第77階 食卓を囲って
ゼムさんにテュポさんに
マサムネさんとその家族に
フォアローゼズに私は
ばっちゃとネクさんに
食事を御馳走になる事になった
食卓に並べられていく
料理に涎を拭いている
顔がちらほら見える
「辛気臭い顏してるんじゃないよ!
さぁお食べ!!」
「そうさせて頂こう
感謝致します
魔王グリモワール様」
そう言ってテュポさん含めて
「いただきます」と
握られたお寿司に皆で
手を伸ばしていった
「アビシニアンさん?」
「はい...」
「私達はしばらく魔界観光する
流れになったから
また変なのが襲って来たら
退治してやるわ!」
アビシニアンさんはうふふと
笑って優しいのねと一言
そしてモコっと
アビシニアンさんの膝上に座っている
シンガプーラちゃんに対抗する様に
マスカリアが私の膝上に座っていた
「それとあの短剣は貴女達に悪意を
示す者に対して効力が上がるから
魔術の練習でもするといいわ
なんたって"魔術の使える亜人"
魔人なのでしょう?」
「えぇ、でも是非、遊びに来て下さい
歓迎致しますから...」
勿論お邪魔するわと言って
私は目の前の大トロの寿司を頬張った
「やべぇ!!!毒が盛られてやがる
旨すぎて止まらねぇ!!!」
「全くだ"中毒"が盛られてやがるぜ」
ゼムさんとテュポさんは
相変わらずふざけまくっている
「お寿司はな、一口一口
味わって食べると旨味が増す」
ポンッポンッ消える
ゼムさんとテュポさんとは
対象的に一口一口噛み締める
ネクさん
「私も味わう派だな
これどうしてこんなにも
美味しいかね?」
「えぇ、貴方」
とても仲睦まじい
ネクさんのカドが
フニャンとなっている
しょげているみたい
「どうした!どうした!
我が友よ!!!
ミコンも恋するお年頃かよ!?
ガハハハハハハ!」
ゼムさんが笑い転げている
「お相手は誰だ?」
テュポさんも一口一口
噛み締める派に移行している
「ゼム、これはこれでイケる」
「本当か!?うぉ!?いいな、これ!」
テュポさんはゼムさんに勧めていた
「どうしたのさ?」
マスカリアをポンッとその場に置いて
私は駆け寄ってみた
「無いとは言えないが...
どうしよう、この傷......」
ボロボロになった箇所が
コンプレックス化する
可能性はあるものね
「ほい」
「うおぉぉぉぉ!!」
「へぇ、あれだけの傷を」
傷が無くなったネクさんを見て
ばっちゃが驚いている
「相変わらず、なんという
魔力というか、魔法使いにとっても
魔法の様だ」
一部始終を見ていた
テュポさんも驚いている
「破られた部分の魔力がまだ周囲に
漂っていたから戻るわ」
「とんでもなく物理攻撃に弱いのは
相変わらずだなぁ、ネク!!
魔法は殆ど通らねぇのにヨォ」
ゼムさんは小さく寿司を噛んで
味わっていた
そして噛み締めながら
何度もうめぇと唸っていた
「まさか幼子の手でよもや
その魔の塊が引き裂かれようとは」
テュポさんは次の寿司に手を伸ばした
「シンガプーラは生半可に
育てておりませんもの
王族に相応しい魔力を
幼くして誇りますわ」
アビシニアンさんはうふふと
笑みを浮かべていた
「そういう事...それなら
お姉ちゃんのターキッシュちゃんも
かなりの魔力を保有しているのね?」
「えぇ、そうよ我が国で
"天才少女"と謳われて、
マサムネでないと魔法戦闘は
相手出来ませんの」
「あぁ、聞いた事あるぜ
ミコンに並ぶ魔王候補が
現れたってな」
ゼムさんが軽く鼻を鳴らす
「天才か、懐かしい響きだな
私も祖国でそう謳われていたよ
皆で"三頂"とも言われていたっけ」
マテハの言葉に
ゼムさんとテュポさんに
マサムネさんは寿司をポロっと
皿に落とした
「おい、嘘だろ...あの
星王全天に龍王アルテンと
同列の三頂マテハ...か...?」
ネクさんがパタンと床に落ちた
普段はふよふよと浮いているけども
「道理であんなに簡単に
私達を助けられる訳なのね」
ターキッシュちゃんが
ニコニコしている
「別に4人で倒して貰っても
良かったのよ、でも
個人的に龍髭と同じ空気を吸い
同じ時空に立っているのが
超腹立たしいから、ね?」
ゴクリとあの戦闘を見た者達から
緊張を飲む音がした
「だから魔界が観光になるって
ハツミが言っていた」
イムがターキッシュちゃんに
話しかける
「あの強そうなお姉ちゃん?」
そうそうとイムが
私、そんなに強そうな雰囲気
醸し出してるのかなぁ?
「まぁ、私は"マテハ"であるけども
確かめたいのであるならば
いつでも受けよう
けれども四姉妹揃って
三頂の一角だから」
「あの最強の剣士の1人である
"ルヴァイ"を退けたのは誠か?」
マサムネさんが威厳に満ちた声で
場を飲み込む
「あー、私とマテハお姉ちゃんで
少し向こうが上だけど、けれど
ハツミは圧倒していた」
マユナがマスカリアを
膝上に乗せながら寿司を頬張っていた
「まぁ、それもそうか
龍髭海賊団を壊滅させた
手腕の後では嘘にも思えんな」
「えぇ?龍髭はもう死んでいるの?」
アビシニアンさんは驚いている
「あぁ、我等が魔獣国の三天伯を除く
キャメロット・オブ・フィナーレと
四公がその目でしかと見届けた」
ゼムさんもいつもと違い
改まって威厳に満ち溢れていた
「公式に公表するのは
私達が国に帰ってからになる」
テュポさんも今は驚きも薄れて
寿司を頬張るのを再開させている
「だから、事実上
魔界は龍髭の脅威は去っている」
マサムネさんの柔らかな笑みが
アビシニアンさんに降り注がれていた




