表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
魔界観光編
77/262

第76階 一夜明けて

私のばっちゃこと

魔王グリモワール様から

全魔界の王国を回れば良いよと

助言を頂いた私は殆ど眠れず

フォアローゼズと

どうするか決めたくて

うずうずしていた


「いや、何故だか、俺も

朝食を御馳走して頂けるらしいが...」

テュポーン卿は怪しさ満点の

ばっちゃからの食事の誘いに

疑いの表情が隠せなかった


「なんだって良いじゃないか!

食えば忘れるって!!!」

ゼムさんは能天気な事を口走りながら

まぁ、そうかと納得するテュポーン卿


「申し訳ありません、何から何まで」

姉妹達と共に頭を深々と

ばっちゃに下げるのは

マサムネさんの美しい奥様である

アビシニアンさんである


朝風呂の後に皆にばっちゃが

食事を御馳走してくれるという

ネクさんは朝風呂の用意などで

叩き起こされて涙目だったけれども


「女達は良いのよ!!ミコンを

筆頭にバリバリ働いて貰えば

良いんだから!!」

カンッカンッと台所で作業をする

ばっちゃの声は距離も関係なく

良く通る


「俺達も働かす気だぜ!

やっちまったな!!」


「全くだ!グワハハハハハ!」


ゼムさんとテュポーン卿は

何やら楽しそうだ


「思い出すなぁ、ガキの頃を」

マサムネさんも嬉しそうだ


「ミコンがヨォ

クソ真面目で城から

出られませんとかいうのを

俺達で画策して

良く連れ出して遊んだよな!!」


「美しい手紙の魔物が

いるとかなんとか言ってか?

ありゃ愉快だった

それに魔法の知識ばっかり

詰め込みやがって

実践派の魔獣にとっては

不効率極まり無いぜ」

ゼムさんとテュポーン卿から

ネクさんの過去話が飛び出す

フォアローゼズも含めて

ニコニコしながら聞いていた


「や・め・ろ・ぉ.....」


「ミコン!運びな!!!」


ネクさんの呪いの様な声を遮って

ばっちゃが呼び出す


「ガハハハハハハ!!!

変わってねぇな!あいつも!!

おい!マサムネ!!

魔獣全員で復帰は望んでいるが

完全復活後で良いからな?

途中でぶっ倒れても

魔獣国内で戦争が

起こるからなぁ!!」


「全くだ、ピリピリするからなぁ

大使大饗(アンバサダー・ナイツ)中にも

暗い顔でどんよりしてやがる

俺も含めてなぁぁ?」


「ガハハハハハハ!!!

おい!マサムネ!

嫁に出さんか?」


「いや、お前らだけはお断りだ!」


びりっ、びりっ、


「ん?なんだ

この聞き覚えのある音は?」

ゼムさんが周囲を見渡す


「ぎゃああああああ!!!」


「うるさいよ、ミコン!!

どうしたとね?」


「あちゃー....」

マユナが困った顔で

ネクさんに駆け寄る


シンガちゃんがエヘヘと

いたずらな笑みを浮かべていた


「後で、ハツミに相談して下さい」

マユナは不敵な笑みを浮かべる

シンガちゃんを抱きかかえていた


「いや、すまんな、ネクロ殿

何か謝礼の品を渡そう

妻共々すまんな」


「マジか、あいつ

マサムネの奥さんと

初めて出会った時も

"好奇心"で破られてるんだよなぁ」

ゼムさんが軽く唸る


「...娘共々すみません

ネクロ様」


"泣き"と描かれたページが

ひっそりと開かれる


そんな中、

姉のターキッシュちゃんはというと


「今度ね、ハツミお姉さんに

頼むと良いよ!」

ん?イム?何をかな?


イムとターキッシュアンゴラちゃんは

仲良く会話しているみたい

何故か私の名前がイムの口から

出てきているけども


「イム?」


あ....っと言いながら

にへへへとイムはこっちを向いた


「何をお願いするの?」


イムとターキッシュちゃんが

駆け寄って来る

正統派美少女2人の歩みに

周囲の空気が明らかに変わった


「ターキッシュちゃんも

一緒に魔界観光行きたいんだって

それに離れるの怖いんだって」

イムの言葉を飲み込みながら

私はどうするか決めあぐねていた

こういう場合の主張は尊重したい

けれども


「マサムネ王様?

貴方の返事次第ですよ」

マサムネさんは笑みを

薄っすらと浮かべた


「ターキッシュよ、

こればかりは父の力不足だ

アオナさんが同行可能ならば

私は構わん」


「アビシニアン様は如何です?

旦那様である王様は

こう言っておられますが」


アビシニアンさんは

一呼吸置いて

「私と致しましては貴女様を

客人として我が国へ来賓頂き

国の守護の任にあたって欲しい」


「そりゃ、ダメさ

亜人達に気張ってもらわにゃ!

アオナはこの魔界には

観光目的で来ておる

短期滞在なら可能やもしれんが

任を与えるというのは..」

コトッ...コトッと

運ばれた料理が置かれていく


やべぇついに毒殺されるとか

ゼムさんとテュポーン卿は

口々に笑っていた


「しかし、魔王グリモワール様...」

困った顔をするアビシニアンさん


「そんな簡単な事じゃない

今回は王族の勅命でも

決定権を持てない」

クゥーンとゼムさんの尻尾が

波の様に揺れる


「貴方...!」


「もしお前があの方達の側が

この魔界で一番安全だと思うなら

お前も一緒に同行を願いなさい

私からは以上だ」


「何故です!?亜人達である

魔界の人々の王たる貴方なら

出来るでしょう!?」


「私の紙は破っても

まぁ、許す

でも、こればっかりは

権力で抑えつけるなら

私も何らかの処置を施そう」

破れが激しく目立つネクさんが

料理を運んで来る


マユナに抱きかかえられた

シンガちゃんに怯えながら


「妻も療養中なんだ

大目に見てやってくれ」

マサムネ王が苦笑する

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ