただ、耳だけが2人の会話を聞いていた。


その表情は暗い。


昼。


ブランが戻ってきた。


「怪しいのは3人」


「若い男と、猫嫌いのおばさん、それと男子中学生」


真壁もパソコンから顔を上げる。


「ネットの購入履歴を調べてみます」


「何か見付かるかもしれません」


ブランは続ける。


「子猫がやられたのは夜で間違いない」


「みんなに聞いたら、夜によく見かけるのが、この3人みたい」


クロウの耳が静かに後ろへ倒れた。


翌日。


猫カフェは臨時休業。


真壁は病院へ。


ブランは聞き込みと監視。


クロウは店で待っていた。


真壁が戻ると、すぐにパソコンに向かった。


夕方。


ブランが帰ってくる。


その表情に笑顔はない。


「見付けたよ」


「中学生だ」


「イジメが原因で引きこもったらしい」


「夜になると出掛けてる」


真壁もパソコンから顔を上げた。


「購入履歴も確認できました」


「傘と鉄パイプ」


「同時に購入しています」


「間違いないと思います」


ブランは静かに言う。


「可哀想だとは思う……けど」


「方向を間違えてる」


クロウは目を開いた。


「止める」


その一言で。


ブランと真壁が動いた。


真壁は2匹の首輪を持ってくる。


「気を付けてくださいね」


少しきつめに首輪を着けた。


「映像は私が確認しています」


ブランが笑う。


「行こう、クロウさん」


2匹は勢いよく裏口から飛び出した。


夜。


上下黒のジャージ姿の少年を追う。


少年は公園に向かい


キャットフードを撒き猫が来るのを数分待つが。


来ないと見切りをつけ、場所を変えた、2人も後をつける。


いくつかの路地を周り、


「シャー!!」


威嚇する猫。


少年の口元が緩んだように見えた。


クロウもブランも動かない。


まだ何もしていない。


2匹は静かに見ていた。


少年が餌を差し出す。


警戒しながら近付く野良猫。


次の瞬間。


ブォン!!


傘が振り下ろされた。


ドン!!


猫の肩甲骨に当たり、猫は吹き飛ぶ。


びっこを引きながら逃げていく。


少年は笑っていた。


クロウが飛び出そうとする。


「クロウさん!」


ブランが止めた。


「クロウさんは、あの子を真壁さんのところへ!」


クロウが睨む。


しかしブランは譲らない。


「相手は猫だ」


「僕が行ったら逃げちゃう」


「クロウさん!」


クロウは鼻を鳴らすと、傷付いた猫を追って闇へ消えた。


そして。


ブランは少年の前に姿を現した。


「イジメられたからって」


「猫を殴るのは、おかしくないか?」


少年が凍り付く。


「しゃ……喋った!?」


「化け物!」


ブランは気にも留めない。


「どうでもいいよ」


「それより」


「お前がやってることは何なんだ?」


少年は怒鳴った。


「俺がこんなに苦しんでるのに!」


「ご飯でホイホイ出てきて!」


「ニャーニャーうるさいんだよ!」


「甘えて!」


「いい気になって!」


「ムカつくんだよ!」


ブランの笑顔が消える。


「……そう」


「もういいよ」


「聞きたくない」


「君は弱いね」


「苦しいから」


「痛いから」


「だからもっと弱い者を殴る」


「最低だ」


ブランはゆっくり近付く。


「来るな!」


「化け物!」


ブランは跳んだ。


ドゴッ!!


肉球が少年の顔面を捉える。


少年は吹き飛び、そのまま気絶した。


ブランは倒れた少年を見下ろした。


「終わらないよ」


「君がやったことは」


その頃。


真壁は首輪の映像を編集していた。


動物虐待の証拠。


全て警察へ提出する。


翌日。


少年は動物虐待で補導された。


理由はあった。


苦しみもあった。


だが。


自分が受けた痛みを。


もっと弱い者へ向けた。


それは許されない。


そして。


少年をイジメていた学生達の行為もまた、ネット上で明るみに出たという。


数日後。


猫カフェ。


カラン、カラン。


「あ、こんにちは」

あの女子高生。

「その後、あの子どうしてるかなって思って……」


真壁。

「元気ですよ」

「今日は店に出てます」


女子高生。

「本当ですか!?」


そして、


後ろ足に包帯を巻いた子猫。


前足に包帯を巻いた元野良猫。


2匹がトコトコ歩いて来る。

女子高生の足元で止まる。

「え?」

「私?」

恐る恐る座る。

すると、


子猫が膝へ。

続いて元野良猫も膝へ。

「わっ!」

「ふふ……」

「重いよぉ……」

涙目になりながら笑う女子高生。


真壁も笑う。


ブランも尻尾を振る。


その姿を見たクロウは、安心したように目を細める。


「お腹空いたな」


真壁が笑った。


「今日は好きなもの食べていいですよ」


ブランも笑う。


「そうそう♪」


「クロウさん頑張ったもんね」


クロウは欠伸をした。


「……そうするよ」


3人の笑い声が、今日も静かな猫カフェに響いていた。

今後もよろしくお願い致します。

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